9 / 156
木の中にいる
「8話」
しおりを挟む
ゴリさん曰く。
「俺たちは暫くの間この町に滞在する予定だ。 大抵はギルドで酒飲んでるから……ダンジョン行って戻ってきたら顔出せ。 ちゃんと返せよ?」
ってことなんだけど……たぶんこれアドバイスとかしてやるよってことなんだろうなあ。
ゴリさん達には本当感謝しかない、もう足向けて寝られないね……っと、そうだったまだ名前聞いてなかった。 このままじゃうっかりゴリさんて呼んでしまいかねない……それすごくまずい。
「はい! 本当にありがとうございます……えっと」
「あん?」
「お名前伺ってもよろしいですか?」
俺の問いにきょとんとした表情を浮かべたゴリさん。
くるっと仲間たちを振り返ると首を傾げつつ声をかける。
不意打ちで可愛い仕草するでない。
「……名乗ってなかったか?」
「名乗ってないぞ、リーダー」
「やだなーもうボケたの?」
「良い薬ありますよ?」
なかなか酷い言われようである。
でもこれも皆仲が良いからこそ出来ることだよね。 いずれ俺もパーティを組む時がくるのだろうか、もし来るのであれば彼らのように良い関係を築けるようにしたいものだ。
「うっせえいらねーよ……俺はゴリアテ。 このパーティのリーダーやっている」
「ゴ、ゴリ……」
まさかの本名ゴリさんだった!?
思わず口にしてしまったけど叫ばなかっただけ褒めてほしい!
「……どうかしたか?」
やばい! ゴリさんが俺の様子を怪訝そうに伺っている。
こ、ここはうまく誤魔化さないと!
「い、いえっ……か、格好いい名前だなーと思って!」
ど、どうだ!?
若干棒読みだったかも知れないけどこれでなんとか……っ!
「おう、そうかそうか。 お前なかなか見どころあるな!」
「は、はい。 ありがとうございます!」
せえぇぇぇっっふ!!
あー…………もう本当やめてくれよぉ心臓に悪すぎる……これ絶対寿命縮まったよ。
「……私はマリー。 このパーティの回復役と攻撃役どっちも担当してます。 よろしくね」
次はマリーさんね。
俺とゴリさんのやりとりを見て怪訝そうな表情を一瞬浮かべるけど、すぐ引っ込めてそのまま自己紹介してくれた。
俺の必死な感じを察してくれたのかも知れない。優しい。
魔法使うのは知っていたけど回復と攻撃両方やるときましたか。
両方使えるのが一般的なのかそれとも彼女が特殊なのか……何となく後者な気がする。
いずれ機会があれば魔法について話を聞いてみたい方である。
「俺はベルトラム。 リーダーと同じでパーティでは盾役と攻撃役どっちもやってる」
ゴリさん2号はゴリさんじゃなかった。
なんか割と格好良さげな名前だぞ……いやゴリアテも格好良いとは思うけどね、ぴったりだし。
盾役は何となくそうじゃないかなーと思っていた。
二人とも結構ごつい盾持っているしね、てか装備も体格も顔も全体的にごついのだけど。
自分の場合はどうなるのかなあ、力は強いし盾役も攻撃役もどっちも出来そうな気はするけど……あ、右半身だけと考えると攻撃役になるのかな、左半身が貧弱なもんでバランスがねえ……。
「私はカールだよー。 斥候役とー攻撃役もやってるよん。 よっろしくー」
うん、やっぱバランス考えると必要だよね、斥候役。
てかこの人も攻撃役兼ねてるのか。
4人中3人も攻撃役なのかー、攻撃よりだなあとか思ってたのにまさか全員とはねえ。
……そしてやっぱこの人どっちか分かんない。
名前は男性ぽい? でも一人称私だし喋り方可愛い……体格がなあ、ちょっと鎧とかで分からんのよねぇ。
よし、やめよう深く考えるのは。
とりあえずこっちも挨拶返さないと。
「よ、よろしくお願いします。 俺は……お、れは……あれ?」
……うっそだろ。
まさか……いや、てか何で今まで気が付かなかったんだ俺ってば……。
記憶があやふやなのは分かってたけど、まさかこれを忘れているなんてさすがにショックがでかい。
俺の顔色がさぁっと変わったのが分かったのだろう。
ゴリさんが顔を覗き込むように屈み、声を掛けてくる。
「どうした?」
「名前……分かんないす」
俺、自分の名前すら忘れていたんだ。
「落ち着いたか?」
「はい……すんません」
割とまじで凹んでいる俺を気にかけ、結局落ち着くまでそばに居てくれたゴリさん。
まじええ人や……。
「なあ、リーダー……」
「……っち、仕方ねえなあ。 おら、行くぞ」
「うぇ?」
ゴリさんとベルトラムさんが何やら話していたかと思うと、急に行くぞと声を掛けられた。
一体どこに?と理解が追い付いてない俺は呆けっとした声で返事をしてしまう。
「ダンジョンシーカーとしてやってくんだろ? とりあえず仮名でも登録出来るよう話してやる」
「あ、ああありがとうございますうぅぅぅっ!!」
!? ま、まさかそこまで面倒見てもらえるとはっ……ありがてぇ、拝んでおこう。
あ、拝んだら何か嫌そうな顔を……いや、これ照れてるのだろうか。
俺の視線に気づいたゴリさんがふいっと顔をそらす。
あ、これ照れてますわ。
「何だかんだ言って面倒見良いんだからなー」
「出会った時のは何だったんでしょうね」
「うっせえ」
仲間にからかわれたゴリさんは足早にその場をあとにする。
俺はゴリさんの後を追って……待って、超早いんですけど歩くってレベルじゃないんですけど、待って!ゴリさん、待ってぇ!!
「俺たちは暫くの間この町に滞在する予定だ。 大抵はギルドで酒飲んでるから……ダンジョン行って戻ってきたら顔出せ。 ちゃんと返せよ?」
ってことなんだけど……たぶんこれアドバイスとかしてやるよってことなんだろうなあ。
ゴリさん達には本当感謝しかない、もう足向けて寝られないね……っと、そうだったまだ名前聞いてなかった。 このままじゃうっかりゴリさんて呼んでしまいかねない……それすごくまずい。
「はい! 本当にありがとうございます……えっと」
「あん?」
「お名前伺ってもよろしいですか?」
俺の問いにきょとんとした表情を浮かべたゴリさん。
くるっと仲間たちを振り返ると首を傾げつつ声をかける。
不意打ちで可愛い仕草するでない。
「……名乗ってなかったか?」
「名乗ってないぞ、リーダー」
「やだなーもうボケたの?」
「良い薬ありますよ?」
なかなか酷い言われようである。
でもこれも皆仲が良いからこそ出来ることだよね。 いずれ俺もパーティを組む時がくるのだろうか、もし来るのであれば彼らのように良い関係を築けるようにしたいものだ。
「うっせえいらねーよ……俺はゴリアテ。 このパーティのリーダーやっている」
「ゴ、ゴリ……」
まさかの本名ゴリさんだった!?
思わず口にしてしまったけど叫ばなかっただけ褒めてほしい!
「……どうかしたか?」
やばい! ゴリさんが俺の様子を怪訝そうに伺っている。
こ、ここはうまく誤魔化さないと!
「い、いえっ……か、格好いい名前だなーと思って!」
ど、どうだ!?
若干棒読みだったかも知れないけどこれでなんとか……っ!
「おう、そうかそうか。 お前なかなか見どころあるな!」
「は、はい。 ありがとうございます!」
せえぇぇぇっっふ!!
あー…………もう本当やめてくれよぉ心臓に悪すぎる……これ絶対寿命縮まったよ。
「……私はマリー。 このパーティの回復役と攻撃役どっちも担当してます。 よろしくね」
次はマリーさんね。
俺とゴリさんのやりとりを見て怪訝そうな表情を一瞬浮かべるけど、すぐ引っ込めてそのまま自己紹介してくれた。
俺の必死な感じを察してくれたのかも知れない。優しい。
魔法使うのは知っていたけど回復と攻撃両方やるときましたか。
両方使えるのが一般的なのかそれとも彼女が特殊なのか……何となく後者な気がする。
いずれ機会があれば魔法について話を聞いてみたい方である。
「俺はベルトラム。 リーダーと同じでパーティでは盾役と攻撃役どっちもやってる」
ゴリさん2号はゴリさんじゃなかった。
なんか割と格好良さげな名前だぞ……いやゴリアテも格好良いとは思うけどね、ぴったりだし。
盾役は何となくそうじゃないかなーと思っていた。
二人とも結構ごつい盾持っているしね、てか装備も体格も顔も全体的にごついのだけど。
自分の場合はどうなるのかなあ、力は強いし盾役も攻撃役もどっちも出来そうな気はするけど……あ、右半身だけと考えると攻撃役になるのかな、左半身が貧弱なもんでバランスがねえ……。
「私はカールだよー。 斥候役とー攻撃役もやってるよん。 よっろしくー」
うん、やっぱバランス考えると必要だよね、斥候役。
てかこの人も攻撃役兼ねてるのか。
4人中3人も攻撃役なのかー、攻撃よりだなあとか思ってたのにまさか全員とはねえ。
……そしてやっぱこの人どっちか分かんない。
名前は男性ぽい? でも一人称私だし喋り方可愛い……体格がなあ、ちょっと鎧とかで分からんのよねぇ。
よし、やめよう深く考えるのは。
とりあえずこっちも挨拶返さないと。
「よ、よろしくお願いします。 俺は……お、れは……あれ?」
……うっそだろ。
まさか……いや、てか何で今まで気が付かなかったんだ俺ってば……。
記憶があやふやなのは分かってたけど、まさかこれを忘れているなんてさすがにショックがでかい。
俺の顔色がさぁっと変わったのが分かったのだろう。
ゴリさんが顔を覗き込むように屈み、声を掛けてくる。
「どうした?」
「名前……分かんないす」
俺、自分の名前すら忘れていたんだ。
「落ち着いたか?」
「はい……すんません」
割とまじで凹んでいる俺を気にかけ、結局落ち着くまでそばに居てくれたゴリさん。
まじええ人や……。
「なあ、リーダー……」
「……っち、仕方ねえなあ。 おら、行くぞ」
「うぇ?」
ゴリさんとベルトラムさんが何やら話していたかと思うと、急に行くぞと声を掛けられた。
一体どこに?と理解が追い付いてない俺は呆けっとした声で返事をしてしまう。
「ダンジョンシーカーとしてやってくんだろ? とりあえず仮名でも登録出来るよう話してやる」
「あ、ああありがとうございますうぅぅぅっ!!」
!? ま、まさかそこまで面倒見てもらえるとはっ……ありがてぇ、拝んでおこう。
あ、拝んだら何か嫌そうな顔を……いや、これ照れてるのだろうか。
俺の視線に気づいたゴリさんがふいっと顔をそらす。
あ、これ照れてますわ。
「何だかんだ言って面倒見良いんだからなー」
「出会った時のは何だったんでしょうね」
「うっせえ」
仲間にからかわれたゴリさんは足早にその場をあとにする。
俺はゴリさんの後を追って……待って、超早いんですけど歩くってレベルじゃないんですけど、待って!ゴリさん、待ってぇ!!
0
お気に入りに追加
1,462
あなたにおすすめの小説
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる