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155話 「おごり?」

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「今日はどうするんですか?」

乾いて固くなったパンをあぶり、腸詰を挟んだだけの簡単な朝食を食べる新人たち。
腹もくちくなった所で今日の予定を尋ねる。

「今日は来た道をそのまま戻るだけですよ」

ただ戻るだけと聞いて喜ぶわけではなく顔をしかめる新人たち。
それを見て探索者は少し笑みを浮かべ言葉を続ける。

「ダンジョンの罠は一度解除しても場所は種類を変え再び復活します。……恐らく説明は受けてないでしょう、一度通ったからといって決しても油断せぬように」

そういってパンを口に放り込み、手を叩いてくずを払い落とすと立ち上がり荷物の片づけを開始する。
気が付けば周りの探索者は皆食事を終えておりすでに後片付けに入っていた、新人たちも慌てて残りの食事を書き込むと片付けに入るのであった。


「思ったより早く帰れたな……」

ダンジョンを出て空を見上げる探索者達。日の高さからいって昼は回っているだろうが日が暮れるまではまだまだ時間がある、ちょうどおやつ時といったところだろうか。
ちらりと新人たちの方へと視線を向ければ初めての泊りがけのダンジョン攻略とあって皆さすがに疲れたらしくちらほらと地面に座り込む姿が見える。

「んー……」

その様子を眺め腕を組み考えるしぐさを見せる探索者。

「ほかの連中はまだ帰ってないよな……いけるか?」

とりあえず思いついたことをほかの探索者と共有すべく話しかける。
ほかの者も特に反対するものは居ないが、ただ条件として宿側の許可を取る事だけは釘をさす。

「そりゃあ勿論……よし、お前らとりあえず宝箱から手に入ったもん鑑定してもらっとけ。俺らはその間宿に荷物おいてくっからよ、鑑定終わったらギルドで待っててくれ」

「はぁ……」

「そんじゃな」

宝箱の中身が入った袋を手渡し駆け足で宿へと戻る探索者達。
その様子を少し呆然とした様子で見送る新人たちであったがすぐに再起動しギルドの中へ袋を持って入っていく。


「加賀ちゃん、ちょっといい?」

「うん? なんでしょー」

ほかの者を置いて一足早く宿へとたどり着いたヒューゴであるが、軽く息をはずませ宿の食堂へと入るとソファーで休んでいた加賀を見つけ声をかける。

「今日の夕飯に5人ぐらい追加しても大丈夫かなー?」

「あー、はい。大丈夫ですよ。多めに作っておきますねー」

探索者たちが急いで宿に戻ったの夕食を新人たちにも食わせようかと思ったからである。
当初はこのくそ餓鬼共ぐらいにしか思っていなかった彼らであるがここ3日ほどで餓鬼共ぐらいの認識に代わってきている。

「悪いけど頼むわ。俺はとりあえずひとっ風呂あびてくる……一日入ってないだけなのになあ」

そう言って苦笑しながら荷物を置きに部屋へと向かうヒューゴ。ひとっ風呂浴びた後は新人らを呼びにいくつもりなのだろう。
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