上 下
80 / 304

「80話」

しおりを挟む
アマツの説明タイムも終わったと言うことで、一旦休憩所に戻っての昼食タイムとなった。

「カレーうまあ」

「しかしダンジョンの中にこんな設備があるとはなあ」

昼食はいつもの焼肉……ではなく、隊員お手製のカレーライスである。
全員がチュートリアルを突破したので、休憩所にある扉の先を紹介したのだ。
その中で俺が以前作っておいて、ずーっと放置していた炊事場を見た隊員さんが「カレーでも作るー?」と提案してくれたので、ありがたく受けたのだ。

久しぶりのカレーはおいしい。
自分一人だけだとカレーはちょと作りにくいんだよね。
少量作るのもあれだし、かと言って大量に作ると余るしねえ。

冷凍するってのも手だけど、それはそれで面倒くさい。



てか俺、気が付いちゃったんだけど。
これ、女子の手作りご飯を頂いてるってことだよね?? やったぜ。

ちょっとむさいおっさん連中も手伝っていたけど、気にしない。


「とりあえず必要そうなのしか無いですけど、他にも欲しいのあれば端末から購入できますよー」

これ欲しいなーと思ったのしか購入してないんだよね。
割と必要ポイント高いし、ポイントは余っているけど無駄使いはしないのだ。



「へー……たっか!」

「まあ結構高いですよねー……たっか!?」

俺が購入できると言うと隊員さんも端末を見るが、その必要ポイントの高さに驚いている。

まあ、各施設5000ポイントだったか必要だからねー……と、俺も端末を見てみたのだけど、なぜか必要ポイントが25万とかになっていた。

高すぎんだろっ!
……って思ったけど、よく見たらこれ既に作ってある施設だけだな高いの。
たぶんもう一回購入すると施設がグレードアップするとかかな……そうならこのポイントも納得がいく。


施設とか、一気に購入してからあまり見てなかったからなあ。
どこかの階層に行ったときに、解放されたんだろうか? それともアマツの気まぐれで追加?


まあ、より便利になるのであればどっちでも構わないんだけどね。



「そういえば皆さんは装備どうするんですか? そのまま使い続けます?」

ふと、どうするのか気になったので訊ねてみる。

「出来れば変えたいとは思っている」

そう答えたのは都丸さんだ。
ほかの隊員さんも頷いたりしているので、皆装備を変えたいと思っているらしい。

まあ、確かに今のナイフやスコップじゃ厳しいのかも知れない。
スコップは良いぞって聞くけど、ちょっとリーチが足りてない様な気がするんだよね。折り畳み式だからかなあ?


「島津さんの武器も購入した奴なんですよね?」

「いえ、これはただの鉈を改造したやつですよ」

もとはただの鉈ですぜ。
今は刃渡り50cmで超厚肉なので、ぱっと見は恐ろしい事になっている。

まあ、こんなん持ってたらそりゃーポイントで購入したのかなーって思うよね。
普通はこんな刃物まず手に入らないだろうし。


「改造でそこまで変わるものなのか……」

変わりますとも。

「アマツさんからも説明あったと思いますが、しっかり改造出来てカードも揃えられるなら地道に強化して行ったほうが良いみたいですよー」

ってアマツが言ってました!

実際どれぐらい違うのかは分からないけどね。
武器の強さが数値化でもされていたなら分かりやすいんだけどさ、やっぱ難しいのかな?

実際カード集めるの結構大変だし、集めるぐらいならポイントで装備買う!って層もいると思うのよね。
その時に数値化されていたら検討しやすいんだけどなー。

「ふーむ……ちなみにだ、島津さん」

「ほい?」

アマツに頼んだら実装してくれないかなー、とか考えていると、都丸さんが何やら思案顔で話しかけてくる。

なんでしょ。

「島津さんがポイントで購入した装備を、こちらで買い取ることは出来るのか?」

「んん、出来ると思いますよー?」

そうきたか!

確かにその手を使えば5階を突破したばかりでも強力な装備を使えるな。
ゲームとして考えたら、それはどうなの?と思わなくもないけど、装備が弱いとリアルに痛い目にあう訳だしなあ。
半分ぐらい気持ちは分かる。

とりあえず端末見てみるかね。


「少々お待ちを……これが15階で購入できる装備です」

端末をぽちぽちといじり、装備購入の画面を開いて都丸さんに見せる。
すると皆一斉に都丸さんの背後にまわり、端末を覗き見し始めた。

……端末小さいからこういう時不便よな。
こう、空間に映像映したり出来ないのかなー? まあこれはこれで楽しいから良いけど。

「色々あるな」

「山崎ぃ、お前そのメイスなんか良いんじゃないか?」

「え、えぇ!?」

「これ、すっごい重そうっすよ? あ、でも山崎さんなら丁度良いかもっす」

「刃が通りにくい敵もいますし、ありかもですねー」

あのくそトカゲとか、硬かったからなあ。
メイスとかあれば頭を潰せて良いかも知れない。

突き刺せば良いんだろうけどね、突きって狙ったところにピンポイントで当てるの難しいのだ。


「私はシンプルな方が良いな……この辺りとか」

「それ逮捕される奴じゃ」

「何でだよ。 ただの鉈だぞ」

殺人鬼っぽい人が、血だらけの鉈を手に……そりゃ逮捕されますわ。いや、下手すりゃ撃たれるなっ。


「円匙は無いのか?円匙は!」

えんぴってなんぞ? ……あ、スコップか。

この人がスコップ持ってると何か似合いそうね。


「!? ……ガ、ガンブレード!?」

「え、うっそ? まじだ!」

は!?

嘘でしょって思ったら本当にあったー!?

ここって極小ダンジョンだから銃ダメなんじゃないの……?
いやまてよ。弾丸を飛ばすタイプじゃなくて、爆発のみな感じなのだろうか?

ううむ……完全にロマン武器というかネタ武器というか、そういう類だけど……正直ほしい。
てか皆すっごい食いついてるし、吉田さんとか興奮して眼鏡がぷるぷるしてる。
動くたびに怪しく光ってやばい。


「基本的な物からロマン武器まであるとは……やるな、アマツさん」

そうどこかを見ながら呟く都丸さん。
いや、本当ね。 よく見たら他にもロマン武器いっぱいあるし、よく揃えたもんだよ。
男の子なら絶対惹かれるラインナップである。



男の子なら。

「ねー、みんなー」

一人だけ、テンション低い子がいるんです。
皆が端末に集っているのを、少し距離をとって眺めていた北上さんだけど、頬をぽりぽりと掻きながら皆に声を掛ける。

「楽しんでるところ悪いんだけどさ、必要ポイントみた?」

「…………」

その言葉に一斉に無言になる男衆。

えーっと、ポイントね……10階の時で既に高かったからなあ。

「25万ポイントですねえ」

くっそ高いわ。

俺の言葉を聞いて、北上さんを除いた全員の顔に絶望が浮かぶ。


「……ポーション1個を5万円と仮定して、1250万か」

「無理っす!」

ポーション1個1000ポイントだからね。
それで計算するとそれぐらいのお値段になっちゃうと。

しかも1つでこれだからねー。
武器だけでも人数分揃えたら億単位になっちゃう。


とまあ、そんな訳でこりゃ無理そうだと、肩を落として食事を再開するのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話

天野 星屑
ファンタジー
突如地上に出現したダンジョン。中では現代兵器が使用できず、ダンジョンに踏み込んだ人々は、ダンジョンに初めて入ることで発現する魔法などのスキルと、剣や弓といった原始的な武器で、ダンジョンの環境とモンスターに立ち向かい、その奥底を目指すことになった。 その出現からはや10年。ダンジョン探索者という職業が出現し、ダンジョンは身近な異世界となり。ダンジョン内の様子を外に配信する配信者達によってダンジョンへの過度なおそれも減った現在。 ダンジョン内で生活し、10年間一度も地上に帰っていなかった男が、とある事件から配信者達と関わり、己もダンジョン内の様子を配信することを決意する。 10年間のダンジョン生活。世界の誰よりも豊富な知識と。世界の誰よりも長けた戦闘技術によってダンジョンの様子を明らかにする男は、配信を通して、やがて、世界に大きな動きを生み出していくのだった。 *本作は、ダンジョン籠もりによって強くなった男が、配信を通して地上の人たちや他の配信者達と関わっていくことと、ダンジョン内での世界の描写を主としています *配信とは言いますが、序盤はいわゆるキャンプ配信とかブッシュクラフト、旅動画みたいな感じが多いです。のちのち他の配信者と本格的に関わっていくときに、一般的なコラボ配信などをします *主人公と他の探索者(配信者含む)の差は、後者が1~4まで到達しているのに対して、前者は100を越えていることから推察ください。 *主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ
ファンタジー
女子校に通う高校2年生の橘優奈は学校からの帰り道、突然『【職業】錬金術師になりました』と声が聞こえた。 空耳かと思い家に入り試しにステータスオープンと唱えるとステータスが表示された。 しばらく高校生活を楽しみつつ家で錬金術を試してみることに 。 すると今度はダンジョンが出現して知らない外国の人の名前が称号欄に現れた。 緩やかに日常に溶け込んでいく黎明期メインのダンジョン物です。 小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

処理中です...