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146話 「フラグが……」
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目立つにしてもこういった目立ち方は避けたい所である、が。
加賀はうーちゃんにドラゴンを運んでもらい、道具を抱え宿へと戻って行く。
そのあとを慌てた様子で3人のリザートマン達が追う、これで目立つなというのも無理があるが加賀については今更である。
3日起きにリザートマン達を引き連れ店を巡っているのだ、既に十分目立っている。
「で、なんでこんな格好で来たんですか?」
とは言えさらに目立って良いかと言えばそう言う訳ではない、あそこの宿は変な客が多いなど噂が立っては困るのだ。自然と加賀の口調も普段より冷たくなるのも仕方ないだろう。
「え……祭りが開催すると聞いてこの格好のしたのだが、不味かったのだろうか?」
「祭り……」
言われてドラゴンの格好をじっと見つめる加賀。
言われてみれば祭りに着る衣装の様な気がしなくもない、ただしそれは夏の祭りであればの話だが。
「えー……それ、夏用のです。今はもう冬になるのでもっと厚着にしてください。なんなら今日の午後の買い物で揃えますので……外套か何か借りておいてください」
「む、承知した」
ドラゴン用の服を買うと心のメモに書き加え、とりあえず厨房へと向かう加賀。
ドラゴンも追加になった事でちょっと多めに料理を用意する必要がある。
「貴方が汽水湖のドラゴン殿でしたか……そのお姿は魔法か何かで?」
「ああ、いやこれは魔道具を使ったのです。ほれ、この指輪……名は忘れましたが使うと人の姿をとれるのですよ」
「それはまた珍しいものを……っと、失礼私も厨房に向かわねば。すぐ料理は用意できますのでそれまでどうぞ寛いでいてください」
そうドラゴンに行って軽く会釈し厨房へと向かうバクス。
食堂に残されたドラゴンであるが、手持無沙汰そうにコップを手でいじりつつ時間をつぶしている。
勿論リザートマン達も食堂にはいるが、ドラゴンは彼らにとって崇拝する対象である。恐れ多くて話掛けられるものではないのだろう。
だがそんな暇そうな時間も終わりのようだ。荷物を片付けてきたうーちゃんが食堂の扉をあけひょっこり顔をのぞかせたのである。
「……っ!?」
うーちゃんを見た体を強張らせるドラゴン、つい最近汽水湖でボールのように蹴り飛ばされたのは記憶に新しい、さらには先ほど宿に向かうまでの間ずっとリフティングするかのようにして運ばれたのだ。警戒するのも無理はない。
「…………な、なんでございましょう?」、
そんなドラゴンの警戒する様子に気づいてかどうか分からないが、うーちゃんはすたすたとドラゴンへと近づいていき、目の前でぴたりと止まる。
その円らな瞳にじっと見つめられ汗をだらだらと流すドラゴンであるが声を震わせながらもうーちゃんへと話しかける。
うっ
途端にうーちゃんのもふりとした口が三日月型へと変わっていく。
そして何かを要求するようにドラゴンに向かい可愛らしく前脚をくいくいと動かすのであった。
「な、まさか……こ、これはだめですぞっ」
うーちゃんの狙いを悟りさっとかばう様に指輪を隠すドラゴン。
どうもうーちゃんはその指輪に興味があるようでなおを前脚をくいくいと動かし、じょじょにドラゴンへと近づいていく。
「だ、だめっ! これがないとここに来れないから、だめですぅううっ」
逃げるドラゴン、そしてゲス顔でせまるうーちゃん。
中々にカオスな場面であるがそれはうーちゃんに向かいさし伸ばされた手によって止められる事となる。
「こりゃ、うーちゃんだめでしょー。 もー……なんかすっごいゲスイ顔なってたよ」
うーちゃんの頬を鋏こみもみもみと手を動かす加賀。
「ドラゴンさんごめんなさいねー。もうしないように言っておきますんで」
「あ、いや……お願いします」
うーちゃんの背をぐいぐい押し厨房に再び引っ込む加賀。
ドラゴンはその背を見送りつつ、絶対加賀いない時には来ないと心に誓うのであった。
「この後お買い物ですけど、それ終わったらどうします?」
「…………ぷはっ。吾輩であるか? 出来れば夜も頂きたいのだが……」
加賀に問いかけられ顔を上げるドラゴンであるが、その顔は料理を頬張りすぎてリスの様になっていた。
なんとか飲み干すと、夕食も欲しいと訴える。
「ん、了解です。夕飯用意しておきますねー。部屋も空いてるんで泊まるなら用意しますよ」
なぜか新規の客が来ない為、部屋には空きがまだある。
客として泊まる分には大歓迎なので宿泊するか問う加賀。
「おお、ぜひお願いしたい。朝食もでるのですかな?」
「もちろん、でますよー」
内心やったぜと思いつつ笑顔で答える加賀。
そこにあまり見たことのない加賀の営業スマイルにちょっと引きつつバクスが声を掛ける。
「……加賀、買い物だがちょっと気を付けてな? 最近難易度低めのダンジョンが増えたせいでまた探索者達が増えてきてるそうだ。 早々無理な勧誘するやつは居ないと思うが……アイネさんとうーちゃんは絶対護衛として連れてくようにな」
「バクスさん、それフラグ……分かりました、アイネさんうーちゃんお願いしてもいい?」
加賀の問いかけに頬を膨らませたまま頷く二人。
その様子に加賀は営業スマイルではなく、ただ笑顔を浮かべるのであった。
加賀はうーちゃんにドラゴンを運んでもらい、道具を抱え宿へと戻って行く。
そのあとを慌てた様子で3人のリザートマン達が追う、これで目立つなというのも無理があるが加賀については今更である。
3日起きにリザートマン達を引き連れ店を巡っているのだ、既に十分目立っている。
「で、なんでこんな格好で来たんですか?」
とは言えさらに目立って良いかと言えばそう言う訳ではない、あそこの宿は変な客が多いなど噂が立っては困るのだ。自然と加賀の口調も普段より冷たくなるのも仕方ないだろう。
「え……祭りが開催すると聞いてこの格好のしたのだが、不味かったのだろうか?」
「祭り……」
言われてドラゴンの格好をじっと見つめる加賀。
言われてみれば祭りに着る衣装の様な気がしなくもない、ただしそれは夏の祭りであればの話だが。
「えー……それ、夏用のです。今はもう冬になるのでもっと厚着にしてください。なんなら今日の午後の買い物で揃えますので……外套か何か借りておいてください」
「む、承知した」
ドラゴン用の服を買うと心のメモに書き加え、とりあえず厨房へと向かう加賀。
ドラゴンも追加になった事でちょっと多めに料理を用意する必要がある。
「貴方が汽水湖のドラゴン殿でしたか……そのお姿は魔法か何かで?」
「ああ、いやこれは魔道具を使ったのです。ほれ、この指輪……名は忘れましたが使うと人の姿をとれるのですよ」
「それはまた珍しいものを……っと、失礼私も厨房に向かわねば。すぐ料理は用意できますのでそれまでどうぞ寛いでいてください」
そうドラゴンに行って軽く会釈し厨房へと向かうバクス。
食堂に残されたドラゴンであるが、手持無沙汰そうにコップを手でいじりつつ時間をつぶしている。
勿論リザートマン達も食堂にはいるが、ドラゴンは彼らにとって崇拝する対象である。恐れ多くて話掛けられるものではないのだろう。
だがそんな暇そうな時間も終わりのようだ。荷物を片付けてきたうーちゃんが食堂の扉をあけひょっこり顔をのぞかせたのである。
「……っ!?」
うーちゃんを見た体を強張らせるドラゴン、つい最近汽水湖でボールのように蹴り飛ばされたのは記憶に新しい、さらには先ほど宿に向かうまでの間ずっとリフティングするかのようにして運ばれたのだ。警戒するのも無理はない。
「…………な、なんでございましょう?」、
そんなドラゴンの警戒する様子に気づいてかどうか分からないが、うーちゃんはすたすたとドラゴンへと近づいていき、目の前でぴたりと止まる。
その円らな瞳にじっと見つめられ汗をだらだらと流すドラゴンであるが声を震わせながらもうーちゃんへと話しかける。
うっ
途端にうーちゃんのもふりとした口が三日月型へと変わっていく。
そして何かを要求するようにドラゴンに向かい可愛らしく前脚をくいくいと動かすのであった。
「な、まさか……こ、これはだめですぞっ」
うーちゃんの狙いを悟りさっとかばう様に指輪を隠すドラゴン。
どうもうーちゃんはその指輪に興味があるようでなおを前脚をくいくいと動かし、じょじょにドラゴンへと近づいていく。
「だ、だめっ! これがないとここに来れないから、だめですぅううっ」
逃げるドラゴン、そしてゲス顔でせまるうーちゃん。
中々にカオスな場面であるがそれはうーちゃんに向かいさし伸ばされた手によって止められる事となる。
「こりゃ、うーちゃんだめでしょー。 もー……なんかすっごいゲスイ顔なってたよ」
うーちゃんの頬を鋏こみもみもみと手を動かす加賀。
「ドラゴンさんごめんなさいねー。もうしないように言っておきますんで」
「あ、いや……お願いします」
うーちゃんの背をぐいぐい押し厨房に再び引っ込む加賀。
ドラゴンはその背を見送りつつ、絶対加賀いない時には来ないと心に誓うのであった。
「この後お買い物ですけど、それ終わったらどうします?」
「…………ぷはっ。吾輩であるか? 出来れば夜も頂きたいのだが……」
加賀に問いかけられ顔を上げるドラゴンであるが、その顔は料理を頬張りすぎてリスの様になっていた。
なんとか飲み干すと、夕食も欲しいと訴える。
「ん、了解です。夕飯用意しておきますねー。部屋も空いてるんで泊まるなら用意しますよ」
なぜか新規の客が来ない為、部屋には空きがまだある。
客として泊まる分には大歓迎なので宿泊するか問う加賀。
「おお、ぜひお願いしたい。朝食もでるのですかな?」
「もちろん、でますよー」
内心やったぜと思いつつ笑顔で答える加賀。
そこにあまり見たことのない加賀の営業スマイルにちょっと引きつつバクスが声を掛ける。
「……加賀、買い物だがちょっと気を付けてな? 最近難易度低めのダンジョンが増えたせいでまた探索者達が増えてきてるそうだ。 早々無理な勧誘するやつは居ないと思うが……アイネさんとうーちゃんは絶対護衛として連れてくようにな」
「バクスさん、それフラグ……分かりました、アイネさんうーちゃんお願いしてもいい?」
加賀の問いかけに頬を膨らませたまま頷く二人。
その様子に加賀は営業スマイルではなく、ただ笑顔を浮かべるのであった。
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