185 / 332
183話 「暇つぶし3」
しおりを挟む
5人でトランプを始めた一同であるが、10戦目を終えたところで一度休憩を入れるようだ。
「……皆強すぎない?」
「八木が弱いだけじゃ……顔に出過ぎなんだと思うよ?」
どうも八木はババ抜きが弱いらしく負けが込んでいる。今のところ10戦して八木が7敗、他はうーちゃんを除いた3人がそれぞれ1敗となっている。
「おかしいって、何で皆あんな無表情なのさ怖えよっ! うーちゃんに至ってはもうただの兎にしか見えないしっ」
自分の手札にジョーカーが来た場合、相手にそれは出来るだけ知られたくはない。故に皆無表情でトランプをしていたようだ、特にうーちゃんは人では無い分表情を消せばただのでかい兎にしか見えない。
「くそー……次は負けんぞっ」
そう八木が悔し気に叫ぶと同時に食堂の扉がガチャリと開く。
そこには私服姿の探索者達が興味深げに八木の方を眺める姿があった。
「うぃっす。何、賭け事でもしてんの?」
「トランプですか、また懐かしい物を……」
テーブルの上に置かれたトランプを見つけ何人かの探索者達が興味を示す。
「ほんとだトランプだ。八木っち結局これにしたんだー」
「いやあ、屋外のもいくつか考えたんですけどねー、とりあえずはこれで良いかなーと」
へーと言いながら椅子に腰かけるシェイラ。他の探索者も同様に椅子に腰かけトランプの置いてあるテーブルへと近づいていく。
「お? 皆やります? ちょっと人数多いし2~3組に分けましょか、トランプ3つ買ってありますんで」
「いいぜぇ、んで何賭けんの?」
「賭けないっすよ」
ノリノリで参加したヒューゴであるが賭けないと聞いてえーっと不満げに言葉を漏らす。
それを見ていたアルヴィンがはぁと大きくため息をつくとヒューゴに向け口を開く。
「前に賭けがエスカレートしてどうなったか覚えてないのですか? 身ぐるみ剥がされた貴方を引き取りにいったのは誰だと思ってるんですか」
「だああぁ、悪かったって! 賭けはしないから勘弁してくれ……」
「分かれば良いのです」
二人の様子を見てどれだけ負けたのか気になる所であったが、そこは聞くのをぐっと我慢しトランプの用意をする八木。
適当に分かれた組にトランプを渡しテーブルに戻ると、自分と組みになった者達へ声をかける。
「それじゃ何やります? ちなみにさっきまでやってたのはババ抜きっすよ」
「そうだなあ、せっかくだし八木らの間で流行ってたやつでもやってみるか? 俺らの知らない遊び方かもしんねーし」
「良いんじゃないですか」
「そうっすか、それじゃあ――」
結果を言えばちょっとしたトランプ大会の様な盛り上がりを見せた勝負の行方であるが、勝者はばらばらであったが敗者は主に八木とヒューゴに集中していた。
決してカードの手札が悪いわけではないのだが……例えば大富豪であれば。
「――おっら! 2の2枚! どうよ、出せる奴おらんだろ~?」
と、言った感じで上がる気満々で得意気にしていると。
うっ(じょーかー2まい)
「なんでぇっ!?」
あっさり潰されてしまったり。
「――クタバレ、大富豪! 革命じゃああ」
うっ(かくめいがえし)
「やめてくれよぉ……」
と言う具合でどうもタイミングが悪いのか単に運が悪いのかここぞと言うときに潰されてしまうのであった。
「やだー、もうやだー、この兎まじ鬼畜」
「せめて平民になりたい……」
そしていい加減二人に泣きが入ってきた頃、その様子を呆れた様子で見る者がいた。
「お前ら楽しそうだな……ほれ、おやつだ。つってもありもん切っただけだがな」
「あ、バクスさんありがとう。おやつ用意するの忘れてた……」
トランプに夢中になるあまりおやつを用意するのを忘れてた加賀とアイネに代わり、バクスがおやつを持ってきてくれたようだ。
受け取ったおやつを嬉しそうに食べるヒューゴと八木。そして少し申し訳なさそうにしながら食べる加賀とアイネ。
「アイネさんがおやつを忘れるとはな……よほど面白かったのだな」
「ええとても……二人の絶望する様が」
「そっちなの!?」
どうやら鬼畜はうーちゃんだけではなかったらしい。冗談よと笑うアイネはとても楽しそうであった。
「ま、まあ……ほどほどにな? ずっと家の中にいるのも体訛るだろうし……外で出来そうなやつはなかったのか?」
「んー……あるにはありますね。これも人数いりますけど雪合戦とか、あと雪像作ったりかまくら作ってみたり……」
「雪合戦?」
「あ、興味ありますー?」
合戦と言う言葉に反応したのか何名かが八木の言葉に食いついた。
八木もここぞとばかりに調べておいたルールを皆に説明しだす。
(八木がふるぼっこになる未来しか思い浮かばない)
嬉しそうに話をする八木を見てそう思いつつも口には出さない加賀。
雪合戦は見学かなーと独り言ちながらおやつをぱくつくのであった。
「……皆強すぎない?」
「八木が弱いだけじゃ……顔に出過ぎなんだと思うよ?」
どうも八木はババ抜きが弱いらしく負けが込んでいる。今のところ10戦して八木が7敗、他はうーちゃんを除いた3人がそれぞれ1敗となっている。
「おかしいって、何で皆あんな無表情なのさ怖えよっ! うーちゃんに至ってはもうただの兎にしか見えないしっ」
自分の手札にジョーカーが来た場合、相手にそれは出来るだけ知られたくはない。故に皆無表情でトランプをしていたようだ、特にうーちゃんは人では無い分表情を消せばただのでかい兎にしか見えない。
「くそー……次は負けんぞっ」
そう八木が悔し気に叫ぶと同時に食堂の扉がガチャリと開く。
そこには私服姿の探索者達が興味深げに八木の方を眺める姿があった。
「うぃっす。何、賭け事でもしてんの?」
「トランプですか、また懐かしい物を……」
テーブルの上に置かれたトランプを見つけ何人かの探索者達が興味を示す。
「ほんとだトランプだ。八木っち結局これにしたんだー」
「いやあ、屋外のもいくつか考えたんですけどねー、とりあえずはこれで良いかなーと」
へーと言いながら椅子に腰かけるシェイラ。他の探索者も同様に椅子に腰かけトランプの置いてあるテーブルへと近づいていく。
「お? 皆やります? ちょっと人数多いし2~3組に分けましょか、トランプ3つ買ってありますんで」
「いいぜぇ、んで何賭けんの?」
「賭けないっすよ」
ノリノリで参加したヒューゴであるが賭けないと聞いてえーっと不満げに言葉を漏らす。
それを見ていたアルヴィンがはぁと大きくため息をつくとヒューゴに向け口を開く。
「前に賭けがエスカレートしてどうなったか覚えてないのですか? 身ぐるみ剥がされた貴方を引き取りにいったのは誰だと思ってるんですか」
「だああぁ、悪かったって! 賭けはしないから勘弁してくれ……」
「分かれば良いのです」
二人の様子を見てどれだけ負けたのか気になる所であったが、そこは聞くのをぐっと我慢しトランプの用意をする八木。
適当に分かれた組にトランプを渡しテーブルに戻ると、自分と組みになった者達へ声をかける。
「それじゃ何やります? ちなみにさっきまでやってたのはババ抜きっすよ」
「そうだなあ、せっかくだし八木らの間で流行ってたやつでもやってみるか? 俺らの知らない遊び方かもしんねーし」
「良いんじゃないですか」
「そうっすか、それじゃあ――」
結果を言えばちょっとしたトランプ大会の様な盛り上がりを見せた勝負の行方であるが、勝者はばらばらであったが敗者は主に八木とヒューゴに集中していた。
決してカードの手札が悪いわけではないのだが……例えば大富豪であれば。
「――おっら! 2の2枚! どうよ、出せる奴おらんだろ~?」
と、言った感じで上がる気満々で得意気にしていると。
うっ(じょーかー2まい)
「なんでぇっ!?」
あっさり潰されてしまったり。
「――クタバレ、大富豪! 革命じゃああ」
うっ(かくめいがえし)
「やめてくれよぉ……」
と言う具合でどうもタイミングが悪いのか単に運が悪いのかここぞと言うときに潰されてしまうのであった。
「やだー、もうやだー、この兎まじ鬼畜」
「せめて平民になりたい……」
そしていい加減二人に泣きが入ってきた頃、その様子を呆れた様子で見る者がいた。
「お前ら楽しそうだな……ほれ、おやつだ。つってもありもん切っただけだがな」
「あ、バクスさんありがとう。おやつ用意するの忘れてた……」
トランプに夢中になるあまりおやつを用意するのを忘れてた加賀とアイネに代わり、バクスがおやつを持ってきてくれたようだ。
受け取ったおやつを嬉しそうに食べるヒューゴと八木。そして少し申し訳なさそうにしながら食べる加賀とアイネ。
「アイネさんがおやつを忘れるとはな……よほど面白かったのだな」
「ええとても……二人の絶望する様が」
「そっちなの!?」
どうやら鬼畜はうーちゃんだけではなかったらしい。冗談よと笑うアイネはとても楽しそうであった。
「ま、まあ……ほどほどにな? ずっと家の中にいるのも体訛るだろうし……外で出来そうなやつはなかったのか?」
「んー……あるにはありますね。これも人数いりますけど雪合戦とか、あと雪像作ったりかまくら作ってみたり……」
「雪合戦?」
「あ、興味ありますー?」
合戦と言う言葉に反応したのか何名かが八木の言葉に食いついた。
八木もここぞとばかりに調べておいたルールを皆に説明しだす。
(八木がふるぼっこになる未来しか思い浮かばない)
嬉しそうに話をする八木を見てそう思いつつも口には出さない加賀。
雪合戦は見学かなーと独り言ちながらおやつをぱくつくのであった。
10
お気に入りに追加
824
あなたにおすすめの小説
金眼のサクセサー[完結]
秋雨薫
ファンタジー
魔物の森に住む不死の青年とお城脱走が趣味のお転婆王女さまの出会いから始まる物語。
遥か昔、マカニシア大陸を混沌に陥れた魔獣リィスクレウムはとある英雄によって討伐された。
――しかし、五百年後。
魔物の森で発見された人間の赤ん坊の右目は魔獣と同じ色だった――
最悪の魔獣リィスクレウムの右目を持ち、不死の力を持ってしまい、村人から忌み子と呼ばれながら生きる青年リィと、好奇心旺盛のお転婆王女アメルシアことアメリーの出会いから、マカニシア大陸を大きく揺るがす事態が起きるーー!!
リィは何故500年前に討伐されたはずのリィスクレウムの瞳を持っているのか。
マカニシア大陸に潜む500年前の秘密が明らかにーー
※流血や残酷なシーンがあります※
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい
兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる