23 / 156
木の中にいる
「22話」
しおりを挟む
リタさんはページをぺらぺらめくり、あるところでぴたりと動きを止める。
文章がずらずらと書かれているが、あいにくこちら側からは上手く読むことは出来なかった。
ただ、日付がちょくちょく書いてあるのはだけは分かった。たぶん日誌か何かじゃないかな?
紙は大分くすんでいて、端っこなんかはぼろぼろだ。
大分昔のギルド職員が残したものだろう、たぶん火事があったという当時の人のだろうね。
リタさんは俺がしっかり注目しているのをちらりと確認すると日誌を指さし口を開く。
「分かったのは索敵能力が優れていたこと、それに詳細は分かりませんが、特殊なポーションを作ることが出来たとだけ記録に残っていました」
「おおう……やっぱほとんど燃えちゃったんですね」
思っていたよりも少ない情報だった。
情報を管理している書類は燃えちゃって、たまたま日誌が残ってたんだろうね。
それでも情報は情報だ、何もないよりはずっといいのだが……。
俺がうんうんと唸っていると、一緒に後ろで聞いていたゴリさんが声をかけてくる。
「ウッド、お前索敵得意か?」
「いえ、まったく……」
目の前で茂みがガサゴソいうまで気が付きませんでしたね!
「ポーションに精しかったりは」
「いえ、さっぱりです……」
飲んだら回復するぐらいしか分からないぞっ!
「あんま参考にならん情報だったな……」
ゴリさんてばはっきり言うんだから、もう。
ほらリタさんちょっと苦笑いしてるじゃないのー。
「燃えてしまったのが本当に痛いですね、次のためにウッドさんから得られた情報は資料にして残していきます。 今後ウッドさんと同じ状態になった人の役に立つでしょう。 ウッドさんも協力して頂けると助かります……多少の謝礼はでますよ」
「はい、分かりました」
情報をわざわざ調べて貰ったんだもの、協力はしますぞ。
やばい情報は出し惜しみするけどねっ!
「話まとまったところで換金済ませちまえ。 いい加減腹減ってしょうがねえ」
そうだったそうだった。
もうね、ご飯が美味しくて楽しみで仕方ない。
お酒も美味しいし、ほんとう食い物に関しては文句ないね。
そのうち醤油とか欲しくなるかもだけどその時はその時だ。探せば見つかるかも知れないしね。
あ、でもあれだ。
何かデザートとかあまり無さそうなんだよね、何かの果物があったけどやたら高かったし、もしかするとこの辺りは甘い物があまりとれないのかも知れない。
甘党じゃなくてよかった。 たまに食べられればそれで満足なのです。
「では……魔石が190個で銀貨95枚……まさか2回やったので?」
「おう」
ええ、2回やりましたとも。
心がちょっぴり死にましたぞ。
「無理はしないでくださいね…………レンリ草140束、カラズ草70束、ゲンノウ草40束、クラギ草が40束……合計で銀貨121枚と銅貨2枚ですね、今ご用意します」
「すっご!?」
やっべえ、思わず声でたけどこれ稼ぎすぎじゃない?
周りからもざわめきが聞こえるし……ど、どどどどうしよう? こんな大金持ってると怖くなってくるんですけどっ!?
「借金なんぞすぐ返せるだろう? ああ、先に言っておくが俺に返すのは最後でいい。 先に店に払ってじいさん安心させてやれ」
「は、はい」
そ、そうだ。店に払って手持ちを少なくしよう、そうしよう。
ついでに剣も回収できるし……うん、それがいい。 俺みたいな小心者にはこんな大金持ってるだけで不安になる。
「ま、飯にすっぞ飯」
そう言うとゴリさんはテーブルへと向かって行ってしまう。
慌てて後を追った俺は、ゴリさんへ先に店に借金返してくることを伝えるとギルドを後にした。
ごはんうめえ。
「うまうま」
借金返してすっきりした後のご飯は美味しい。
まだ半分以上残ってるけどね、ハハハ。
「おう、よく噛んで食えよ」
ゴリさんあなたはおかんか何かですか。
「聞いたぞリーダー」
「ん?」
もっしゃもしゃとご飯を食べているとゴリさんのパーティメンバーが集まってきた。
ベルトラムさんは席につき、料理を注文するとゴリさんへ言葉を続ける。
「ゴブリン狩りまくったんだってな」
「ああ、あれが鍛えるには一番早いからな……装備が揃ったら次に行っても良いかも知れん」
次? 次ってゴブリンの次ってことかな?
ゴブリンなら結構な数でも対処できるようになってるけど、次の敵ってどれぐらい強いのだろうか。
「……さすがにそれはきついんじゃないか? 下手すると死ぬぞ……いや、ゴブリンの時点でもそうだが」
「勿論いきなりいったらそうだがな。 事前にきっちり戦い方仕込んでおくさ」
「あ、あの次っていったい……?」
な、なんかベルトラムさんの口から不吉な言葉が出ませんでしたっ!?
ゴリさんも否定しないし、次って何とやらされるのっ?
「ああ、お前もあの分厚いの読んだろう? ゴブリンの次と来ればコボルトだよ。 あれも大量に狩れる場所があるんだ」
あ、あーなるほどコボルトね。
うん定番定番。
って、油断するとよくないよね。
二人の話し方からしてゴブリンより大分手ごわいってことだろうし。
「ああ、なるほど……そんなにゴブリンと比べて強いんですか?」
「そうだな……っと、飯がきたか。 話は後だ後。 装備整えたらまた稽古するんだろ? その時に俺も参加するからついでに教えてやるよ」
「あ、ありがとうございます……?」
え、そこで話し止めちゃうのっ!?
しかも稽古相手が一人増えましたよ。 やったね! ……これ、喜んでいいのかな?
ゴリさん一人相手ですでに死にそうだった気がしなくもないのですケド。
「ウッドくんがんばれー」
「死なないと良いのですけど……」
そ、それってコボルトのことデスヨネ?
けっして稽古ではないですよねっ!?
文章がずらずらと書かれているが、あいにくこちら側からは上手く読むことは出来なかった。
ただ、日付がちょくちょく書いてあるのはだけは分かった。たぶん日誌か何かじゃないかな?
紙は大分くすんでいて、端っこなんかはぼろぼろだ。
大分昔のギルド職員が残したものだろう、たぶん火事があったという当時の人のだろうね。
リタさんは俺がしっかり注目しているのをちらりと確認すると日誌を指さし口を開く。
「分かったのは索敵能力が優れていたこと、それに詳細は分かりませんが、特殊なポーションを作ることが出来たとだけ記録に残っていました」
「おおう……やっぱほとんど燃えちゃったんですね」
思っていたよりも少ない情報だった。
情報を管理している書類は燃えちゃって、たまたま日誌が残ってたんだろうね。
それでも情報は情報だ、何もないよりはずっといいのだが……。
俺がうんうんと唸っていると、一緒に後ろで聞いていたゴリさんが声をかけてくる。
「ウッド、お前索敵得意か?」
「いえ、まったく……」
目の前で茂みがガサゴソいうまで気が付きませんでしたね!
「ポーションに精しかったりは」
「いえ、さっぱりです……」
飲んだら回復するぐらいしか分からないぞっ!
「あんま参考にならん情報だったな……」
ゴリさんてばはっきり言うんだから、もう。
ほらリタさんちょっと苦笑いしてるじゃないのー。
「燃えてしまったのが本当に痛いですね、次のためにウッドさんから得られた情報は資料にして残していきます。 今後ウッドさんと同じ状態になった人の役に立つでしょう。 ウッドさんも協力して頂けると助かります……多少の謝礼はでますよ」
「はい、分かりました」
情報をわざわざ調べて貰ったんだもの、協力はしますぞ。
やばい情報は出し惜しみするけどねっ!
「話まとまったところで換金済ませちまえ。 いい加減腹減ってしょうがねえ」
そうだったそうだった。
もうね、ご飯が美味しくて楽しみで仕方ない。
お酒も美味しいし、ほんとう食い物に関しては文句ないね。
そのうち醤油とか欲しくなるかもだけどその時はその時だ。探せば見つかるかも知れないしね。
あ、でもあれだ。
何かデザートとかあまり無さそうなんだよね、何かの果物があったけどやたら高かったし、もしかするとこの辺りは甘い物があまりとれないのかも知れない。
甘党じゃなくてよかった。 たまに食べられればそれで満足なのです。
「では……魔石が190個で銀貨95枚……まさか2回やったので?」
「おう」
ええ、2回やりましたとも。
心がちょっぴり死にましたぞ。
「無理はしないでくださいね…………レンリ草140束、カラズ草70束、ゲンノウ草40束、クラギ草が40束……合計で銀貨121枚と銅貨2枚ですね、今ご用意します」
「すっご!?」
やっべえ、思わず声でたけどこれ稼ぎすぎじゃない?
周りからもざわめきが聞こえるし……ど、どどどどうしよう? こんな大金持ってると怖くなってくるんですけどっ!?
「借金なんぞすぐ返せるだろう? ああ、先に言っておくが俺に返すのは最後でいい。 先に店に払ってじいさん安心させてやれ」
「は、はい」
そ、そうだ。店に払って手持ちを少なくしよう、そうしよう。
ついでに剣も回収できるし……うん、それがいい。 俺みたいな小心者にはこんな大金持ってるだけで不安になる。
「ま、飯にすっぞ飯」
そう言うとゴリさんはテーブルへと向かって行ってしまう。
慌てて後を追った俺は、ゴリさんへ先に店に借金返してくることを伝えるとギルドを後にした。
ごはんうめえ。
「うまうま」
借金返してすっきりした後のご飯は美味しい。
まだ半分以上残ってるけどね、ハハハ。
「おう、よく噛んで食えよ」
ゴリさんあなたはおかんか何かですか。
「聞いたぞリーダー」
「ん?」
もっしゃもしゃとご飯を食べているとゴリさんのパーティメンバーが集まってきた。
ベルトラムさんは席につき、料理を注文するとゴリさんへ言葉を続ける。
「ゴブリン狩りまくったんだってな」
「ああ、あれが鍛えるには一番早いからな……装備が揃ったら次に行っても良いかも知れん」
次? 次ってゴブリンの次ってことかな?
ゴブリンなら結構な数でも対処できるようになってるけど、次の敵ってどれぐらい強いのだろうか。
「……さすがにそれはきついんじゃないか? 下手すると死ぬぞ……いや、ゴブリンの時点でもそうだが」
「勿論いきなりいったらそうだがな。 事前にきっちり戦い方仕込んでおくさ」
「あ、あの次っていったい……?」
な、なんかベルトラムさんの口から不吉な言葉が出ませんでしたっ!?
ゴリさんも否定しないし、次って何とやらされるのっ?
「ああ、お前もあの分厚いの読んだろう? ゴブリンの次と来ればコボルトだよ。 あれも大量に狩れる場所があるんだ」
あ、あーなるほどコボルトね。
うん定番定番。
って、油断するとよくないよね。
二人の話し方からしてゴブリンより大分手ごわいってことだろうし。
「ああ、なるほど……そんなにゴブリンと比べて強いんですか?」
「そうだな……っと、飯がきたか。 話は後だ後。 装備整えたらまた稽古するんだろ? その時に俺も参加するからついでに教えてやるよ」
「あ、ありがとうございます……?」
え、そこで話し止めちゃうのっ!?
しかも稽古相手が一人増えましたよ。 やったね! ……これ、喜んでいいのかな?
ゴリさん一人相手ですでに死にそうだった気がしなくもないのですケド。
「ウッドくんがんばれー」
「死なないと良いのですけど……」
そ、それってコボルトのことデスヨネ?
けっして稽古ではないですよねっ!?
0
お気に入りに追加
1,461
あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???

暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。

異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる