121 / 156
生を受けた理由
「120話」
しおりを挟む
タマさんのお腹に顔を埋めることそろそろ1時間。
根っこをはわせて追跡していた俺の分体が向きを変え、こちらに向かっているのを感知した。
あ、そうそう最初はね俺の顔を蹴りまくって拒否ってたタマさんだけど、いくら蹴られても諦めない俺を見てついに根負けしたのですよ。
本気で蹴らないあたりなんだかんだ言って優しいと思う。
「ん、帰ってきたぽい」
「おう」
「…………ニャ」
ちゃんと指示通り戻ってくるらしいことを皆に伝える。
ゴリさんは持っていたカップを軽く上げて応え、タマさんは仰向けで遠くを見ながら力無く応えた。
……タマさんには後で果物いっぱいご馳走しようと思いまふ。
それから10分ぐらいして、森の奥からズリズリと俺の分体が何かを引き摺りながら出て来た。
「おー、ちゃんと捕まえてきたなー。 ……こいつなんですかね?」
「俺も見たことない奴だな」
蔦で雁字搦めになったそいつは今まで見たことのない奴だった。
ぱっと見は狼か何かに見えるが、まず大きさが違う。
尻尾抜かして大体3mぐらいかな? あとやたらと顔……というか口がでかい。それに目が全部で4つある。
血走った目と涎ダラダラのその口を見るにどう見ても友好的には見えませぬな。
ゴリさんも見たこと無いとか、珍しい奴なのかもね。
「オーガよりは強いな」
「ですね」
ゴリさんも見たこと無いのと、俺の分体でも捕まえられるなら大丈夫だろうと言うことでちょっと戦ってみることになりました。
分体に指示をして蔦を解除した瞬間襲いかかってきたけどー……噛みつきが強力だけど、それぐらいかな?
牙に毒があるとかそんなことも無さそう。
検証終わったところでさくっとやって魔石頂きました。
オーガよりちょい強いぐらいだけど、分体は見た感じ無傷だね。
負傷したけど治っただけかも知れないけど……うん、この能力?は使えそうだ。
作るときの消耗がネックだけど、作ってしまえば色々便利そう。
索敵させても良いし、モンスター狩って果物作らせるのも出来るかな?
……出来るよね?
「味はそれなりニャ」
作らせて見ましたよ!
どうやら作れはするけど味は劣るみたいだ。
まあ、それでも十分美味しいのだろうけど……俺の作った果物の味に慣れてしまっているタマさんにはいまいちだったらしい。
桃を量産するとかで無ければ分体が果物を作ることは無いだろう。
やっぱ果物は俺が作らないとねっ。
「おし、検証も終わったし日が暮れる前に街に戻るとするか」
「報告しないとだニャー」
分体は吸収したし、あたりには他にモンスターは居ない。
新しい能力の検証も出来たし目的は達成した。あとは帰るだけである。 まあもうすぐ日が暮れるし、今日はそこの街で一泊することになるんだけどね。
「どうやって報告しようね?」
あー……俺の分体吸収したしねえ。
当然ながら魔石なんか無いし、もう大丈夫ですーと言っても信じて貰えないかも知れない?
どうすんべねーって悩んでいると、タマさんがちょいちょい前足でと地面をさすと、俺に声をかける。
「それ持っていけば良いんじゃないかニャ?」
「え゛」
タマさんがさしたもの、それは……俺の分体がはぎとった色とりどりな衣類であった。
え?これ持ってくの……?
根っこをはわせて追跡していた俺の分体が向きを変え、こちらに向かっているのを感知した。
あ、そうそう最初はね俺の顔を蹴りまくって拒否ってたタマさんだけど、いくら蹴られても諦めない俺を見てついに根負けしたのですよ。
本気で蹴らないあたりなんだかんだ言って優しいと思う。
「ん、帰ってきたぽい」
「おう」
「…………ニャ」
ちゃんと指示通り戻ってくるらしいことを皆に伝える。
ゴリさんは持っていたカップを軽く上げて応え、タマさんは仰向けで遠くを見ながら力無く応えた。
……タマさんには後で果物いっぱいご馳走しようと思いまふ。
それから10分ぐらいして、森の奥からズリズリと俺の分体が何かを引き摺りながら出て来た。
「おー、ちゃんと捕まえてきたなー。 ……こいつなんですかね?」
「俺も見たことない奴だな」
蔦で雁字搦めになったそいつは今まで見たことのない奴だった。
ぱっと見は狼か何かに見えるが、まず大きさが違う。
尻尾抜かして大体3mぐらいかな? あとやたらと顔……というか口がでかい。それに目が全部で4つある。
血走った目と涎ダラダラのその口を見るにどう見ても友好的には見えませぬな。
ゴリさんも見たこと無いとか、珍しい奴なのかもね。
「オーガよりは強いな」
「ですね」
ゴリさんも見たこと無いのと、俺の分体でも捕まえられるなら大丈夫だろうと言うことでちょっと戦ってみることになりました。
分体に指示をして蔦を解除した瞬間襲いかかってきたけどー……噛みつきが強力だけど、それぐらいかな?
牙に毒があるとかそんなことも無さそう。
検証終わったところでさくっとやって魔石頂きました。
オーガよりちょい強いぐらいだけど、分体は見た感じ無傷だね。
負傷したけど治っただけかも知れないけど……うん、この能力?は使えそうだ。
作るときの消耗がネックだけど、作ってしまえば色々便利そう。
索敵させても良いし、モンスター狩って果物作らせるのも出来るかな?
……出来るよね?
「味はそれなりニャ」
作らせて見ましたよ!
どうやら作れはするけど味は劣るみたいだ。
まあ、それでも十分美味しいのだろうけど……俺の作った果物の味に慣れてしまっているタマさんにはいまいちだったらしい。
桃を量産するとかで無ければ分体が果物を作ることは無いだろう。
やっぱ果物は俺が作らないとねっ。
「おし、検証も終わったし日が暮れる前に街に戻るとするか」
「報告しないとだニャー」
分体は吸収したし、あたりには他にモンスターは居ない。
新しい能力の検証も出来たし目的は達成した。あとは帰るだけである。 まあもうすぐ日が暮れるし、今日はそこの街で一泊することになるんだけどね。
「どうやって報告しようね?」
あー……俺の分体吸収したしねえ。
当然ながら魔石なんか無いし、もう大丈夫ですーと言っても信じて貰えないかも知れない?
どうすんべねーって悩んでいると、タマさんがちょいちょい前足でと地面をさすと、俺に声をかける。
「それ持っていけば良いんじゃないかニャ?」
「え゛」
タマさんがさしたもの、それは……俺の分体がはぎとった色とりどりな衣類であった。
え?これ持ってくの……?
0
お気に入りに追加
1,462
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる