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「77話」
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俺が質問をすると、吉田さんが食事の手を止める。
どうやら彼が答えてくれるらしい。
他の人? 口にご飯がつまっとるでっ。
「私たちは――」
吉田さんが語った内容は大体俺の想像通りであった。
ただ敵の数を増やすペースが思っていたよりも大分早い。
俺だったら1体ずつ増やすところを一気に2体増やしている。
ただそれは怪我を負う頻度が高くなるのが理由なので……何というか、俺も怪我を前提でやっているけど、想定している怪我のレベルが違うなーと言った感じ。
「――と言った具合だ」
「なかなか無茶しますねー」
実際血だらけだし……あ、でも普通のポーションで治っている所を見ると、そこまで重い怪我は負ってないんだよなー……?
「……見た感じかなり攻撃くらってそうですけど、大丈夫でしたか?」
「大丈夫、と言えば嘘になるがポーションがあったから問題は無い」
「傷がすぐ治ってすごかったっす」
「いやー、死ぬかと思ったよー」
「た、大変でしたけど、自分が強くなっていくのが実感できました。実感が出来るので辛くても続けられると思います」
大丈夫そうなかんじだ。
これはー……俺が自衛隊員の実力を測り切れてなかったのがあれだな。
素人の自分を前提にしちゃいかんってことだ。
俺の感覚だとやばそうだったとしても、隊員さんは何とかこなしてしまうのだろう。
そう言うことであれば、こちらのチームも同じ戦法で行って問題ないはず。
「おー……こっちもやってみます?」
「そうだな、そうするか」
「望むところです!」
うむ。 反対意見は無し。
それどころかやる気満々だね、同僚二人が抜け出したもんで負けてられっかーみたいな感じ?
んまあ、これで明日になれば全員がチュートリアルを突破するのはほぼ間違いないだろう。
それはそうと、さっき吉田さんが話してくれた内容でちょっと気になる所があったんだよねー。
「ところでクロ、そのチュールはどこからとってきたのかな?」
昨日クロに上げたチュールかな?と思ったんだけどさ、よく考えたら昨日の内に食い終わってるんだよね……そうなるとあのチュールはいったい?となるわけで。
と言うか絶対棚から盗み出したもんやろっ。
もう顔を逸らしている時点でバレバレですから!
むう、ちょっと分かりにくいところ移動しておくか……。
放っておいたら全部たべちゃいそうだしなー。
んで、翌日。
再びゴブリンと戦闘を始めてから1時間半ぐらい経った頃。
山崎、北上両隊員の前にチュールをぽとっと置くクロの姿があった。
「やったーありがとー」
「い、頂きます」
袋を開け、チュールを食べる二人をみてクロは満足そうににゃーと鳴く。
島津が隠したチュールであったが、即行で見つかり持ち出された模様である。
「これ皆条件満たしたってことっすよね? まだ時間あるけ、どうします?」
集合時間まではまだ2時間以上ある。
島津チームも今日からクロチームと同じ戦法でやるので、おそらく集合時間前に終わるだろうが、それでもかなり時間が余ってしまっている。
隊員達がどうしようかと考えていると、おもむろにクロが動き出す。
「お? なになにどーしたの」
とりあえずクロの後を追う隊員達。
「こっちは……5階に戻るのか?」
「管理者に顔合わせをする、とかですかね……?」
クロが向かおうとしていたのは管理者のいる5階であった。
集合してから行く予定ではあったが、事前に顔合わせしておくのも良いだろう。 隊員達もそう考え、クロの後をついて5階へと向かうのであった。
どうやら彼が答えてくれるらしい。
他の人? 口にご飯がつまっとるでっ。
「私たちは――」
吉田さんが語った内容は大体俺の想像通りであった。
ただ敵の数を増やすペースが思っていたよりも大分早い。
俺だったら1体ずつ増やすところを一気に2体増やしている。
ただそれは怪我を負う頻度が高くなるのが理由なので……何というか、俺も怪我を前提でやっているけど、想定している怪我のレベルが違うなーと言った感じ。
「――と言った具合だ」
「なかなか無茶しますねー」
実際血だらけだし……あ、でも普通のポーションで治っている所を見ると、そこまで重い怪我は負ってないんだよなー……?
「……見た感じかなり攻撃くらってそうですけど、大丈夫でしたか?」
「大丈夫、と言えば嘘になるがポーションがあったから問題は無い」
「傷がすぐ治ってすごかったっす」
「いやー、死ぬかと思ったよー」
「た、大変でしたけど、自分が強くなっていくのが実感できました。実感が出来るので辛くても続けられると思います」
大丈夫そうなかんじだ。
これはー……俺が自衛隊員の実力を測り切れてなかったのがあれだな。
素人の自分を前提にしちゃいかんってことだ。
俺の感覚だとやばそうだったとしても、隊員さんは何とかこなしてしまうのだろう。
そう言うことであれば、こちらのチームも同じ戦法で行って問題ないはず。
「おー……こっちもやってみます?」
「そうだな、そうするか」
「望むところです!」
うむ。 反対意見は無し。
それどころかやる気満々だね、同僚二人が抜け出したもんで負けてられっかーみたいな感じ?
んまあ、これで明日になれば全員がチュートリアルを突破するのはほぼ間違いないだろう。
それはそうと、さっき吉田さんが話してくれた内容でちょっと気になる所があったんだよねー。
「ところでクロ、そのチュールはどこからとってきたのかな?」
昨日クロに上げたチュールかな?と思ったんだけどさ、よく考えたら昨日の内に食い終わってるんだよね……そうなるとあのチュールはいったい?となるわけで。
と言うか絶対棚から盗み出したもんやろっ。
もう顔を逸らしている時点でバレバレですから!
むう、ちょっと分かりにくいところ移動しておくか……。
放っておいたら全部たべちゃいそうだしなー。
んで、翌日。
再びゴブリンと戦闘を始めてから1時間半ぐらい経った頃。
山崎、北上両隊員の前にチュールをぽとっと置くクロの姿があった。
「やったーありがとー」
「い、頂きます」
袋を開け、チュールを食べる二人をみてクロは満足そうににゃーと鳴く。
島津が隠したチュールであったが、即行で見つかり持ち出された模様である。
「これ皆条件満たしたってことっすよね? まだ時間あるけ、どうします?」
集合時間まではまだ2時間以上ある。
島津チームも今日からクロチームと同じ戦法でやるので、おそらく集合時間前に終わるだろうが、それでもかなり時間が余ってしまっている。
隊員達がどうしようかと考えていると、おもむろにクロが動き出す。
「お? なになにどーしたの」
とりあえずクロの後を追う隊員達。
「こっちは……5階に戻るのか?」
「管理者に顔合わせをする、とかですかね……?」
クロが向かおうとしていたのは管理者のいる5階であった。
集合してから行く予定ではあったが、事前に顔合わせしておくのも良いだろう。 隊員達もそう考え、クロの後をついて5階へと向かうのであった。
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