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「31話」

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翌朝、ポイントに目がくらんだ俺は早速クロと一緒にダンジョンへと潜っていた。

5階へと向かい、扉を潜り階段を降りる。
するとそこには今までとは少し違った光景が広がっていた。

「あれ? ちょっと広くなってるぞ」

壁の模様が変わり、少しだけ道幅が広くなっていたのである。

「部屋はかなり広くなってるね」

さらに少し進んで小部屋を覗いてみれば、そこも通路と同様に広くなった小部屋があった。
広さは1階の休憩所ほどもある、もはや小部屋と呼ぶには広すぎるほどである。

「まあ戦いやすいからいいけど」

クロの装備も変わったし、あまり狭いとお互いを傷つけかねないので、ある程度距離を確保できるのはありがたい。
もちろん敵にも言えることだけどね。


さて、いつもの感じであればそろそろ通路の敵と会敵してもおかしくは無いのだけど……。

「あ、きた」

考えたそばから来たようだ。
数は1体かな?

俺はクロに合図し、武器を構え迎え撃った。




あっさり終わった。
クロが噛み付いて体勢を崩したところに、鉈がクリーンヒットしたよ。

2対1だからね、そりゃあっさり終わるよねって話ですわ。

「まずはこいつらの売って見ようか?」


とりあえずいくらになるのか知っておきたい。
取れそうなのは兜と鎧、それに手甲と脚絆にナイフと盾かな。

ちょっと兜は大きく切り裂かれているし、脚絆はぐちゃぐちゃだからその二つはポイントつかないかもだけど……一応持ってこうとは思う。

「どうやって外すんだこれ? ……あ、ここか」

鎧を外すのに手間取ったけど、なんとか外すことが出来た。

「……かなり嵩張るなあ」

鎧以外はバックパックに詰め込めたけれど鎧はさすがに無理だった。
しょうが無いので手で持っていくしかないね。



「売却、売却ぅ~っと」

休憩所に戻り、端末を操作し剥ぎ取った装備をどれがどれぐらいのポイントになるか確認するのに一つずつ入れていく。


「さてさていくらになるのかなー?」

俺としては出来るだけ高く売れてほしい。
装備もそうだけど、施設とかも色々いじりたいからねえ。 ポイントがまじで足りないのだ。



「装備一つにつき100ポイント……傷が酷いのはポイントにならないと、まあしょうが無いか」

合計400ポイントになった!
傷がひどいのはポイント0だったよ。一応0でも引き取ってはくれるっぽかったので、そのまま処分ってことで売却しておいた。

いやー、しかし装備一つにつき100ポイントか
この装備の良いゴブリンを倒しても10ポイントしか貰えないことを考えると、めちゃくちゃ美味しいよなこれ。

「思ったよりずっと良い稼ぎになりそう。 問題は大量に持って帰れない事だね」

問題はかさ張るので量を持って帰れないことかな。
俺のバックパックならー……鎧は剥ぎ取らないとして、3体分は持って帰れそうな気がする。
それだけでもう1000ポイント超えるからね、めっちゃ美味しい。


ただ何度も休憩所と往復するのは面倒なんだよね。
できれば一度に大量に持ち帰って、手間を省きたいところだ。

「でかいバッグ買ってくるかなあ」

一番手っ取り早いのはでかいバッグを買うことかな。
刃物を入れることを考えると、結構丈夫なやつを買わないとだね。

スポーツ用品店に登山用のやつ売ってたかな?

それとも……ん? あれ? そういや端末にもバッグ売ってたな。



とりあえず端末を操作してっと……あったあった。
さて、容量はどんなもんかなー。



「……いや、まてよ。 バッグってまさかこれ、マジックバッグ的なやつ?? たっか!?」

なんかバッグの説明欄に容量拡張(20L)みたいなの書いてあるんですけど。
て言うかくっそ高いぞ!? これ絶対マジックバッグだ!

ほしい、ほしい……けど!

「50000って、おまっ……えぇぇぇ」

50000とかはさすがに無理っす。
なんでこれこんなに高いの……?

これならでかいバッグ持つか、2個持ったほうが良いような気がするぞ。


いや、待てよ。

「やっぱり改造でバックパックの容量増やせるぞ! よかったぁぁ……一式買って置いて本当に良かった」

俺のバックパックのレベルは他の装備と同じで10を超えていた。
ポーションを入れるのにしか使ってなかったけれど、使い続けてて良かった、本当に。

改造に使うポイントは……1回500だ。
良かった法外なポイントじゃなくて、てか改造に必要なポイントこれだけって、明らかに自前のバッグ用意したほうが良いよなこれ。



とりあえず、改造でもしようかなーと考えていたら、不意に袖をぐいぐいと引っ張られる。


「ん、どしたー?」

振り返るとクロが袖を咥えてぐいぐいと引っ張っているではないですか。
てかクロじゃなきゃアマツしかいないので、その場合はちょっと引く。

どうかしたのかな? とりあえず撫でておこう。

「何々……クロも荷物持ってくれるって? ありがとうねクロ」

クロの表情を見ていると何となく言いたい事がわかってくる。
どうやら荷物をクロも持つと言いたいらしい。

何ていい子なんだろうか。

でもさすがにクロに荷物持ってもらうのは無理がありそうな気がする。
力が足りないとかじゃなくて、咥えるぐらいしか持てないよね?

猫用のバッグなんてそんな酔狂な物はないだろうし。


なんて考えたんだけど。

クロは自分の端末をぺしぺしと指示し、俺に何かを見せようとしていた。

「ん? ……猫用バックパックだと?? アマツさん、やってくれるぜぇ」

何かな? と思い覗き込んでみるとそこにはペット用! と書かれたバッグがいくつも並んでいた。

これはあれか、クロへのポイント稼ぎ的なやつか。 やるなっ。


とは言え、お値段が高いと手が出ないんですけどね。

まあ、そのへんはアマツさんも俺たちの懐事情は理解しているわけで、ペット用のバッグはそこまで高くはなかった。 それでいてきっちりマジックバッグとしての性能は持っているようで説明欄に容量拡張(20L)ときっちり書かれていた。

「これはお値段も手頃だね。 容量少なめだからかな?」

ちなみにお値段は10000ポイントなり。
50体から装備引っぺがせば揃うぜ、やったー。

あ、容量少な目ってのは元々のバッグとしての容量ね。
ペット用というだけあってかなり小さめなのだ。 たぶん容量5Lとかそんなんでないかなー。
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