157 / 332
155話 「おごり?」
しおりを挟む
「今日はどうするんですか?」
乾いて固くなったパンをあぶり、腸詰を挟んだだけの簡単な朝食を食べる新人たち。
腹もくちくなった所で今日の予定を尋ねる。
「今日は来た道をそのまま戻るだけですよ」
ただ戻るだけと聞いて喜ぶわけではなく顔をしかめる新人たち。
それを見て探索者は少し笑みを浮かべ言葉を続ける。
「ダンジョンの罠は一度解除しても場所は種類を変え再び復活します。……恐らく説明は受けてないでしょう、一度通ったからといって決しても油断せぬように」
そういってパンを口に放り込み、手を叩いてくずを払い落とすと立ち上がり荷物の片づけを開始する。
気が付けば周りの探索者は皆食事を終えておりすでに後片付けに入っていた、新人たちも慌てて残りの食事を書き込むと片付けに入るのであった。
「思ったより早く帰れたな……」
ダンジョンを出て空を見上げる探索者達。日の高さからいって昼は回っているだろうが日が暮れるまではまだまだ時間がある、ちょうどおやつ時といったところだろうか。
ちらりと新人たちの方へと視線を向ければ初めての泊りがけのダンジョン攻略とあって皆さすがに疲れたらしくちらほらと地面に座り込む姿が見える。
「んー……」
その様子を眺め腕を組み考えるしぐさを見せる探索者。
「ほかの連中はまだ帰ってないよな……いけるか?」
とりあえず思いついたことをほかの探索者と共有すべく話しかける。
ほかの者も特に反対するものは居ないが、ただ条件として宿側の許可を取る事だけは釘をさす。
「そりゃあ勿論……よし、お前らとりあえず宝箱から手に入ったもん鑑定してもらっとけ。俺らはその間宿に荷物おいてくっからよ、鑑定終わったらギルドで待っててくれ」
「はぁ……」
「そんじゃな」
宝箱の中身が入った袋を手渡し駆け足で宿へと戻る探索者達。
その様子を少し呆然とした様子で見送る新人たちであったがすぐに再起動しギルドの中へ袋を持って入っていく。
「加賀ちゃん、ちょっといい?」
「うん? なんでしょー」
ほかの者を置いて一足早く宿へとたどり着いたヒューゴであるが、軽く息をはずませ宿の食堂へと入るとソファーで休んでいた加賀を見つけ声をかける。
「今日の夕飯に5人ぐらい追加しても大丈夫かなー?」
「あー、はい。大丈夫ですよ。多めに作っておきますねー」
探索者たちが急いで宿に戻ったの夕食を新人たちにも食わせようかと思ったからである。
当初はこのくそ餓鬼共ぐらいにしか思っていなかった彼らであるがここ3日ほどで餓鬼共ぐらいの認識に代わってきている。
「悪いけど頼むわ。俺はとりあえずひとっ風呂あびてくる……一日入ってないだけなのになあ」
そう言って苦笑しながら荷物を置きに部屋へと向かうヒューゴ。ひとっ風呂浴びた後は新人らを呼びにいくつもりなのだろう。
乾いて固くなったパンをあぶり、腸詰を挟んだだけの簡単な朝食を食べる新人たち。
腹もくちくなった所で今日の予定を尋ねる。
「今日は来た道をそのまま戻るだけですよ」
ただ戻るだけと聞いて喜ぶわけではなく顔をしかめる新人たち。
それを見て探索者は少し笑みを浮かべ言葉を続ける。
「ダンジョンの罠は一度解除しても場所は種類を変え再び復活します。……恐らく説明は受けてないでしょう、一度通ったからといって決しても油断せぬように」
そういってパンを口に放り込み、手を叩いてくずを払い落とすと立ち上がり荷物の片づけを開始する。
気が付けば周りの探索者は皆食事を終えておりすでに後片付けに入っていた、新人たちも慌てて残りの食事を書き込むと片付けに入るのであった。
「思ったより早く帰れたな……」
ダンジョンを出て空を見上げる探索者達。日の高さからいって昼は回っているだろうが日が暮れるまではまだまだ時間がある、ちょうどおやつ時といったところだろうか。
ちらりと新人たちの方へと視線を向ければ初めての泊りがけのダンジョン攻略とあって皆さすがに疲れたらしくちらほらと地面に座り込む姿が見える。
「んー……」
その様子を眺め腕を組み考えるしぐさを見せる探索者。
「ほかの連中はまだ帰ってないよな……いけるか?」
とりあえず思いついたことをほかの探索者と共有すべく話しかける。
ほかの者も特に反対するものは居ないが、ただ条件として宿側の許可を取る事だけは釘をさす。
「そりゃあ勿論……よし、お前らとりあえず宝箱から手に入ったもん鑑定してもらっとけ。俺らはその間宿に荷物おいてくっからよ、鑑定終わったらギルドで待っててくれ」
「はぁ……」
「そんじゃな」
宝箱の中身が入った袋を手渡し駆け足で宿へと戻る探索者達。
その様子を少し呆然とした様子で見送る新人たちであったがすぐに再起動しギルドの中へ袋を持って入っていく。
「加賀ちゃん、ちょっといい?」
「うん? なんでしょー」
ほかの者を置いて一足早く宿へとたどり着いたヒューゴであるが、軽く息をはずませ宿の食堂へと入るとソファーで休んでいた加賀を見つけ声をかける。
「今日の夕飯に5人ぐらい追加しても大丈夫かなー?」
「あー、はい。大丈夫ですよ。多めに作っておきますねー」
探索者たちが急いで宿に戻ったの夕食を新人たちにも食わせようかと思ったからである。
当初はこのくそ餓鬼共ぐらいにしか思っていなかった彼らであるがここ3日ほどで餓鬼共ぐらいの認識に代わってきている。
「悪いけど頼むわ。俺はとりあえずひとっ風呂あびてくる……一日入ってないだけなのになあ」
そう言って苦笑しながら荷物を置きに部屋へと向かうヒューゴ。ひとっ風呂浴びた後は新人らを呼びにいくつもりなのだろう。
0
お気に入りに追加
823
あなたにおすすめの小説
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
アイテムボックスだけで異世界生活
shinko
ファンタジー
いきなり異世界で目覚めた主人公、起きるとなぜか記憶が無い。
あるのはアイテムボックスだけ……。
なぜ、俺はここにいるのか。そして俺は誰なのか。
説明してくれる神も、女神もできてやしない。
よくあるファンタジーの世界の中で、
生きていくため、努力していく。
そしてついに気がつく主人公。
アイテムボックスってすごいんじゃね?
お気楽に読めるハッピーファンタジーです。
よろしくお願いします。
ゆとりある生活を異世界で
コロ
ファンタジー
とある世界の皇国
公爵家の長男坊は
少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた…
それなりに頑張って生きていた俺は48歳
なかなか楽しい人生だと満喫していたら
交通事故でアッサリ逝ってもた…orz
そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が
『楽しませてくれた礼をあげるよ』
とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に…
それもチートまでくれて♪
ありがたやありがたや
チート?強力なのがあります→使うとは言ってない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います
宜しくお付き合い下さい
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる