76 / 332
75話 「いったんお別れ」
しおりを挟む
翌日、昼食をとる前に食堂に集まった従業員とアイネさん一行……それに何名かの探索者。保存食などを渡すにあたり加賀の加護を確認しておこうと言う話しになったのだ。
午前中はアイネさん方の予定があったため、開始は昼からとなっった。
「それじゃーはじめまーす。……の前にシェイラさんたちは今日はどしたの?」
「はっはー。それがねー装備整備に出しちゃってだ戻ってこないのよねー。ほら今ダンジョン目当ての探索者一杯じゃない? それで鍛冶屋も手まわんないみたいなのよ……そんで暇してたら何かやるって聞いたから」
参加してみたと言うシェイラと頷くヒューゴとアルヴィン。
「どっこ行っても混んでてさーとりあえず預けてきたは良いけどあれ、今日明日じゃぜってー終わらないぜ」
「あー……了解でーす」
どうやらアイネさん達が出発した後も昼限ってはいつもより作る量を増やさねばならないようだ。
とりあえずその事は頭の片隅においやると、加賀はあらかじめ用意してあった燻製肉を取り出す。
「これ、ついさっきできたばかりのベーコンです。最後の燻製するときだけお手伝いしたやつですがー……本当は1日置くのだけど、とりあえず焼いただけの食べてみてくださいなー」
そういって大きめの皿にどさりと炒めたベーコンを乗せる加賀。
すぐさま小皿片手に集まる一同、あっという間に皿の上が空になる。
「えぇー……アイネさんどでした?」
「ん……うん、おいしい」
それを聞いて軽く頷くと次に取り掛かる加賀。
最初のは元より問題ないと分かっていたのであっさりしたものである。
「それじゃー、バクスさん。同じ感じでベーコン炙ってくださいなー」
「お、俺か……まあ良いが」
言われて加賀と入れ替わりベーコンを炒めるバクス。
肉汁がこげ香ばしい匂いが漂う。
「うん……これも、大丈夫よ」
「ん、ここまでは予想通りだねー。それじゃ次アイネさんお願いしまーす」
はい、と返事をしふらりと立ち上がるアイネ。
フライパンを握る手は特に手間取る感じもなく、むしろ手慣れたようにすら見える。
それをみて加賀は軽く首を傾げ口を開く。
「もしかしてアイネさん料理できるんです?」
「えぇ、長生きしてると作る機会があるのよ、自分では食べないのだけど」
そういって軽く笑い……基本骸骨なので分かりにくいが笑ったような仕草を見せ、皿に炒めたベーコンを移すアイネ。
パクリと一枚口に放り込み咀嚼する。
「ん、これもいけるね」
「よかったー。それじゃ次いってみよー」
はい、これーと言って調味料を渡す加賀。
加賀が作ったもので今渡せるもので多少日持ちするのはケチャップぐらいであった。
「卵に乗っていたやつ、かな。試しに焼いてみるね」
起用にフライパンをゆすり卵の形を整えていく。
フライパンから皿に移された卵はきれいなラグビーボールの形をしていた。
「むっちゃ上手いですね……」
「ありがとう、うん。おいしい、昨日も思ったけどこ赤いの卵と相性良いね……」
どうやらかけるだけで大丈夫なようだ。
念の為ケチャップを使って炒め物作って貰うがこれも問題なし。
「あれ、条件だいぶゆるゆるだねー」
「緩すぎないか? いや、まあ良いんだけどな……」
「私としては緩いほうが助かる……王都からここまで往復2週間、その期間分の保存食作ってもらうなんて、ちょっと無理があるもの」
取りあえず作ったベーコン等の残りとケチャップを渡すことにした加賀。
ソースは在庫があまりなく、またすぐ作れるものでもないので調味料として渡すのはケチャップのみとなる。
「あとはそれだけじゃ飽きるでしょうし……保存の利きそうなクラッカーとかそのあたりも用意しておきなすね」
加賀の提案に喜ぶアイネ。それを笑顔で眺める面々。ちらちらとローブから覗く骨がちとホラーではあるがほっこりした空気が流れる。
「それじゃーちゃんとご飯作りましょっか。みんな席で待っててね」
その言葉を聞いて歓声を上げる探索者達、気がつけば最初よりも人数が増えている。
それを見た加賀は苦笑しつつ取りあえずうーちゃんを確保しに行くのであった。
「そういや八木は今日おやすみなの?」
「ああ、人足りなさそうだからって休みとったんよ」
どうやら人手が足りないのを心配し、八木は休みを取っていたらしい。
その言葉に加賀はそっと心の中で感謝の言葉を呟く。
何だかんだでその辺り気が回る男なのである。
「それじゃ行くね、なるべく良い方向に持っていくから期待してて」
翌朝、馬車に加賀の作った保存食などを積み込むと、馬車は東にある首都へと向かって旅立った。
これからおよそ2週間かけ首都での会議を終わらせてここに一度戻ってくるのだ。
当初はちょっとしたトラブルになるかも、と思っていた今回の出来事だが終わってみれば何事もなく終わっていた。
むしろ加賀の加賀の理解が深まり、アイネといった知り合い、協力者が得られた分良い出来事だったと言えるだろう。
ともかくま2週間先までいつも通りの生活が始まる、探索者達はダンジョンへと向かい。八木は事務所に、宿の従業員は宿へとそれぞれ向かうのであった。
午前中はアイネさん方の予定があったため、開始は昼からとなっった。
「それじゃーはじめまーす。……の前にシェイラさんたちは今日はどしたの?」
「はっはー。それがねー装備整備に出しちゃってだ戻ってこないのよねー。ほら今ダンジョン目当ての探索者一杯じゃない? それで鍛冶屋も手まわんないみたいなのよ……そんで暇してたら何かやるって聞いたから」
参加してみたと言うシェイラと頷くヒューゴとアルヴィン。
「どっこ行っても混んでてさーとりあえず預けてきたは良いけどあれ、今日明日じゃぜってー終わらないぜ」
「あー……了解でーす」
どうやらアイネさん達が出発した後も昼限ってはいつもより作る量を増やさねばならないようだ。
とりあえずその事は頭の片隅においやると、加賀はあらかじめ用意してあった燻製肉を取り出す。
「これ、ついさっきできたばかりのベーコンです。最後の燻製するときだけお手伝いしたやつですがー……本当は1日置くのだけど、とりあえず焼いただけの食べてみてくださいなー」
そういって大きめの皿にどさりと炒めたベーコンを乗せる加賀。
すぐさま小皿片手に集まる一同、あっという間に皿の上が空になる。
「えぇー……アイネさんどでした?」
「ん……うん、おいしい」
それを聞いて軽く頷くと次に取り掛かる加賀。
最初のは元より問題ないと分かっていたのであっさりしたものである。
「それじゃー、バクスさん。同じ感じでベーコン炙ってくださいなー」
「お、俺か……まあ良いが」
言われて加賀と入れ替わりベーコンを炒めるバクス。
肉汁がこげ香ばしい匂いが漂う。
「うん……これも、大丈夫よ」
「ん、ここまでは予想通りだねー。それじゃ次アイネさんお願いしまーす」
はい、と返事をしふらりと立ち上がるアイネ。
フライパンを握る手は特に手間取る感じもなく、むしろ手慣れたようにすら見える。
それをみて加賀は軽く首を傾げ口を開く。
「もしかしてアイネさん料理できるんです?」
「えぇ、長生きしてると作る機会があるのよ、自分では食べないのだけど」
そういって軽く笑い……基本骸骨なので分かりにくいが笑ったような仕草を見せ、皿に炒めたベーコンを移すアイネ。
パクリと一枚口に放り込み咀嚼する。
「ん、これもいけるね」
「よかったー。それじゃ次いってみよー」
はい、これーと言って調味料を渡す加賀。
加賀が作ったもので今渡せるもので多少日持ちするのはケチャップぐらいであった。
「卵に乗っていたやつ、かな。試しに焼いてみるね」
起用にフライパンをゆすり卵の形を整えていく。
フライパンから皿に移された卵はきれいなラグビーボールの形をしていた。
「むっちゃ上手いですね……」
「ありがとう、うん。おいしい、昨日も思ったけどこ赤いの卵と相性良いね……」
どうやらかけるだけで大丈夫なようだ。
念の為ケチャップを使って炒め物作って貰うがこれも問題なし。
「あれ、条件だいぶゆるゆるだねー」
「緩すぎないか? いや、まあ良いんだけどな……」
「私としては緩いほうが助かる……王都からここまで往復2週間、その期間分の保存食作ってもらうなんて、ちょっと無理があるもの」
取りあえず作ったベーコン等の残りとケチャップを渡すことにした加賀。
ソースは在庫があまりなく、またすぐ作れるものでもないので調味料として渡すのはケチャップのみとなる。
「あとはそれだけじゃ飽きるでしょうし……保存の利きそうなクラッカーとかそのあたりも用意しておきなすね」
加賀の提案に喜ぶアイネ。それを笑顔で眺める面々。ちらちらとローブから覗く骨がちとホラーではあるがほっこりした空気が流れる。
「それじゃーちゃんとご飯作りましょっか。みんな席で待っててね」
その言葉を聞いて歓声を上げる探索者達、気がつけば最初よりも人数が増えている。
それを見た加賀は苦笑しつつ取りあえずうーちゃんを確保しに行くのであった。
「そういや八木は今日おやすみなの?」
「ああ、人足りなさそうだからって休みとったんよ」
どうやら人手が足りないのを心配し、八木は休みを取っていたらしい。
その言葉に加賀はそっと心の中で感謝の言葉を呟く。
何だかんだでその辺り気が回る男なのである。
「それじゃ行くね、なるべく良い方向に持っていくから期待してて」
翌朝、馬車に加賀の作った保存食などを積み込むと、馬車は東にある首都へと向かって旅立った。
これからおよそ2週間かけ首都での会議を終わらせてここに一度戻ってくるのだ。
当初はちょっとしたトラブルになるかも、と思っていた今回の出来事だが終わってみれば何事もなく終わっていた。
むしろ加賀の加賀の理解が深まり、アイネといった知り合い、協力者が得られた分良い出来事だったと言えるだろう。
ともかくま2週間先までいつも通りの生活が始まる、探索者達はダンジョンへと向かい。八木は事務所に、宿の従業員は宿へとそれぞれ向かうのであった。
10
お気に入りに追加
823
あなたにおすすめの小説
こちらの世界でも図太く生きていきます
柚子ライム
ファンタジー
銀座を歩いていたら異世界に!?
若返って異世界デビュー。
がんばって生きていこうと思います。
のんびり更新になる予定。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
★加筆修正中★
なろう様にも掲載しています。
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
転生したらついてましたァァァァァ!!!
夢追子
ファンタジー
「女子力なんてくそ喰らえ・・・・・。」
あざと女に恋人を奪われた沢崎直は、交通事故に遭い異世界へと転生を果たす。
だけど、ちょっと待って⁉何か、変なんですけど・・・・・。何かついてるんですけど⁉
消息不明となっていた辺境伯の三男坊として転生した会社員(♀)二十五歳。モブ女。
イケメンになって人生イージーモードかと思いきや苦難の連続にあっぷあっぷの日々。
そんな中、訪れる運命の出会い。
あれ?女性に食指が動かないって、これって最終的にBL!?
予測不能な異世界転生逆転ファンタジーラブコメディ。
「とりあえずがんばってはみます」
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる