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194話 「ほらないとね」
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のたうち回るドラゴンを魔法で拘束し落ち着くのを待つ一同。
やがて周りに居るのが全員見知った者であることに気が付いたドラゴンはおそるおそるといった様子で口を開いた。
「た、食べない?」
「や、食うわけないじゃないですか……」
(この前尻尾切ろうとしてなかったか?)
食べないかと問うドラゴンに対して手をぱたぱたと振って否定する加賀。
バクスが何やら言いたげな顔をしていたがそこは華麗にスルーする。
「単に釣りのお誘いに来たんですよー」
「釣り……そうか魚をか、我が輩を釣ろうと言う話では無かったのだな……ならば」
自分を釣りに来た訳でも食べに来た訳でも無いと理解したドラゴン。きりっとした?表情を浮かべると皆に向かい語りかける。
「あの……これ、ほどいて貰えませんかね……?」
拘束を解かれたドラゴンは体の調子を確かめるようにぐいぐいと体を捻る。
「そういえば……どこで釣る……つもりなのかな」
体を捻り途切れ途切れに話しかけてくるドラゴンを前に皆の視線は汽水湖、その奥の方へと視線が集まる。
「ふむ、沖に出るのかな? それにしては船が見あたらないが……」
船はどこにあるのかと辺りを見渡すドラゴンに対し、今回の目的を口々に説明する一同。釣り場を前にして我慢が効かなくなってきたのかドラゴンに対しても遠慮が無い。
「ん、あ、あー……? 氷の上に乗って穴を開けてそこから釣ると……奇妙なことを考えるものだが、確かに面白そうではある……やるならもっと東が良いだろう、ここの氷は張っているが人の重さに耐えられるだけの厚さはない」
「なるほど……ちなみにどれぐらい行けばいいです?」
首を持ち上げ遠くを見つめるドラゴン。彼の視線には遠くにある湖面の様子も映っているのだろう、ふむと呟くと首を下げ加賀へと話しかける。
「ざっと50キロも行けば問題無いのである」
「思ってたより遠かった! それじゃ着いたら夕方なっちゃうなあ……アイネさんお願いしてもいいです?」
「魔法で凍らせるのですな……ならばここは我が輩が承りましょう。なに、この程度であれば手間でもありませんでな」
加賀にお願いされたアイネが動くのを見てドラゴンが代わりに自分が受けることを申し出る。
その申し出に特に反対するものは居ない、水面がきっちり凍って釣りが出来れば皆それで良いのだ。
ぼそりとらしいところを見せて……立場が……といった呟きがドラゴンの口から漏れるが幸い周りの人には届いていなかったようだ。
「では行きますぞ、少し下がっていてくだされ」
皆が下がったのを確認したドラゴンは首を持ち上げ水面へと頭を向ける。そして唸り声のようなものを上げたかと思うとドラゴンを中心に空中にきらきらとした何かが舞い、地面やドラゴンの体に霜が付いていく。
「おー?」
そして口をかぱりと上げた瞬間、白い光線のようなものがドラゴンの口から放たれた。
それは当たったものを凍り付かせる氷のブレスであった。
はじめは海岸から沖合に向け一本の太い氷の道を作っていく。
やがてある程度行ったところでドラゴンは頭を小さく円を描くようにゆっくりと動かしていくき、ブレスを吐き終えた時湖面には直径にして100m程の氷の島が出来上がっていた。
「すげえな、さすが上位のドラゴン……」
うー(すてーき)
「す、すてー……素敵?」
皆の視線を集め得意げに胸を張るドラゴン。不穏な発言はあったがみんなそれぞれ釣り道具を持ち、小型のソリに乗せ換えると氷で出来た道の上を歩いて行く。
「どれ吾輩もいくとするか」
そう言うや否や魔道具を使用し人へと姿を変えるドラゴン。
当然服など着ているわけもなく、その場に全裸の偉丈夫が現れる。
「色々台無しすぎんだろ」
「ドラゴンさんせめて下ぐらい隠してください……」
先ほどのブレスで上がったドラゴンの株が一気に下落する。
プラマイ0どころかマイナスに振り切ってそうな勢いである。
渋々腰に布を巻き付けたドラゴンを引き連れ一同は島の中央付近まできていた。ドラゴンのブレスの威力がすさまじく、全員に加えアンジェが乗っても氷はびくともしなかった。
「んじゃこのへん適当に孔あけっかね。でかい竿用に大きめの孔もたのまあ」
「太さ調整難しいんだよー……」
「泣き言いうなし、ほれさっさとやったやった」
むぅと唸りながら魔法を唱えるシェイラ、頭上に掲げた手の上にドラゴン戦で使用した赤く輝く槍が浮かび上がる。
シェイラはそれを真上に向け空高く放り投げた。
「ほいほい、離れた離れた」
熱した鉄板に肉を置いたときのような激しい音があたりに響く。
シェイラの放った魔法は分厚い氷に人の腕ほどの孔を作っていた。
「お、ちょうど良い太さ?」
辺りを覆っていた水蒸気が消え去ったのを見て孔を確認しに向かう加賀。
「ん、ちょうどいいと思う。これは小さい竿用だねー」
空いていた孔はワカサギ釣りとイメージする孔にぴったりの大きさであった。
どうだと胸を張るシェイラに向かい加賀はにこにこと笑みを浮かべ話しかける。
「それじゃ、小さいのあと5つと大きい竿用のでかいのもお願いねー」
「え゛」
指を胸の前で合わせ、ちらちらと加賀の様子を伺うシェイラ。いったいどうしたのかと首を傾げていると魔力が足りないと言われる。
「あの魔法結構強力なんだよー、魔力たんないよー」
「ん、ごめんごめん。……じゃアイネさん、こことここと――」
その後なんとか釣り用の孔を確保した一同は誰がどの場所を使うかくじ引きで決め、釣りを開始する事となる。
やがて周りに居るのが全員見知った者であることに気が付いたドラゴンはおそるおそるといった様子で口を開いた。
「た、食べない?」
「や、食うわけないじゃないですか……」
(この前尻尾切ろうとしてなかったか?)
食べないかと問うドラゴンに対して手をぱたぱたと振って否定する加賀。
バクスが何やら言いたげな顔をしていたがそこは華麗にスルーする。
「単に釣りのお誘いに来たんですよー」
「釣り……そうか魚をか、我が輩を釣ろうと言う話では無かったのだな……ならば」
自分を釣りに来た訳でも食べに来た訳でも無いと理解したドラゴン。きりっとした?表情を浮かべると皆に向かい語りかける。
「あの……これ、ほどいて貰えませんかね……?」
拘束を解かれたドラゴンは体の調子を確かめるようにぐいぐいと体を捻る。
「そういえば……どこで釣る……つもりなのかな」
体を捻り途切れ途切れに話しかけてくるドラゴンを前に皆の視線は汽水湖、その奥の方へと視線が集まる。
「ふむ、沖に出るのかな? それにしては船が見あたらないが……」
船はどこにあるのかと辺りを見渡すドラゴンに対し、今回の目的を口々に説明する一同。釣り場を前にして我慢が効かなくなってきたのかドラゴンに対しても遠慮が無い。
「ん、あ、あー……? 氷の上に乗って穴を開けてそこから釣ると……奇妙なことを考えるものだが、確かに面白そうではある……やるならもっと東が良いだろう、ここの氷は張っているが人の重さに耐えられるだけの厚さはない」
「なるほど……ちなみにどれぐらい行けばいいです?」
首を持ち上げ遠くを見つめるドラゴン。彼の視線には遠くにある湖面の様子も映っているのだろう、ふむと呟くと首を下げ加賀へと話しかける。
「ざっと50キロも行けば問題無いのである」
「思ってたより遠かった! それじゃ着いたら夕方なっちゃうなあ……アイネさんお願いしてもいいです?」
「魔法で凍らせるのですな……ならばここは我が輩が承りましょう。なに、この程度であれば手間でもありませんでな」
加賀にお願いされたアイネが動くのを見てドラゴンが代わりに自分が受けることを申し出る。
その申し出に特に反対するものは居ない、水面がきっちり凍って釣りが出来れば皆それで良いのだ。
ぼそりとらしいところを見せて……立場が……といった呟きがドラゴンの口から漏れるが幸い周りの人には届いていなかったようだ。
「では行きますぞ、少し下がっていてくだされ」
皆が下がったのを確認したドラゴンは首を持ち上げ水面へと頭を向ける。そして唸り声のようなものを上げたかと思うとドラゴンを中心に空中にきらきらとした何かが舞い、地面やドラゴンの体に霜が付いていく。
「おー?」
そして口をかぱりと上げた瞬間、白い光線のようなものがドラゴンの口から放たれた。
それは当たったものを凍り付かせる氷のブレスであった。
はじめは海岸から沖合に向け一本の太い氷の道を作っていく。
やがてある程度行ったところでドラゴンは頭を小さく円を描くようにゆっくりと動かしていくき、ブレスを吐き終えた時湖面には直径にして100m程の氷の島が出来上がっていた。
「すげえな、さすが上位のドラゴン……」
うー(すてーき)
「す、すてー……素敵?」
皆の視線を集め得意げに胸を張るドラゴン。不穏な発言はあったがみんなそれぞれ釣り道具を持ち、小型のソリに乗せ換えると氷で出来た道の上を歩いて行く。
「どれ吾輩もいくとするか」
そう言うや否や魔道具を使用し人へと姿を変えるドラゴン。
当然服など着ているわけもなく、その場に全裸の偉丈夫が現れる。
「色々台無しすぎんだろ」
「ドラゴンさんせめて下ぐらい隠してください……」
先ほどのブレスで上がったドラゴンの株が一気に下落する。
プラマイ0どころかマイナスに振り切ってそうな勢いである。
渋々腰に布を巻き付けたドラゴンを引き連れ一同は島の中央付近まできていた。ドラゴンのブレスの威力がすさまじく、全員に加えアンジェが乗っても氷はびくともしなかった。
「んじゃこのへん適当に孔あけっかね。でかい竿用に大きめの孔もたのまあ」
「太さ調整難しいんだよー……」
「泣き言いうなし、ほれさっさとやったやった」
むぅと唸りながら魔法を唱えるシェイラ、頭上に掲げた手の上にドラゴン戦で使用した赤く輝く槍が浮かび上がる。
シェイラはそれを真上に向け空高く放り投げた。
「ほいほい、離れた離れた」
熱した鉄板に肉を置いたときのような激しい音があたりに響く。
シェイラの放った魔法は分厚い氷に人の腕ほどの孔を作っていた。
「お、ちょうど良い太さ?」
辺りを覆っていた水蒸気が消え去ったのを見て孔を確認しに向かう加賀。
「ん、ちょうどいいと思う。これは小さい竿用だねー」
空いていた孔はワカサギ釣りとイメージする孔にぴったりの大きさであった。
どうだと胸を張るシェイラに向かい加賀はにこにこと笑みを浮かべ話しかける。
「それじゃ、小さいのあと5つと大きい竿用のでかいのもお願いねー」
「え゛」
指を胸の前で合わせ、ちらちらと加賀の様子を伺うシェイラ。いったいどうしたのかと首を傾げていると魔力が足りないと言われる。
「あの魔法結構強力なんだよー、魔力たんないよー」
「ん、ごめんごめん。……じゃアイネさん、こことここと――」
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