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生を受けた理由
「123話」
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3日後の早朝にギルドに向かうことをリタさんと約束し、俺達はギルドを出て自宅へと帰っていた。
あのままギルドでだらだらしても良かったけど、リタさん約束したらどこか行っちゃったしねー。
そんなら家戻って休もうってことにしたのですよ。
ハナがお留守番しているし、早めに戻った方が良いだろうしね。
「ふひー。 ただいまーっと」
無駄に広い玄関を通り、家……というか屋敷で一番広い部屋へと入り、手近な椅子に腰掛ける。
あ、武器とかは玄関に置いてあるのでご安心を。
さすがにここには持ってこないよ。だって床が傷だらけになっちゃうし。
「ハナ、ちゃんと留守番してたかなー?」
部屋の中を見渡すがハナの姿は見えない。
外で土をいじってるのかそれとも……何か良い匂いがする。
隣にある厨房から音がするし、もしかして何か作っているのかな?
どれどれ……と簡易扉を潜ると料理の香りが強くなる。
これ、お味噌使ったやつかな?
「お、ご飯用意してくれてたの? 助かるわー」
厨房には予想通り料理をするハナの姿があった。
タマさんも今日は料理する気ないだろうし、外に食べに行くのも面倒だったから助かるね。
「うまうま」
「ニャ」
料理は美味しかった。
特に具沢山の豚汁っぽいのは絶品だ。
惜しむらくはお米がないことだろうか、パンにはちょっと微妙なのよね。
「ごちそうさまー」
食った食った。
豚汁食って体熱くなったし、外出て涼みますかね。
まだ冬だけど、まあ気にしたもんじゃない。
庭に出て、根っこを伸ばして適当に椅子っぽくしたのに腰掛ける。
庭は辺り一面雪景色……ではなく、緑が広がっていた。
「おー……庭が凄いことになってる」
ハナがいじっていた地面からはどっしりとした木が生え、草が伸び、森と草原を形作っていた。
表歩いてた時は気が付かなかったけど、まさかこんなんなってるとは思わなかったよ。
「ちょっとした森だよねこれ。 普通こんな成長早かったっけ?」
この間芽が出たばっかりだった気がするんですけど。
「そんなわけないニャー」
「だよねー……」
うむ。
やっぱおかしかったか……。
俺が作った果物の種だからこんなに成長が早い……?
いや、でも今までスイカの種とか結構ばらまいてたけど、ぜんっぜん生えてなかったし。
ってことは……。
「ハ、ハナ? この森はハナが何かしたのかな?」
俺の問いにハナはうんうんと頷く。
どこか誇らしげな感じだったのでよしよしと撫でておく。
「おー……すごいな」
果たしてすごいなですむことなんだろうか。
俺みたいににょっきにょき色々生やせるようなのいるし……すごいなでいける?
そういえば、さっきは疲れていたからスルーしたけど、ハナが料理作ってるって時点で何かおかしい気がしなくもない。
だってあの前足じゃ包丁とか握れないよね?
ハナっていったい……。
「うん、すごいすごい」
気にしないことにしました。
だって考えても分かんないし! タマさんもたぶん知らないだろうしさ、ギルドいったら分かるかもだけど、ハナのことばれそうだし。
なので気にしないのが一番。そう結論付けたのであった。
翌朝。
「……くっくっく」
部屋で椅子に腰掛けなんか悪い感じで笑う奴が居た。俺です。
テーブルには新品のでっかい鉄鍋があり、そして俺の腕からはふぁさぁーって感じで稲が生えまくっている。
そう、お米です。
落ち着いたしそろそろお米を食べたいなーってね。
いざ食えるとなると嬉しくさー。つい笑ってしまうのも仕方ないじゃ無い。
「……」
「あ、タマさん居たの? もう、居るなら居るっていってよー」
すんごい顔で見られてた。
目がまん丸だし。
「なんか気持ち悪かったからニャ」
「ひどいっ」
ちょっと笑ってただけじゃないかっ。
椅子に腰掛け鉄鍋を前にして怪しい感じで笑う男。その腕からは大量の稲が……客観的に考えると気持ち悪いというか、お近づきになりたく無い感じだこれ。
まあ、いいや。
「で、それなんニャ?」
ほうっ? タマさん興味あるー?
なら仕方ないなあ。
「これぇー? ふひひ……これはねえ、お米です!」
どやぁって感じで稲をふぁさーってしてみる。
「ニャ」
「反応薄いなっ」
聞き流して顔洗い始めたぞっ。
せっかく新品の鉄鍋まで用意したと言うのに。
んまあ、どう見ても果物じゃないしタマさん的には興味の対象外なのかもだけど。
「パンとかみたいに主食として食べるやつだよ。 醤油とかお味噌と良く合うんだよー」
「ニャー」
……なんだろう、この……名前呼ばれたからとりあえ鳴いておいた的なのは。
尻尾だけで反応するよりはましかもだけど。ちょっと悲しい。
尻尾にぎにぎしちゃうぞ?
「まあ収穫するか……食べれば気に入ってくれるかもだしね」
顔面に格子模様が出来たけど、それぐらいじゃへこたれませんことよ。
とりあえず収穫して炊いて食べて貰おう。食えば気に入ってくれるかもだしね。
あのままギルドでだらだらしても良かったけど、リタさん約束したらどこか行っちゃったしねー。
そんなら家戻って休もうってことにしたのですよ。
ハナがお留守番しているし、早めに戻った方が良いだろうしね。
「ふひー。 ただいまーっと」
無駄に広い玄関を通り、家……というか屋敷で一番広い部屋へと入り、手近な椅子に腰掛ける。
あ、武器とかは玄関に置いてあるのでご安心を。
さすがにここには持ってこないよ。だって床が傷だらけになっちゃうし。
「ハナ、ちゃんと留守番してたかなー?」
部屋の中を見渡すがハナの姿は見えない。
外で土をいじってるのかそれとも……何か良い匂いがする。
隣にある厨房から音がするし、もしかして何か作っているのかな?
どれどれ……と簡易扉を潜ると料理の香りが強くなる。
これ、お味噌使ったやつかな?
「お、ご飯用意してくれてたの? 助かるわー」
厨房には予想通り料理をするハナの姿があった。
タマさんも今日は料理する気ないだろうし、外に食べに行くのも面倒だったから助かるね。
「うまうま」
「ニャ」
料理は美味しかった。
特に具沢山の豚汁っぽいのは絶品だ。
惜しむらくはお米がないことだろうか、パンにはちょっと微妙なのよね。
「ごちそうさまー」
食った食った。
豚汁食って体熱くなったし、外出て涼みますかね。
まだ冬だけど、まあ気にしたもんじゃない。
庭に出て、根っこを伸ばして適当に椅子っぽくしたのに腰掛ける。
庭は辺り一面雪景色……ではなく、緑が広がっていた。
「おー……庭が凄いことになってる」
ハナがいじっていた地面からはどっしりとした木が生え、草が伸び、森と草原を形作っていた。
表歩いてた時は気が付かなかったけど、まさかこんなんなってるとは思わなかったよ。
「ちょっとした森だよねこれ。 普通こんな成長早かったっけ?」
この間芽が出たばっかりだった気がするんですけど。
「そんなわけないニャー」
「だよねー……」
うむ。
やっぱおかしかったか……。
俺が作った果物の種だからこんなに成長が早い……?
いや、でも今までスイカの種とか結構ばらまいてたけど、ぜんっぜん生えてなかったし。
ってことは……。
「ハ、ハナ? この森はハナが何かしたのかな?」
俺の問いにハナはうんうんと頷く。
どこか誇らしげな感じだったのでよしよしと撫でておく。
「おー……すごいな」
果たしてすごいなですむことなんだろうか。
俺みたいににょっきにょき色々生やせるようなのいるし……すごいなでいける?
そういえば、さっきは疲れていたからスルーしたけど、ハナが料理作ってるって時点で何かおかしい気がしなくもない。
だってあの前足じゃ包丁とか握れないよね?
ハナっていったい……。
「うん、すごいすごい」
気にしないことにしました。
だって考えても分かんないし! タマさんもたぶん知らないだろうしさ、ギルドいったら分かるかもだけど、ハナのことばれそうだし。
なので気にしないのが一番。そう結論付けたのであった。
翌朝。
「……くっくっく」
部屋で椅子に腰掛けなんか悪い感じで笑う奴が居た。俺です。
テーブルには新品のでっかい鉄鍋があり、そして俺の腕からはふぁさぁーって感じで稲が生えまくっている。
そう、お米です。
落ち着いたしそろそろお米を食べたいなーってね。
いざ食えるとなると嬉しくさー。つい笑ってしまうのも仕方ないじゃ無い。
「……」
「あ、タマさん居たの? もう、居るなら居るっていってよー」
すんごい顔で見られてた。
目がまん丸だし。
「なんか気持ち悪かったからニャ」
「ひどいっ」
ちょっと笑ってただけじゃないかっ。
椅子に腰掛け鉄鍋を前にして怪しい感じで笑う男。その腕からは大量の稲が……客観的に考えると気持ち悪いというか、お近づきになりたく無い感じだこれ。
まあ、いいや。
「で、それなんニャ?」
ほうっ? タマさん興味あるー?
なら仕方ないなあ。
「これぇー? ふひひ……これはねえ、お米です!」
どやぁって感じで稲をふぁさーってしてみる。
「ニャ」
「反応薄いなっ」
聞き流して顔洗い始めたぞっ。
せっかく新品の鉄鍋まで用意したと言うのに。
んまあ、どう見ても果物じゃないしタマさん的には興味の対象外なのかもだけど。
「パンとかみたいに主食として食べるやつだよ。 醤油とかお味噌と良く合うんだよー」
「ニャー」
……なんだろう、この……名前呼ばれたからとりあえ鳴いておいた的なのは。
尻尾だけで反応するよりはましかもだけど。ちょっと悲しい。
尻尾にぎにぎしちゃうぞ?
「まあ収穫するか……食べれば気に入ってくれるかもだしね」
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