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木の中にいる
「22話」
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リタさんはページをぺらぺらめくり、あるところでぴたりと動きを止める。
文章がずらずらと書かれているが、あいにくこちら側からは上手く読むことは出来なかった。
ただ、日付がちょくちょく書いてあるのはだけは分かった。たぶん日誌か何かじゃないかな?
紙は大分くすんでいて、端っこなんかはぼろぼろだ。
大分昔のギルド職員が残したものだろう、たぶん火事があったという当時の人のだろうね。
リタさんは俺がしっかり注目しているのをちらりと確認すると日誌を指さし口を開く。
「分かったのは索敵能力が優れていたこと、それに詳細は分かりませんが、特殊なポーションを作ることが出来たとだけ記録に残っていました」
「おおう……やっぱほとんど燃えちゃったんですね」
思っていたよりも少ない情報だった。
情報を管理している書類は燃えちゃって、たまたま日誌が残ってたんだろうね。
それでも情報は情報だ、何もないよりはずっといいのだが……。
俺がうんうんと唸っていると、一緒に後ろで聞いていたゴリさんが声をかけてくる。
「ウッド、お前索敵得意か?」
「いえ、まったく……」
目の前で茂みがガサゴソいうまで気が付きませんでしたね!
「ポーションに精しかったりは」
「いえ、さっぱりです……」
飲んだら回復するぐらいしか分からないぞっ!
「あんま参考にならん情報だったな……」
ゴリさんてばはっきり言うんだから、もう。
ほらリタさんちょっと苦笑いしてるじゃないのー。
「燃えてしまったのが本当に痛いですね、次のためにウッドさんから得られた情報は資料にして残していきます。 今後ウッドさんと同じ状態になった人の役に立つでしょう。 ウッドさんも協力して頂けると助かります……多少の謝礼はでますよ」
「はい、分かりました」
情報をわざわざ調べて貰ったんだもの、協力はしますぞ。
やばい情報は出し惜しみするけどねっ!
「話まとまったところで換金済ませちまえ。 いい加減腹減ってしょうがねえ」
そうだったそうだった。
もうね、ご飯が美味しくて楽しみで仕方ない。
お酒も美味しいし、ほんとう食い物に関しては文句ないね。
そのうち醤油とか欲しくなるかもだけどその時はその時だ。探せば見つかるかも知れないしね。
あ、でもあれだ。
何かデザートとかあまり無さそうなんだよね、何かの果物があったけどやたら高かったし、もしかするとこの辺りは甘い物があまりとれないのかも知れない。
甘党じゃなくてよかった。 たまに食べられればそれで満足なのです。
「では……魔石が190個で銀貨95枚……まさか2回やったので?」
「おう」
ええ、2回やりましたとも。
心がちょっぴり死にましたぞ。
「無理はしないでくださいね…………レンリ草140束、カラズ草70束、ゲンノウ草40束、クラギ草が40束……合計で銀貨121枚と銅貨2枚ですね、今ご用意します」
「すっご!?」
やっべえ、思わず声でたけどこれ稼ぎすぎじゃない?
周りからもざわめきが聞こえるし……ど、どどどどうしよう? こんな大金持ってると怖くなってくるんですけどっ!?
「借金なんぞすぐ返せるだろう? ああ、先に言っておくが俺に返すのは最後でいい。 先に店に払ってじいさん安心させてやれ」
「は、はい」
そ、そうだ。店に払って手持ちを少なくしよう、そうしよう。
ついでに剣も回収できるし……うん、それがいい。 俺みたいな小心者にはこんな大金持ってるだけで不安になる。
「ま、飯にすっぞ飯」
そう言うとゴリさんはテーブルへと向かって行ってしまう。
慌てて後を追った俺は、ゴリさんへ先に店に借金返してくることを伝えるとギルドを後にした。
ごはんうめえ。
「うまうま」
借金返してすっきりした後のご飯は美味しい。
まだ半分以上残ってるけどね、ハハハ。
「おう、よく噛んで食えよ」
ゴリさんあなたはおかんか何かですか。
「聞いたぞリーダー」
「ん?」
もっしゃもしゃとご飯を食べているとゴリさんのパーティメンバーが集まってきた。
ベルトラムさんは席につき、料理を注文するとゴリさんへ言葉を続ける。
「ゴブリン狩りまくったんだってな」
「ああ、あれが鍛えるには一番早いからな……装備が揃ったら次に行っても良いかも知れん」
次? 次ってゴブリンの次ってことかな?
ゴブリンなら結構な数でも対処できるようになってるけど、次の敵ってどれぐらい強いのだろうか。
「……さすがにそれはきついんじゃないか? 下手すると死ぬぞ……いや、ゴブリンの時点でもそうだが」
「勿論いきなりいったらそうだがな。 事前にきっちり戦い方仕込んでおくさ」
「あ、あの次っていったい……?」
な、なんかベルトラムさんの口から不吉な言葉が出ませんでしたっ!?
ゴリさんも否定しないし、次って何とやらされるのっ?
「ああ、お前もあの分厚いの読んだろう? ゴブリンの次と来ればコボルトだよ。 あれも大量に狩れる場所があるんだ」
あ、あーなるほどコボルトね。
うん定番定番。
って、油断するとよくないよね。
二人の話し方からしてゴブリンより大分手ごわいってことだろうし。
「ああ、なるほど……そんなにゴブリンと比べて強いんですか?」
「そうだな……っと、飯がきたか。 話は後だ後。 装備整えたらまた稽古するんだろ? その時に俺も参加するからついでに教えてやるよ」
「あ、ありがとうございます……?」
え、そこで話し止めちゃうのっ!?
しかも稽古相手が一人増えましたよ。 やったね! ……これ、喜んでいいのかな?
ゴリさん一人相手ですでに死にそうだった気がしなくもないのですケド。
「ウッドくんがんばれー」
「死なないと良いのですけど……」
そ、それってコボルトのことデスヨネ?
けっして稽古ではないですよねっ!?
文章がずらずらと書かれているが、あいにくこちら側からは上手く読むことは出来なかった。
ただ、日付がちょくちょく書いてあるのはだけは分かった。たぶん日誌か何かじゃないかな?
紙は大分くすんでいて、端っこなんかはぼろぼろだ。
大分昔のギルド職員が残したものだろう、たぶん火事があったという当時の人のだろうね。
リタさんは俺がしっかり注目しているのをちらりと確認すると日誌を指さし口を開く。
「分かったのは索敵能力が優れていたこと、それに詳細は分かりませんが、特殊なポーションを作ることが出来たとだけ記録に残っていました」
「おおう……やっぱほとんど燃えちゃったんですね」
思っていたよりも少ない情報だった。
情報を管理している書類は燃えちゃって、たまたま日誌が残ってたんだろうね。
それでも情報は情報だ、何もないよりはずっといいのだが……。
俺がうんうんと唸っていると、一緒に後ろで聞いていたゴリさんが声をかけてくる。
「ウッド、お前索敵得意か?」
「いえ、まったく……」
目の前で茂みがガサゴソいうまで気が付きませんでしたね!
「ポーションに精しかったりは」
「いえ、さっぱりです……」
飲んだら回復するぐらいしか分からないぞっ!
「あんま参考にならん情報だったな……」
ゴリさんてばはっきり言うんだから、もう。
ほらリタさんちょっと苦笑いしてるじゃないのー。
「燃えてしまったのが本当に痛いですね、次のためにウッドさんから得られた情報は資料にして残していきます。 今後ウッドさんと同じ状態になった人の役に立つでしょう。 ウッドさんも協力して頂けると助かります……多少の謝礼はでますよ」
「はい、分かりました」
情報をわざわざ調べて貰ったんだもの、協力はしますぞ。
やばい情報は出し惜しみするけどねっ!
「話まとまったところで換金済ませちまえ。 いい加減腹減ってしょうがねえ」
そうだったそうだった。
もうね、ご飯が美味しくて楽しみで仕方ない。
お酒も美味しいし、ほんとう食い物に関しては文句ないね。
そのうち醤油とか欲しくなるかもだけどその時はその時だ。探せば見つかるかも知れないしね。
あ、でもあれだ。
何かデザートとかあまり無さそうなんだよね、何かの果物があったけどやたら高かったし、もしかするとこの辺りは甘い物があまりとれないのかも知れない。
甘党じゃなくてよかった。 たまに食べられればそれで満足なのです。
「では……魔石が190個で銀貨95枚……まさか2回やったので?」
「おう」
ええ、2回やりましたとも。
心がちょっぴり死にましたぞ。
「無理はしないでくださいね…………レンリ草140束、カラズ草70束、ゲンノウ草40束、クラギ草が40束……合計で銀貨121枚と銅貨2枚ですね、今ご用意します」
「すっご!?」
やっべえ、思わず声でたけどこれ稼ぎすぎじゃない?
周りからもざわめきが聞こえるし……ど、どどどどうしよう? こんな大金持ってると怖くなってくるんですけどっ!?
「借金なんぞすぐ返せるだろう? ああ、先に言っておくが俺に返すのは最後でいい。 先に店に払ってじいさん安心させてやれ」
「は、はい」
そ、そうだ。店に払って手持ちを少なくしよう、そうしよう。
ついでに剣も回収できるし……うん、それがいい。 俺みたいな小心者にはこんな大金持ってるだけで不安になる。
「ま、飯にすっぞ飯」
そう言うとゴリさんはテーブルへと向かって行ってしまう。
慌てて後を追った俺は、ゴリさんへ先に店に借金返してくることを伝えるとギルドを後にした。
ごはんうめえ。
「うまうま」
借金返してすっきりした後のご飯は美味しい。
まだ半分以上残ってるけどね、ハハハ。
「おう、よく噛んで食えよ」
ゴリさんあなたはおかんか何かですか。
「聞いたぞリーダー」
「ん?」
もっしゃもしゃとご飯を食べているとゴリさんのパーティメンバーが集まってきた。
ベルトラムさんは席につき、料理を注文するとゴリさんへ言葉を続ける。
「ゴブリン狩りまくったんだってな」
「ああ、あれが鍛えるには一番早いからな……装備が揃ったら次に行っても良いかも知れん」
次? 次ってゴブリンの次ってことかな?
ゴブリンなら結構な数でも対処できるようになってるけど、次の敵ってどれぐらい強いのだろうか。
「……さすがにそれはきついんじゃないか? 下手すると死ぬぞ……いや、ゴブリンの時点でもそうだが」
「勿論いきなりいったらそうだがな。 事前にきっちり戦い方仕込んでおくさ」
「あ、あの次っていったい……?」
な、なんかベルトラムさんの口から不吉な言葉が出ませんでしたっ!?
ゴリさんも否定しないし、次って何とやらされるのっ?
「ああ、お前もあの分厚いの読んだろう? ゴブリンの次と来ればコボルトだよ。 あれも大量に狩れる場所があるんだ」
あ、あーなるほどコボルトね。
うん定番定番。
って、油断するとよくないよね。
二人の話し方からしてゴブリンより大分手ごわいってことだろうし。
「ああ、なるほど……そんなにゴブリンと比べて強いんですか?」
「そうだな……っと、飯がきたか。 話は後だ後。 装備整えたらまた稽古するんだろ? その時に俺も参加するからついでに教えてやるよ」
「あ、ありがとうございます……?」
え、そこで話し止めちゃうのっ!?
しかも稽古相手が一人増えましたよ。 やったね! ……これ、喜んでいいのかな?
ゴリさん一人相手ですでに死にそうだった気がしなくもないのですケド。
「ウッドくんがんばれー」
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