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木の中にいる
「48話」
しおりを挟む「ところでタマさん。出すのってメロンでいい?」
「ニャ! もちろ……他にもあるのかニャ??」
もちろんメロンと言いかけてはたと言葉を止めるタマさん。
他にもあると気が付き、キラキラというかギラギラした目で俺を見つめ詰め寄ってくる。
ちょっと鼻息荒いですよ、タマさんてば。
「色々あるよー」
どうどう、と落ち着かせながら色々あることを伝える。
するとタマさんは飛び上がらんばかりに……というか実際飛び上がって喜びだした。
お腹がたぷたぷ揺れてて眼福です。ぐへへ。
「ニャ-! じゃあ別のにするニャ!……やっぱメロンも欲しいニャ!」
「あいあい、メロンもあとで出すよ」
それぐらいのわがまま、聞いて上げますとも。
だからあとでちょっとお腹をぷにっとですね。
「ニャ! それでお願いニャー」
「ほいほい……じゃあどんなのが良い? 甘さとか、大きさとか。言ってくれればそれにあったのにするよー」
候補いっぱいあるんだよねー。
せっかくだからタマさんの好みの果物にしたいし……と言うことで少しずつどんなのが良いか聞いて、それにあった果物を出すことにした。
「ニャ!? ニャー……悩むニャ」
タマさんむっちゃ悩んでますな。
眉間にしわが寄ってますよ。ちょっとくたびれ感が出ててこれはこれで可愛いです。
「大きさは今度は小っちゃいのがいいニャ。 甘い方が……でも酸味も少しあるといいニャー」
「ほいほい……いくつか候補あるけど、色はどうする?」
大きさは小さめで甘みは強いけど酸味もあると。
ふむふむ、いくつか候補があるけど……とりあえず色も候補にしてみた。
変な色言われない限りこれで絞りきれるでしょ。
「ニャー? 赤がいいニャ」
「あいあい。そんじゃーいっくよー」
なるほど赤か。
そういやタマさんがダンジョンに潜って食べてたのも赤い実だったね。 好きな色なのかな? リンゴも赤いしね。
ま、それはそうと出しますかね。
結構有名な果物だけどタマさん気に入ってくれるだろうか。
「ニャ! いっぱいなったニャ!」
「ふふふ……あ、やべやっぱ吸わないと」
作ったのはサクランボだ。
小さくて甘みが強く、酸味もあって赤い。リクエストにぴったり当てはまる。
一応イメージしたのは高級品で有名な佐〇錦のしかも桐箱につまってるやつだ。
まじ高級品である……なので個数は多いけど重さはそれほどでも無かったのに、一回で作りきることが出来なかった。
やはり高級品は消費が激しいね。
「ふいー」
なんとか一回の補給で作りきることが出来た。よかったよかった。
「綺麗ニャ! 美味しそうニャー」
早速サクランボを手にしたりタマさんだけど、すぐには口に入れず見た目を楽しんでいるようだ。
サクランボにしては大きな実に真っ赤に熟れた色合いが何かもうすごい。月並みだけどまじで宝石のようだ。
タマさんがまず見た目を楽しんだのも分かるというものだ。
……あ、そうだ。
「種あるから気を付けてねー」
種ぐらい平気で食べちゃいそうだけど、一応ね?
「ニャ! ニャニャッ!?」
元気よく返事をしてばくりと一口でいくタマさん。
ちょうど良いサイズだね、これ。
んで、反応はというと……目がまん丸で尻尾が狸のようになっているのはメロンと同じであるが……。
「……美味しいニャ。これもすごい美味しいニャー!」
「おーそりゃよかった……んじゃ、俺もっと」
メロンで耐性出来たのか我を失うことはなかったようだ。
といってもすげえ高速で前足を繰り出してるのは変わりないけど……ここから1個とるだけでも命がけですわ。
なので一粒だけ作って食べるのです。
しっかしサクランボにしてはでっかいなーこれ。
色も間近でみるとやばいぐらい綺麗だし……ぱくっとな。
「うっまー!」
口にした瞬間美味しさが弾けました。
メロンといい美味しすぎだろう……俺、甘党じゃなかったのになあ。これなら毎食食べたい。
……ん、種がけっこうでかい。
実が大きいからかな。
そう思いながらそのへんの地面に穴掘って種を埋める俺。
これ、育ったりしないよね?タマさんが言ってたことが本当なら育たないと思うけど……世界樹が嫉妬ってどういうことなの。
「……タマさんところで種は……」
俺は種は捨てたけど……タマさんまだ捨ててないよね?
ひとすら食うだけで口から種だしてないよね。まさか本当に食べちゃった?
「……プッ」
あ、違った貯め込んでただけだ。
タマさんはしたないですよ……って。
「威力やべえ!?」
タマさんがぷって吐き出した種がさ、木に当たったんだけど……表皮がはじけ飛んだ。自分でも何言ってるのか分からないけどまじではじけ飛んだの。
散弾銃並みの威力あるんじゃない、これ。
とまあそんなトラブル?はあったけどその後は特に何事もなく、ただひたすらサクランボを食いまくった。
オーガが果物につられて現れる何てことも無かった。狩りつくしといてよかったね。
またちょっと周囲が枯れちゃったけど……あまりやり過ぎるとギルドに怒られたりしないかな、これ。
……つ、次は加減して吸うことにしよう。
「あー、食った食った……しばらく横になってよっと」
それで食べ終えた俺とタマさんだけど、お腹一杯になったんでまた地面に横になってたんだよね。
それでふと横を見たときに……。
「……あれ?」
茂みに隠れて見えにくかったんだけど、何やら大きな穴が地面にぽっかり空いていることに気が付いたんだ。
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