223 / 332
221話 「カレー出来たよ」
しおりを挟む
フライパンの中身を覗き込んだアイネがすんすんと鼻を鳴らす。
熱した油にと共にパチパチとはじける音をさせている物、それが匂いの元である。
「その種? すっごい良い匂いするね」
「でしょでしょ? このあたりの香辛料無いとどうしても物足りなくてねー、やー手に入ってよかった」
匂いの元の正体はクミンシードである。炒めると恐ろしく食欲を刺激する匂いを発するのだ、八木が引き付けられた匂いもこれである。
これらを初めとしたカレーを作るのに必要な香辛料が手元になく今まではカレー作りを諦めていた。
「デミグラスソースも入れるのね」
「うん、作り方は本当いっぱいあるんだけど……ボクの場合はこれかな。他の作り方もいずれやってみたい所だね」
加賀の作り方はデミグラスソースを使ったやり方だ。
そのあたりはある程度ストックがあるので必要な香辛料さえ手に入れてしまえばカレーは作れてしまう。
「ってな訳で出来たよ。はい、ちょっと味見してみて」
「……! これっ」
味見と言って渡されたスプーンをぱくりと咥えたアイネのその目が驚きに見開かれる。
辛いには辛いが複雑に旨みが絡み合いまろやかな味に仕上がっている。美味しいのは確かだろう、ただその複雑な味に感想がうまくでてこないらしい。
「うまく出来たみたいだねー、そんじゃ皆腹ペコだろうし配膳しよっか」
そう言って皿にご飯をよそう加賀。
食堂では八木やうーちゃんを初めてした腹ペコたちがご飯が出てくるのを今か今かと待ち構えているはずである。
ちなみに今日の厨房は加賀とアイネの二人だけで切り盛りしていたりする。カレーの良いところはルーを作ってご飯を炊いておけば後はよそうだけで済んでしまうという点もある。普段ならうーちゃんとバクスの手伝いがいるが今日は二人だけでも大分余裕がある。
そして場所と時間は変わってダンジョンの入り口近くの事。何時もの様にダンジョンから戻った探索者達が疲れた表情を浮かべ宿への帰路についていた。
前日と異なるのはダンジョンを出てすぐにガイの鼻がまた何かの匂いを嗅ぎ取った事だろう。
「あれ、また何か嗅いだこと無い匂いするっすね」
歩きながら鼻をならして皆にまた嗅いだことの無い匂いがした事を伝えるガイ。
「おん? ……まあ、位置的に宿じゃねえな。どんな匂いだ?」
「すっごい腹減りそうな匂いっすね」
先日と違って場所がダンジョン前と言う事で宿から大分離れている為、匂いの元は宿では無いだろうとあたりをつけたヒューゴであるが、それでも一応気になるのかどんな匂いなのかとガイに尋ねる。
「それはちょっと気になりますねえ」
「そのうち宿でも出すんじゃなーい? それより早く宿帰ろうよーお腹空いたよー」
「それもそうだの」
お腹が減りそうな匂い、つまりは美味しそうな匂い。
もし宿以外でその様な料理を出せるのであればいずれ宿でも出すだろう、そんな事よりお腹が減ったので早く戻りたいと訴えるシェイラの言葉に皆も同じ思いだったのか幾分歩くペースを早め宿へと向かうのであった。
「……この匂いがそうか」
「確かに、食欲を刺激する匂いです」
宿に近づいていくにつれ匂いは強くなっていく。
最初はガイのみが嗅ぎ取れた匂いも今では全員の鼻に届いていた。
「え、この匂いやばくない? これ宿が発生源だよね絶対。外なのにこれって……」
「宿の前に立ち止まってる人いるじゃねえか……てかこの匂い……絶対美味いぞこれ」
そして宿の前までくると匂いはよりはっきりしたものとなっていた。
ときおり宿の前の通りを歩く者が立ち止まり、一体この匂いは何なのかと宿の様子をちらちらと伺っている。
「うおっ」
「わっ、玄関あけたらもっとすごい」
「おぉぉぉ……やべえむっちゃ腹鳴ってる」
匂いに誘われる様に宿の玄関に向かった探索者達の鼻をカレーの匂いが刺激する。
それは空きっ腹で嗅ぐには中々つらい香りだろう、何名もの腹からぐぅと音が聞こえてくる。
「お、八木っちじゃん。もう待機してたの?」
「あ、皆さんお疲れさまっす。いやー今日は俺の好物なもんでもう楽しみすぎて……」
探索者達が食堂に入るとそこには八木が既にスタンバっている状態であった。
シェイラに声を掛けられた八木は皆に軽く挨拶をし、ぎゅるるると盛大に腹を鳴らす。
それに呼応する様にあちこちから聞こえる腹の音、みんなもう色々と限界である。
「んっし、皆おっまたせー」
それと同時ぐらいにふいに騒がしくなった食堂から皆が戻ってきた察知していた加賀がカレーの皿を持って現れる。
歓声をもって歓迎する探索者達の前に次々カレーの皿が並んでいく。
「見た目はビーフシチューに似てますね、ただ香りはまったく別物ですが」
「んなこた見たらわかるってーの。早速いっただきまーす……ん、辛っ……うまっ!?」
最初の一口はまず香りが鼻に抜け、ついで辛さ、旨味が舌に来る。
香りと辛さに一瞬面食らうがすぐに美味しいと理解し、あとはひたすら無言でスプーンを動かし続ける。
辛さは甘口であり、慣れれば気になる辛さではないが熱々のカレーと合わさって体がどんどん火照ってくる、一皿目を食べ終わる頃には額に汗が浮かんでいた。
「加賀ちゃんお代わり! 大盛りで!」
「あ、俺もお願いいます。いやこれ美味いですねぇ」
一人がお替りしたのを皮切りに周りからも次から次へとお代わりの声が上がる。
「はい、おまたせー」
「おっ、はやい」
普段の食事であれば、物によっては一から作らないといけないので次が出てくるまで多少時間が掛かる。
だが今日は違う。ご飯とカレーを皿によそうだけなので、急なお代わりにも対応は可能である。
探索者達はすぐに出てきたお代わりを見て笑みを浮かべるとガフガフと音がしそうな勢いでカレーをかっこむのであった。
熱した油にと共にパチパチとはじける音をさせている物、それが匂いの元である。
「その種? すっごい良い匂いするね」
「でしょでしょ? このあたりの香辛料無いとどうしても物足りなくてねー、やー手に入ってよかった」
匂いの元の正体はクミンシードである。炒めると恐ろしく食欲を刺激する匂いを発するのだ、八木が引き付けられた匂いもこれである。
これらを初めとしたカレーを作るのに必要な香辛料が手元になく今まではカレー作りを諦めていた。
「デミグラスソースも入れるのね」
「うん、作り方は本当いっぱいあるんだけど……ボクの場合はこれかな。他の作り方もいずれやってみたい所だね」
加賀の作り方はデミグラスソースを使ったやり方だ。
そのあたりはある程度ストックがあるので必要な香辛料さえ手に入れてしまえばカレーは作れてしまう。
「ってな訳で出来たよ。はい、ちょっと味見してみて」
「……! これっ」
味見と言って渡されたスプーンをぱくりと咥えたアイネのその目が驚きに見開かれる。
辛いには辛いが複雑に旨みが絡み合いまろやかな味に仕上がっている。美味しいのは確かだろう、ただその複雑な味に感想がうまくでてこないらしい。
「うまく出来たみたいだねー、そんじゃ皆腹ペコだろうし配膳しよっか」
そう言って皿にご飯をよそう加賀。
食堂では八木やうーちゃんを初めてした腹ペコたちがご飯が出てくるのを今か今かと待ち構えているはずである。
ちなみに今日の厨房は加賀とアイネの二人だけで切り盛りしていたりする。カレーの良いところはルーを作ってご飯を炊いておけば後はよそうだけで済んでしまうという点もある。普段ならうーちゃんとバクスの手伝いがいるが今日は二人だけでも大分余裕がある。
そして場所と時間は変わってダンジョンの入り口近くの事。何時もの様にダンジョンから戻った探索者達が疲れた表情を浮かべ宿への帰路についていた。
前日と異なるのはダンジョンを出てすぐにガイの鼻がまた何かの匂いを嗅ぎ取った事だろう。
「あれ、また何か嗅いだこと無い匂いするっすね」
歩きながら鼻をならして皆にまた嗅いだことの無い匂いがした事を伝えるガイ。
「おん? ……まあ、位置的に宿じゃねえな。どんな匂いだ?」
「すっごい腹減りそうな匂いっすね」
先日と違って場所がダンジョン前と言う事で宿から大分離れている為、匂いの元は宿では無いだろうとあたりをつけたヒューゴであるが、それでも一応気になるのかどんな匂いなのかとガイに尋ねる。
「それはちょっと気になりますねえ」
「そのうち宿でも出すんじゃなーい? それより早く宿帰ろうよーお腹空いたよー」
「それもそうだの」
お腹が減りそうな匂い、つまりは美味しそうな匂い。
もし宿以外でその様な料理を出せるのであればいずれ宿でも出すだろう、そんな事よりお腹が減ったので早く戻りたいと訴えるシェイラの言葉に皆も同じ思いだったのか幾分歩くペースを早め宿へと向かうのであった。
「……この匂いがそうか」
「確かに、食欲を刺激する匂いです」
宿に近づいていくにつれ匂いは強くなっていく。
最初はガイのみが嗅ぎ取れた匂いも今では全員の鼻に届いていた。
「え、この匂いやばくない? これ宿が発生源だよね絶対。外なのにこれって……」
「宿の前に立ち止まってる人いるじゃねえか……てかこの匂い……絶対美味いぞこれ」
そして宿の前までくると匂いはよりはっきりしたものとなっていた。
ときおり宿の前の通りを歩く者が立ち止まり、一体この匂いは何なのかと宿の様子をちらちらと伺っている。
「うおっ」
「わっ、玄関あけたらもっとすごい」
「おぉぉぉ……やべえむっちゃ腹鳴ってる」
匂いに誘われる様に宿の玄関に向かった探索者達の鼻をカレーの匂いが刺激する。
それは空きっ腹で嗅ぐには中々つらい香りだろう、何名もの腹からぐぅと音が聞こえてくる。
「お、八木っちじゃん。もう待機してたの?」
「あ、皆さんお疲れさまっす。いやー今日は俺の好物なもんでもう楽しみすぎて……」
探索者達が食堂に入るとそこには八木が既にスタンバっている状態であった。
シェイラに声を掛けられた八木は皆に軽く挨拶をし、ぎゅるるると盛大に腹を鳴らす。
それに呼応する様にあちこちから聞こえる腹の音、みんなもう色々と限界である。
「んっし、皆おっまたせー」
それと同時ぐらいにふいに騒がしくなった食堂から皆が戻ってきた察知していた加賀がカレーの皿を持って現れる。
歓声をもって歓迎する探索者達の前に次々カレーの皿が並んでいく。
「見た目はビーフシチューに似てますね、ただ香りはまったく別物ですが」
「んなこた見たらわかるってーの。早速いっただきまーす……ん、辛っ……うまっ!?」
最初の一口はまず香りが鼻に抜け、ついで辛さ、旨味が舌に来る。
香りと辛さに一瞬面食らうがすぐに美味しいと理解し、あとはひたすら無言でスプーンを動かし続ける。
辛さは甘口であり、慣れれば気になる辛さではないが熱々のカレーと合わさって体がどんどん火照ってくる、一皿目を食べ終わる頃には額に汗が浮かんでいた。
「加賀ちゃんお代わり! 大盛りで!」
「あ、俺もお願いいます。いやこれ美味いですねぇ」
一人がお替りしたのを皮切りに周りからも次から次へとお代わりの声が上がる。
「はい、おまたせー」
「おっ、はやい」
普段の食事であれば、物によっては一から作らないといけないので次が出てくるまで多少時間が掛かる。
だが今日は違う。ご飯とカレーを皿によそうだけなので、急なお代わりにも対応は可能である。
探索者達はすぐに出てきたお代わりを見て笑みを浮かべるとガフガフと音がしそうな勢いでカレーをかっこむのであった。
0
お気に入りに追加
824
あなたにおすすめの小説
異世界に転生!堪能させて頂きます
葵沙良
ファンタジー
遠宮 鈴霞(とおみやりんか)28歳。
大手企業の庶務課に勤める普通のOL。
今日は何時もの残業が無く、定時で帰宅途中の交差点そばのバス停で事件は起きた━━━━。
ハンドルを切り損なった車が、高校生3人と鈴霞のいるバス停に突っ込んできたのだ!
死んだと思ったのに、目を覚ました場所は白い空間。
女神様から、地球の輪廻に戻るか異世界アークスライドへ転生するか聞かれたのだった。
「せっかくの異世界、チャンスが有るなら行きますとも!堪能させて頂きます♪」
笑いあり涙あり?シリアスあり。トラブルに巻き込まれたり⁉
鈴霞にとって楽しい異世界ライフになるのか⁉
趣味の域で書いておりますので、雑な部分があるかも知れませんが、楽しく読んで頂けたら嬉しいです。戦闘シーンも出来るだけ頑張って書いていきたいと思います。
こちらは《改訂版》です。現在、加筆・修正を大幅に行っています。なので、不定期投稿です。
何の予告もなく修正等行う場合が有りますので、ご容赦下さいm(__)m
女神スキル転生〜知らない間に無双します〜
悠任 蓮
ファンタジー
少女を助けて死んでしまった康太は、少女を助けて貰ったお礼に異世界転生のチャンスを手に入れる。
その時に貰ったスキルは女神が使っていた、《スキルウィンドウ》というスキルだった。
そして、スキルを駆使して異世界をさくさく攻略していく・・・
HOTランキング1位!4/24
ありがとうございます!
基本は0時に毎日投稿しますが、不定期になったりしますがよろしくお願いします!
異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う
馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない
そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!?
そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!?
農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!?
10個も願いがかなえられるらしい!
だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ
異世界なら何でもありでしょ?
ならのんびり生きたいな
小説家になろう!にも掲載しています
何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
よろしくお願いいたします。
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる