194 / 332
192話 「釣りに行くことになりそうで」
しおりを挟む
この辺りで出来るところと言えば思い当たるのは街の北にある汽水湖だが、汽水湖が冬場に凍り付くかどうかがまず不明であった。塩分濃度が薄ければ恐らく凍るであると考えられるがその辺りの情報を加賀は持っていない。
「ラヴィに聞いてみればいいじゃんー。まだ居るはずだよ」
「あ、そかそか」
そしてその事をシェイラに尋ねてみる加賀。
返ってきた言葉にそれもそうだと頷く加賀、分からなければ知っているものに聞けば良いのである。
そして彼女の言葉通り探索者がダンジョンに向かうまでにはまだ幾らか時間がある、二人は大福片手にラヴィの部屋へと向かうのであった。
「凍るぜー」
「あ、凍るんだ」
あっさりと返ってきた返事に拍子抜けした表情を浮かべる加賀。
だがラヴィはあっさり答えはしたものの気になる事があるのか腕を組み天井を見上げ何やら考え出す。
「ただ……上に乗って釣りするんだろ」
「そだよー」
上を向いたままのラヴィの問いに答えるが彼は天井を見上げたままうなり始める。
「ど、どったの……」
「いやぁ……場所によっては氷薄いからさ危ないよなって……でもどの辺の氷が薄いとか覚えてないんよね」
そう言って頭を捻るラヴィであるがやはり思い出すことは出来なかったようだ、諦めたように軽く息を吐いて再び視線を加賀へと戻す。
「わりぃ、覚えてないや」
「だって」
ラヴィの言葉をシェイラに伝え二人でどうしたものかと頭を悩ます加賀であるが。その様子を見ていたシェイラが呆れた様子で二人へ話しかける。
「いや、だから知ってる人に聞けばいいじゃないのさー。今日辺りリザートマン達来るんでしょ?」
「やだ……シェイラさんてば天才」
「お前は優秀だと前から思ってたぜ」
「なんかすっごいむかつくんですけど」
わざとらしく驚く二人をじろりと一瞥し持ってきた大福をぱくりと食べてしまう。
加賀を通さなくても何となくラヴィが言っていることわかったらしい。
「あれ、それなに?」
「大福ってお菓子。新製品だよ」
「え、まじか……ちょ全部食わないでぇっ」
ラヴィの言葉もむなしく二人の大福もぺろり平らげてしまうシェイラ。
「私を馬鹿にした罰よー」
そう言っていーっと歯を剥いてラヴィの部屋を出て行ってしまう。
もっとも食堂に戻ればまだまだ大福は余っていたりするが……
「まじかー……」
「悪のりしすぎちゃったねー……まぁ、まだ残ってるから後で食べにおいでよ。今日はダンジョン潜るんでしょー?」
ヘコんだラヴィが少し可哀想だったのであっさり大福がまだあることをばらす加賀であった。
「あ、まだあるのね……一応潜るけど今日はそこまで奥には行かない予定だっらかな。夕飯までには戻るから悪いけど大福とっておいてくれないかなあ?」
大福をとっておいて欲しいという願いを承諾しひとまず食堂へと戻る。これから屋台も出さないといけないし。昼にはリザートマン達が来るのでその準備もしなければならないのだ。
「なるほどねー、東のほうが氷は厚いと……人が乗っても大丈夫そう? あ、大丈夫なのね」
そして何時もの屋台を出し戻ってきて少し立った頃、リザートマン達が大量の魚介類を宿へと運び込んできた。
加賀はお礼の燻製肉等を渡しながら汽水湖の情報収集を始める。
ちなみに了承しの買い物には最近一緒について行くことがなくなってきている。既になじみなって店も多くそういった所では加賀が着いて行かなくとも問題なく買い物が出来るようになっているからだ、加賀がついて行くとすればそれは始めて行く店だったり、注文内容が複雑ぐらいな時ぐらいである。
そしてそれだと魚を貰うには対価が釣り合わないと言うことで今では物々交換がメインになりつつある。
「そっかそっか、じゃあ十分釣りは出来そうだね。午後から釣り道具買いに行こうかな……あ、リザートマンさん達はご飯用意してあるから食べていってねー」
はしゃぎながら食堂の椅子へと座るリザートマン達を見てほっこりした気持ちになる加賀。汽水湖の情報も手に入ったことも有り、そのお礼と言うわけだろうかその日のリザートマン達の昼食は何時もより山盛りであった。
「……おーうまそう。加賀ぁ俺にも昼食くだせーな」
そしてリザートマン達が昼食をもりもり食べているとほ
食堂の扉を開けて八木が入ってきた。
八木は寝起きなのか少し眠たそうな目をしている、そして寝起き故に朝食はとっておらずお腹が空いているようだ、加賀の姿を見つけるとすぐにご飯のお願いをする。
「今日はずいぶん寝坊したね?」
「トランプがさあ、思ったより皆白熱しちゃってさ気が付いたら外明るくなってるでやんの」
「朝までやってたんかい……ほどほどにねー」
わははと笑う八木に呆れた様子の加賀。
いくら仕事は休みだといっても朝までやるとは思っていなかったのだ。
「あ、そうそう」
「んー?」
「汽水湖でワカサギ釣り出来るかの知れないよ。行くとしたら明日か明後日だろうから……八木も行くよね? あんま夜更かしするんでないよー」
ワカサギ釣りと聞いて目を輝かせる八木。
加賀の注意もどこへやら身を乗り出して加賀の言葉に答える。
「いくいく。てかまじか、まさかここでワカサギ釣り出来るとはなあ」
「八木はやったことあるんだ?」
「あるぜ、てか職場の連中と毎年行ってた」
八木の言葉にへーっといった表情を浮かべる加賀。
八木がワカサギ釣りをするとは知らなかったのだ。職場の連中と一緒にということで加賀を誘うことは無かったのだろう。
「それじゃあ……そうだな、暇だし道具の用意は俺がするよ」
「いいの?」
「おうよ。てか加賀は仕事あるだろ? 道具揃えるのって結構手間だぞ。行くのは明後日以降の方がいいかな、今日はとりあえず午後から店巡ってどこで取り扱ってるか確認するから、夜に行く人数確認しといて貰えるか? 明日買い揃える」
行く人数を伝えれば道具は自分が用意しておくと言う八木の言葉に甘えることにした加賀。
買い物は八木に任せて自分は坊主だったときに備えて日保ちしそうな食べ物を用意するのであった。
「ラヴィに聞いてみればいいじゃんー。まだ居るはずだよ」
「あ、そかそか」
そしてその事をシェイラに尋ねてみる加賀。
返ってきた言葉にそれもそうだと頷く加賀、分からなければ知っているものに聞けば良いのである。
そして彼女の言葉通り探索者がダンジョンに向かうまでにはまだ幾らか時間がある、二人は大福片手にラヴィの部屋へと向かうのであった。
「凍るぜー」
「あ、凍るんだ」
あっさりと返ってきた返事に拍子抜けした表情を浮かべる加賀。
だがラヴィはあっさり答えはしたものの気になる事があるのか腕を組み天井を見上げ何やら考え出す。
「ただ……上に乗って釣りするんだろ」
「そだよー」
上を向いたままのラヴィの問いに答えるが彼は天井を見上げたままうなり始める。
「ど、どったの……」
「いやぁ……場所によっては氷薄いからさ危ないよなって……でもどの辺の氷が薄いとか覚えてないんよね」
そう言って頭を捻るラヴィであるがやはり思い出すことは出来なかったようだ、諦めたように軽く息を吐いて再び視線を加賀へと戻す。
「わりぃ、覚えてないや」
「だって」
ラヴィの言葉をシェイラに伝え二人でどうしたものかと頭を悩ます加賀であるが。その様子を見ていたシェイラが呆れた様子で二人へ話しかける。
「いや、だから知ってる人に聞けばいいじゃないのさー。今日辺りリザートマン達来るんでしょ?」
「やだ……シェイラさんてば天才」
「お前は優秀だと前から思ってたぜ」
「なんかすっごいむかつくんですけど」
わざとらしく驚く二人をじろりと一瞥し持ってきた大福をぱくりと食べてしまう。
加賀を通さなくても何となくラヴィが言っていることわかったらしい。
「あれ、それなに?」
「大福ってお菓子。新製品だよ」
「え、まじか……ちょ全部食わないでぇっ」
ラヴィの言葉もむなしく二人の大福もぺろり平らげてしまうシェイラ。
「私を馬鹿にした罰よー」
そう言っていーっと歯を剥いてラヴィの部屋を出て行ってしまう。
もっとも食堂に戻ればまだまだ大福は余っていたりするが……
「まじかー……」
「悪のりしすぎちゃったねー……まぁ、まだ残ってるから後で食べにおいでよ。今日はダンジョン潜るんでしょー?」
ヘコんだラヴィが少し可哀想だったのであっさり大福がまだあることをばらす加賀であった。
「あ、まだあるのね……一応潜るけど今日はそこまで奥には行かない予定だっらかな。夕飯までには戻るから悪いけど大福とっておいてくれないかなあ?」
大福をとっておいて欲しいという願いを承諾しひとまず食堂へと戻る。これから屋台も出さないといけないし。昼にはリザートマン達が来るのでその準備もしなければならないのだ。
「なるほどねー、東のほうが氷は厚いと……人が乗っても大丈夫そう? あ、大丈夫なのね」
そして何時もの屋台を出し戻ってきて少し立った頃、リザートマン達が大量の魚介類を宿へと運び込んできた。
加賀はお礼の燻製肉等を渡しながら汽水湖の情報収集を始める。
ちなみに了承しの買い物には最近一緒について行くことがなくなってきている。既になじみなって店も多くそういった所では加賀が着いて行かなくとも問題なく買い物が出来るようになっているからだ、加賀がついて行くとすればそれは始めて行く店だったり、注文内容が複雑ぐらいな時ぐらいである。
そしてそれだと魚を貰うには対価が釣り合わないと言うことで今では物々交換がメインになりつつある。
「そっかそっか、じゃあ十分釣りは出来そうだね。午後から釣り道具買いに行こうかな……あ、リザートマンさん達はご飯用意してあるから食べていってねー」
はしゃぎながら食堂の椅子へと座るリザートマン達を見てほっこりした気持ちになる加賀。汽水湖の情報も手に入ったことも有り、そのお礼と言うわけだろうかその日のリザートマン達の昼食は何時もより山盛りであった。
「……おーうまそう。加賀ぁ俺にも昼食くだせーな」
そしてリザートマン達が昼食をもりもり食べているとほ
食堂の扉を開けて八木が入ってきた。
八木は寝起きなのか少し眠たそうな目をしている、そして寝起き故に朝食はとっておらずお腹が空いているようだ、加賀の姿を見つけるとすぐにご飯のお願いをする。
「今日はずいぶん寝坊したね?」
「トランプがさあ、思ったより皆白熱しちゃってさ気が付いたら外明るくなってるでやんの」
「朝までやってたんかい……ほどほどにねー」
わははと笑う八木に呆れた様子の加賀。
いくら仕事は休みだといっても朝までやるとは思っていなかったのだ。
「あ、そうそう」
「んー?」
「汽水湖でワカサギ釣り出来るかの知れないよ。行くとしたら明日か明後日だろうから……八木も行くよね? あんま夜更かしするんでないよー」
ワカサギ釣りと聞いて目を輝かせる八木。
加賀の注意もどこへやら身を乗り出して加賀の言葉に答える。
「いくいく。てかまじか、まさかここでワカサギ釣り出来るとはなあ」
「八木はやったことあるんだ?」
「あるぜ、てか職場の連中と毎年行ってた」
八木の言葉にへーっといった表情を浮かべる加賀。
八木がワカサギ釣りをするとは知らなかったのだ。職場の連中と一緒にということで加賀を誘うことは無かったのだろう。
「それじゃあ……そうだな、暇だし道具の用意は俺がするよ」
「いいの?」
「おうよ。てか加賀は仕事あるだろ? 道具揃えるのって結構手間だぞ。行くのは明後日以降の方がいいかな、今日はとりあえず午後から店巡ってどこで取り扱ってるか確認するから、夜に行く人数確認しといて貰えるか? 明日買い揃える」
行く人数を伝えれば道具は自分が用意しておくと言う八木の言葉に甘えることにした加賀。
買い物は八木に任せて自分は坊主だったときに備えて日保ちしそうな食べ物を用意するのであった。
10
お気に入りに追加
823
あなたにおすすめの小説
こちらの世界でも図太く生きていきます
柚子ライム
ファンタジー
銀座を歩いていたら異世界に!?
若返って異世界デビュー。
がんばって生きていこうと思います。
のんびり更新になる予定。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
★加筆修正中★
なろう様にも掲載しています。
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
知らない異世界を生き抜く方法
明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。
なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。
そんな状況で生き抜く方法は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる