家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「120話」

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「味も良い……すごいなあの肥料は」

「美味しいわねえ」

「これは……島津さん、この小麦はまだ在庫ありますか?可能ならうちで取り扱いたいのですが」

「おう、あるぞあるぞ」

他の人も美味しいと判断したようだ。
丘野さんに至っては小麦を確保する気満々だ。今のところこの間とれた小麦しかないし、早い者勝ちだかんね。

ま、何にせよ上手く行ったようでよかったよかった。
これなら一般公開する時により……ん?


「クロも食べたいの?」

皆が美味しい美味しい言ってパンを食べているのを見て、クロがにゃーにゃーパンをよこせと訴え始めた。
猫ってパン食べたっけ?

「ちょっと待ってねー……はい!」

まあ、これだけ訴えるなら食べるってことだろう。
とりあえず食べやすいように一口サイズに千切ってと……。



あげたんだけどね。

「えぇ……」

さっきまであんなににゃーにゃー寄こせと鳴いていたのに、いざ千切ってあげるとスンスンと匂いを嗅いで、ぷいっとどこかに行ってしまった。

どういうことなの。





そんなちょっぴり悲しい出来事から数日。

「でたー!やっとでたー!しかも2枚とか!?」

例によってダンジョンに潜り、顔の怖いあいつを狩り続けていた俺とクロだけど、ついにカードがドロップした。
しかも2枚同時である。

数日分の運を使い切ってしまったんじゃなかろうか?
ま、それはとにかく。

「よっしゃ、戻ろう!」

帰ってカードの交換しよう。
それにちょっと疲れたし、ご飯食べて甘いものも食べて休憩したいところである。



昼からちょっとヘビーだけど、BBQ広場でがっつり肉を食った俺はケーキを食べながら端末を眺めていた。

「不可視属性の攻撃力を15%アップ……あ、これ枚数制限ないのか」

やはり敵によってカードの効果の系統も大体決まってる感じなのだろう。
見えない攻撃をしてきたので、それに関係するやつだろうとは思っていたので、まあ想像通りである。

ちょっと気になったのが、このカードには枚数制限がなかったことだ。
レベルを上げれば上げるほどカードの枚数を増やせる訳で、10枚とかセットすると飛んでもない事になる。

そんだけレベル上げるのにどれだけ時間が掛かるんだって話だけどね。


それよりもだ。
気になるのがカードの効果だね。

「不可視ってことはー……クロの攻撃とか、衝撃波とかが対象?強いぞこのカード」

クロの攻撃って目に見えないし、あとはスキルの衝撃波なんかも見えないから効果あると思うんだよね。
通常攻撃が常に15%威力アップするってかなり強いと思う。枚数制限もないし、こりゃある程度枚数確保を……もっと強くなってRTA出来るようになってからだな。今やると負担が激しすぎる。



「隊員さんから声掛からんのよなー。オークに苦戦してるのか……いや、どっちかって言うとカード集めかな?」

カード出たって事で、そろそろ次の階層に行けちゃうんだけど。
……その前に来るかなーって思っていた、隊員さんのお手伝いのお話が来てないんだよね。

数をこなせばレベル上がるし、苦戦しなくなってくるはずなので……たぶんカードを出すのに苦労してるんじゃないかなーと思う。
隊員の分揃えるとなるとかなり大変だろうからね。


「んじゃ次の階層行っちゃうかね。本当は海外組がチュートリアル突破する前に行きたかったけど……てか、海外組ずいぶんとチュートリアル突破するの早かったよな。まだ筋トレ終わってそんなに経ってないはずだけど」

隊員さんたちはたぶん大丈夫ってことで、俺たちは次の階層に行くことにしよう。
当初の予定通り、月末には次の階層に行けたんだけど、予想外だったのが海外組の攻略の速さである。
本当はあと数日掛かるかなって思ってたんだけど……あれかな、後れを取り戻すために無茶でもしたのかな?
やろうと思えば、チュートリアルを突破するだけならもっと早く出来ちゃうんだよね。

先行で軍の人に潜らせておいて、その間にお偉いさん方はある程度筋トレをしておく。
そして軍の人がある程度育ったら、モンスターをがっちり押さえつけてもらって、お偉いさんはそこに止めを刺すだけ……精神がかなりやられそうだけど、早いには早いと思う。

「ま、早い分には良いんだけどね。問題は今後も潜り続けるつもりなら、実力が……それは向こうで考えるよね。俺が考えてもしゃーないか」

そんなレベル上げ方法で実力がつくかって言うと、付くわけは無い。
チュートリアル突破後もダンジョンに潜るのであれば相当苦労する事になるだろう……ま、そのへんは向こうの人が考える事であって、俺が気にしてもしょうがないんだけどね。

って訳で早速ゲートキーパーのところに行こうか。




と、意気揚々とダンジョンに向かったんだけど。
俺は扉の前で中に入るのをちょと躊躇していた。

「でかいなぁ……」

中にいたのは今まで出てきた敵で一番でかい相手であった。
凶悪な顔に、筋肉と脂肪で膨れ上がった体。
手には巨大なこん棒……てかあれほぼ丸太だよな。

身の丈は4m超えてると思う……ちょっとあまり正面からは戦いたくない相手である。
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