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木の中にいる

「21話」

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「お疲れさん。 1回目より戦いが上手くなったな、やっぱ鍛えるならこの手に限る」

ええ、次のラウンドも無事乗り切りましたとも。

所要時間は魔石回収含めて1時間ちょい、1回目よりも数が少なかったぽい。
戦闘自体は1回目よりもうまくいったのでゴリさんは実に機嫌良さそうである。

一方の俺はというと肉体的な疲れはほぼ無いが、精神的に結構きてそうな気がする。
最初は仮にも生き物を殺すってことで多少ためらいとかあったのですよ? そうは見えなかったかもだけど……躊躇ってるとこっち死んじゃうしね。

んで、2ラウンド目いってからは次第に躊躇いとか無くなってて、なんかこう何も感じないというか慣れた作業をただ繰り返すみたいな、心がドライになっていくのを感じていた。

この方法、鍛えるのにはいいかもだけど、精神衛生上はよろしくない気がするのです。

でもこれが一番効率が良いと周知されているんだろうからきっと皆やっているんだろう。
異世界の人たち、メンタル鋼過ぎない?

「新人はみんなこれやって鍛えてるんですか?」

「んな訳ないだろ。 新人にやらせたら死ぬわ」

「えぇぇ……」

皆じゃなかったよ!
そうだよね、新人とかいきなりこれやったら死ぬよね!
良かった、この体で……精神はやべぇけど。

帰って休みたい。精神癒したい……。
うぅ、どこかににゃんこでもおらんかな……動物は癒やしですよ。もふもふ成分を所望するのです。

「そんじゃー私帰るねー」

「ん? もういいのか?」

カールさんは先に帰るらしい。
結局この人適当にだべってお菓子食ってお茶飲んでただけだったのよね……一体何をしに……あ、本当に暇だからきたのか。なるほど。

「うん、鏃ついたのしか持ってきてないしねー。んじゃおっさきー」

…………なるほど?

「……鏃無かったらどうするつもりだったんですか」

「さあなあ、あいつの考えてることはよく分からんからな。 ま、飯くって草刈って帰るぞ」

付き合い長そうなゴリさんでも分からないて……。
あの人と二人きりになるのはやめとこうと誓う俺であった。


ちなみにお昼ご飯は養分吸ってお腹一杯になってしまったので全てゴリさんのお腹に収まったよ。
ゴリさんはなんかすっごい大量のお肉を挟んだバゲット?に齧りついてた。 めっちゃ美味しそうでしたとも……今日の夕飯は絶対あれ食べるんだ……。

あと、おかきを1個だけ貰ってみたけど結構美味しかった。
やっぱこの世界の食べ物は美味しい。ほんとそこはありがたいね、もし不味かったら前世の記憶を生かして俺が料理を……と言いたいところだけど、どうやら前世の俺は料理というものをほとんどしていなかったらしい。 それか記憶が消されているかだ。

料理の知識が悲しくなるぐらい乏しかったんだよね、食材とかの記憶は残っていたんだけど意味ないし。

まあ、深く考えてもしゃーないことである。
料理美味しければそれでいいのだ。


そして昼食後は草刈りである。
昨日の失敗を踏まえて袋は多めに持ってきている。

とはいえその大量の袋もすぐに一杯になってしまったわけだけど。
どうやら昨日よりとるの上手くなってるぽい?


そんなこんなで袋が全部一杯になってしまったのでダンジョンから帰還ですよ。

「おほー、大量大量」

一人じゃ抱えきれないぐらいの袋を持ってギルドへと突入する。
入った瞬間ざわざわとざわめきが広がっていく。 これだけ大量に薬草を取って来る人は早々居ないのだろう。それが新人だとすれば尚更だ。

ふふふ……草刈り名人となる日も近そうだ。
草刈りしているとなんか楽しいし、この体のおかげもあって向いているような気がする。精神衛生上も良いしね、ランク上がっても草刈りは続けようと思う。

「やっぱ薬草多いな。 昨日の倍近くあるんじゃないか?」

もっと褒めて!

「袋たくさん持っていって良かったです」

「だな。 ほれ、さっさと換金してこい。 飯にするぞ」

「はいっ」

そうだ、ご飯だご飯。
昼食べられ無かった分がっつり食うんだ。

と言うわけでささっと換金済ませるよ。 リタさんお願いしまーっす!

「リタさん、換金お願いしますー」

カウンターにどさどさと薬草や魔石が入った袋を置いていく。
明らかに昨日より多いその量にリタさんの目が大きく開かれる。 やったぜ。

「これは……全てゴブリンの魔石ですね。 ゴリさん貴方まさかあそこで狩ったんですか?」

「おう。 まだ余裕ありそうだったぜ?」

精神的にはいっぱいいっぱいですぞ。

「それはまた……その体、かなり補正が高いようですね」

「みたいです。 そのあたりの情報って何か残ってないんですか?」

そういや前回聞くの忘れてたんだった。
詳しいのは燃えちゃったらしいけど、それってつまりはそうじゃない情報は残っているということだよね。

するとリタさんは袋を一旦横に除けると、引き出しから一冊のぼろい本を取り出した。

「そうですね……実は午前中に少し調べて見たんです」

おおう、まさか調べていてくれたとはありがたや。
そいでどんな情報があったのかなー?
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