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後日談?
「アフター1話」
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ウッドが復活し、それから数日経ったある真夜中のこと。
街の中心、世界樹のそばでもうすぐ夜明けの時間になるのにも関わらず、煌々と光を灯すダンジョンシーカーギルドがあった……そんなギルドであるが突如として爆発、炎上する。
爆発は大きく、ギルド内部に居た者が慌てて出てくる様子が窺える。
一体ギルドで何が起きたのか……場面は数日前、ウッドが復活した時まで遡る。
「こっち?」
「そうニャ」
実から打ち出され、復活した俺だが困ったことにすっぽんぽんなんだよね。
そんな訳でタマさんが落ち着いたところで何か着る物はないかと尋ねたら、俺の装備が当時のまま置いてあると言うことなので案内して貰ってるところである。
「……これ引っぺがしていいのかなあ」
「ニャ」
肝心な装備だけど、置いてあるというかこれ木に埋もれてるよね。
埋もれてる辺りの木の瘤……これ、絶対俺じゃん。
ものの見事に一体化してますなあ……怖い怖い。
「んー」
タマさんの肉球の感触を楽しみながら、もう片方の手で世界樹に埋もれた装備をくいくいと引っ張ってみる。
かなりしっかりと埋もれているので軽く引っ張ったぐらいじゃ取れそうにない、そうなると無理矢理引っ剥がすしかないんだけど……い、いいのかな?
一応回りを確認して……よし誰も見てないな。
「着るものなくても困るし……やっちまえーだ」
えいっと掛け声と共に装備を引っ張るとメリメリと木から剥がれていく。
ポンポンと汚れを払って身につけていくと……うん、問題なく付けれたね。
汚れが酷いのは長時間野晒しだったから仕方ないね、あとでしっかり洗わないと。
「ごめんね、タマさん。 待たせちゃって」
「別に、いいニャ」
そういってタマさんの頭を撫でると……嫌がる様子もなく、むしろ手に頭を押し付けてくるではないですか。鼻血でそう。
頭を撫でながらタマさんの体をじっと見つめる俺。
別に変態的な目的で見ていたわけではない。
最後に見たタマさんの姿と今のタマさんの姿が余りにも違いすぎて……タマさん、毛並みもボロボロだしすっかり痩せちゃって…………や、痩せ? ……出会った頃に戻っただけな気がしなくもないけど。
え、えっと……確かこの辺に……あった。
タマさん用の櫛はいつも肌身離さず持っていたんだよね。
「……少し休んでいこか」
「ニャ」
根っこを伸ばして適当な椅子を作って腰掛ける。
もちろんタマさんの分もあるよ。
先ほど取り出した櫛でタマさんの毛並みを整えていく。 ギルドのみんなも心配しているだろうし、すぐ戻っても良いのだけど……ずっとここで待っていてくれたタマさん。しばらく二人でこうしていても良いと思うんだ。
こうして暫くの間タマさんと二人でキャッキャウフフしていたのだけど、いい加減戻らないと日が暮れてしまうと言うことで……とりあえず報告と夕飯も兼ねてギルドへと向かうことにしました。
あ、服の方はねタマさんが魔法で水をバッシャアアアって出してくれて大分綺麗になったよ、石鹸ぽい実も使ったしばっちりだね。
んで、ギルドに向かって歩いていたのだけどー……すっごい見られてる。街中の視線を独り占めしてるんじゃないかってぐらい見られてるの。
あれか、タマさんとお手々繋いで歩いてるからか、そんな羨ましいのか。
確かにタマさんの可愛さは天元突破しているし、そんなタマさんとお手々繋いで歩いてる俺を羨望の眼差しで見るのは気持ちは分からんでもないが、だがしかしね――
「独り言うるさいニャ」
――うっかり口に出てたらしい。やばいやばい。
そりゃー満面の笑みを浮かべて独り言ぶちぶち言いながら歩いていたら見られるよね。
……あれ、でもそれにしてはそんな酷い目線では見られてないような? んー?
「なんか皆こっち見てくるんですけど」
タマさんに聞いてみよう。
「ウッドが自分を犠牲にして指導者倒したって皆知ってるからニャ」
「え゛」
まじで。
「ちょ、ちょぉっと誤解があるような……」
「そうなのかニャ?」
タマさんのまっすぐな視線が痛い。
胸を貫通してった。キュンキュン。
……じゃなくて誤解は解いておかないとだ。
「世界樹と一体化したのは確かだけど――ん?」
タマさんに世界樹と一体化した時の事を話そうとした時……ふと視界の端っこにこちらを指差してぷるぷる震えている人が入った。なんだよぉ。
「あ、あ……た、大変だあ! みんなああああ!!」
「ドアがっ!?」
ぷるぷる震えていた人はそう叫んだかと思うとギルドに向かい飛び込んでいった。
ドアをばちこーんって吹っ飛ばしながら。あれ絶対あとで怒られると思う。
街の中心、世界樹のそばでもうすぐ夜明けの時間になるのにも関わらず、煌々と光を灯すダンジョンシーカーギルドがあった……そんなギルドであるが突如として爆発、炎上する。
爆発は大きく、ギルド内部に居た者が慌てて出てくる様子が窺える。
一体ギルドで何が起きたのか……場面は数日前、ウッドが復活した時まで遡る。
「こっち?」
「そうニャ」
実から打ち出され、復活した俺だが困ったことにすっぽんぽんなんだよね。
そんな訳でタマさんが落ち着いたところで何か着る物はないかと尋ねたら、俺の装備が当時のまま置いてあると言うことなので案内して貰ってるところである。
「……これ引っぺがしていいのかなあ」
「ニャ」
肝心な装備だけど、置いてあるというかこれ木に埋もれてるよね。
埋もれてる辺りの木の瘤……これ、絶対俺じゃん。
ものの見事に一体化してますなあ……怖い怖い。
「んー」
タマさんの肉球の感触を楽しみながら、もう片方の手で世界樹に埋もれた装備をくいくいと引っ張ってみる。
かなりしっかりと埋もれているので軽く引っ張ったぐらいじゃ取れそうにない、そうなると無理矢理引っ剥がすしかないんだけど……い、いいのかな?
一応回りを確認して……よし誰も見てないな。
「着るものなくても困るし……やっちまえーだ」
えいっと掛け声と共に装備を引っ張るとメリメリと木から剥がれていく。
ポンポンと汚れを払って身につけていくと……うん、問題なく付けれたね。
汚れが酷いのは長時間野晒しだったから仕方ないね、あとでしっかり洗わないと。
「ごめんね、タマさん。 待たせちゃって」
「別に、いいニャ」
そういってタマさんの頭を撫でると……嫌がる様子もなく、むしろ手に頭を押し付けてくるではないですか。鼻血でそう。
頭を撫でながらタマさんの体をじっと見つめる俺。
別に変態的な目的で見ていたわけではない。
最後に見たタマさんの姿と今のタマさんの姿が余りにも違いすぎて……タマさん、毛並みもボロボロだしすっかり痩せちゃって…………や、痩せ? ……出会った頃に戻っただけな気がしなくもないけど。
え、えっと……確かこの辺に……あった。
タマさん用の櫛はいつも肌身離さず持っていたんだよね。
「……少し休んでいこか」
「ニャ」
根っこを伸ばして適当な椅子を作って腰掛ける。
もちろんタマさんの分もあるよ。
先ほど取り出した櫛でタマさんの毛並みを整えていく。 ギルドのみんなも心配しているだろうし、すぐ戻っても良いのだけど……ずっとここで待っていてくれたタマさん。しばらく二人でこうしていても良いと思うんだ。
こうして暫くの間タマさんと二人でキャッキャウフフしていたのだけど、いい加減戻らないと日が暮れてしまうと言うことで……とりあえず報告と夕飯も兼ねてギルドへと向かうことにしました。
あ、服の方はねタマさんが魔法で水をバッシャアアアって出してくれて大分綺麗になったよ、石鹸ぽい実も使ったしばっちりだね。
んで、ギルドに向かって歩いていたのだけどー……すっごい見られてる。街中の視線を独り占めしてるんじゃないかってぐらい見られてるの。
あれか、タマさんとお手々繋いで歩いてるからか、そんな羨ましいのか。
確かにタマさんの可愛さは天元突破しているし、そんなタマさんとお手々繋いで歩いてる俺を羨望の眼差しで見るのは気持ちは分からんでもないが、だがしかしね――
「独り言うるさいニャ」
――うっかり口に出てたらしい。やばいやばい。
そりゃー満面の笑みを浮かべて独り言ぶちぶち言いながら歩いていたら見られるよね。
……あれ、でもそれにしてはそんな酷い目線では見られてないような? んー?
「なんか皆こっち見てくるんですけど」
タマさんに聞いてみよう。
「ウッドが自分を犠牲にして指導者倒したって皆知ってるからニャ」
「え゛」
まじで。
「ちょ、ちょぉっと誤解があるような……」
「そうなのかニャ?」
タマさんのまっすぐな視線が痛い。
胸を貫通してった。キュンキュン。
……じゃなくて誤解は解いておかないとだ。
「世界樹と一体化したのは確かだけど――ん?」
タマさんに世界樹と一体化した時の事を話そうとした時……ふと視界の端っこにこちらを指差してぷるぷる震えている人が入った。なんだよぉ。
「あ、あ……た、大変だあ! みんなああああ!!」
「ドアがっ!?」
ぷるぷる震えていた人はそう叫んだかと思うとギルドに向かい飛び込んでいった。
ドアをばちこーんって吹っ飛ばしながら。あれ絶対あとで怒られると思う。
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