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133話 「内緒の相談」
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「やー……すごい人気だったね?」
「まったくだよ、あそこまで勧誘くるとは思ってなかったわ」
買い物を終え宿へと戻った一行であるが、食堂に入ると同時にぐったりとした様子で椅子に腰かける。
買い物の際中幾度となくPTへの勧誘があり、断っても断っても次から次へとくる勧誘にさすがに全員辟易した様子である。
「申し訳ないす……」
「まあ次からは大丈夫だろ? 全部ばっさり断ったし、噂にもなってると思うぞー」
「だと良いんですが……加賀さん、ご迷惑おかけしますが次もお願しても良いでしょうか?」
「ん、まかせてー。ボクも色々見てまわれるし問題ないよん」
ガタガタと荷車に買いあさった荷物を詰め込むリザートマン達。
買うものが増えさすがに持って帰るのが厳しいと考えた彼らはついでに荷車も買う事にしたのだ、森に入るまでは比較的平坦な道を進み、森に入ってからは他のリザートマン達やドラゴンが協力し道を開いているとの事でそこを通っていくそうだ。
「それじゃ皆さんありがとうございました」
「気を付けてねー、また3日後に~……あ、これドラゴンさんに。お菓子の詰め合わせです」
「あ……危ないまたうっかり忘れるところでした、ありがとうございます」
ドラゴンさんによろしくねーと手を振りリザートマン達を見送る加賀達。
完全に人込みに隠れ彼らの姿が見えなくなると手を下しさて、と呟く。
「夕飯の用意すっるよー。今日は絶対みんな量いくだろうから出来るだけ多めに下ごしらえしておかないと」
「……それもそうね。私は魚担当?」
「うん、お願いしても良いー? 小骨取るのは皆絶対喜ぶと思うんだよね」
そう言いあいながら厨房へと向かう3人。中にいたバクスと合流し夕食の準備を始める。
ダンジョンコアの事も早めに相談しなければと思う加賀であるが、まずは目の前の仕事を片付けねばならない。
相談するのは従業員の夕食時になるだろう。
「そんなわけでーですね」
「どんなわけだ? つか、飲み込んでから喋りなさい」
「あい」
スプーンを加えぴこぴこさせていた加賀を注意するバクス。
加賀はこれから話す内容に皆がどう反応するのか不安なのだろう、いつもとどこか様子が違う。
それは普段から加賀の傍にいるものにはすぐわかる事であった。
「命、何かあったの?」
姿かたちは変わっても自分の子供と言う事だろう、咲耶がいつもと様子の違う加賀を見て少し心配そうに声をかける。
「んー……ちょっと相談したい事があって……」
「ほう?」
ぴくりと眉を上げ加賀の言葉に反応するバクス。
加賀はバクスから気まずそうに視線をそらすとぽつりぽつりとダンジョンコアの事について話始める。
「……まあ、俺も多分そうだろうなとは思っていた。口にすると藪蛇になりそうなんで言わなかったがな」
「あ、やっぱり?」
復活したダンジョンがあまりに高難易度である原因が加賀の料理にあるとバクスは薄々頭の中では思っていたようだ。
「それで、ダンジョンが高難易度の原因が加賀の料理だとして、相談したい事ってのはなんだ? 別にあるんだろう?」
「えーとですね……実はたまにダンジョンコアがこの宿にきてましてー」
ここでバクスの眉がさらに神経質そうにぴくくと動く、加賀はそちらをチラチラと気にしつつぼそぼそと続きを話す。
「その……高難易度過ぎるよって伝えてあげようかなーと……」
「ふむ?」
「低難度の階層とか追加してくれないかなーなんて」
「駆け出しの連中用か……別に加賀が気にする事じゃないと思うぞ? ダンジョンがレベルに合わないなら別の所に行くだけだ」
割とあっさり答え鵜バクスであるが、加賀はどこか割り切れない様子である。
「気持ちの問題か……ま、あまり気になるなら聞いてみれば良いさ。ただ今あるダンジョンに影響のでない形でな?」
「んっ、分かりましたー。それじゃ早速呼んでみる……と言うか今日は来る日だから、もう待ってると思うけど」
そう言いながら料理を皿に盛る加賀、それはよくよく見ると普段精霊用に用意していよりも幾分多めであった。あからさまに量が変わらないせいで誰かの目にとまる事もなく今日までこっそりコアに料理を上げてこられたのだろう。
「んっし、まずは精霊さんごはんですよーう」
そう言って扉をあけ料理が乗ったお盆をことりと置いた直後、料理が次々に消えて行く。
一瞬で空になった皿をみてほほ笑む加賀。次いで残しておいた皿もことりとお盆に乗せる。
「こっちはダンジョンコアさんの分ね、人がいるけど出てきてだいじょぶよー」
出てきてだいじょぶと言う言葉に反応して加賀の足元からすっとコアが現れる。
コアはしばし空中をふわふわと漂っていたかと思うと料理の傍に転がり、料理を食べながら加賀に向け話はじめる。
「……ほかに人がおるとはの……何かあったんかいな?」
「ん、ちょっと相談したい事があって……食べたままで良いんで来てもらえますか?」
「ええよ、話してごらん」
コアに許可をとった加賀は先ほど皆で話した内容を伝えて行く。
「……と言うわけです」
「ふむ……ちと張り切って作りすぎたかの。ええよ、入り口二つに分けて難易度別の作ろうじゃないか」
あっさりともう一つダンジョンを作ると言うコアに驚きを隠せない加賀。
そんなぽんぽん作れるようなものなのだろうかと心配気な表情を浮かべる。
「正直魔力有り余っておっての……これ以上深くしても意味ないんじゃないかと思っとったんよ」
丁度よかったと笑うコア。
ちょくちょく加賀の料理を食べていたおかげでダンジョンを作成する際に消費した魔力はとうの昔に満タンあっており、今では無駄にダンジョンを拡張しまくっていたとの事である。
「人がこれないと意味がないでの」
「そういうものなんですねー」
「そうじゃよ? わしらの目的はあくまでダンジョンを作成して、それを攻略してもらう事だからの。攻略出来ないダンジョンなぞ作っても意味がない」
とりあえずそこまでのコアの言葉を皆に伝える加賀、攻略してもらう事が目的と聞いたあたりでバクスがなるほどなと言った表情を浮かべる。
「……前々から不思議に思っていたんだ。……やりようによってはダンジョンの中に入った人をあっさり皆殺しに出来るはず、なぜやらないのかと……攻略してもらうのが目的だったとはな」
分かるはずが無いそう言って肩をすくめるバクス。
「と、話の途中で止めてすまんな。続けてくれ……と言ってもこれ以上話す事はあまりないか?」
バクスの言葉をコアに伝える加賀であるが、コアのほうも今の所これ以上話す事は思い浮かばなかったようだ。
「そうだの……ま、ちょくちょく此処には来るでの。何かあればまた声掛けてくれればええよ。それじゃの加賀ちゃん、馳走になったわい」
コアの言う通りちょくちょく会えるわけで何かあればまた別途伝えれば良い。
地面に消える様に消えていくコアを見送り、今日の相談はここまでとなる。
「まったくだよ、あそこまで勧誘くるとは思ってなかったわ」
買い物を終え宿へと戻った一行であるが、食堂に入ると同時にぐったりとした様子で椅子に腰かける。
買い物の際中幾度となくPTへの勧誘があり、断っても断っても次から次へとくる勧誘にさすがに全員辟易した様子である。
「申し訳ないす……」
「まあ次からは大丈夫だろ? 全部ばっさり断ったし、噂にもなってると思うぞー」
「だと良いんですが……加賀さん、ご迷惑おかけしますが次もお願しても良いでしょうか?」
「ん、まかせてー。ボクも色々見てまわれるし問題ないよん」
ガタガタと荷車に買いあさった荷物を詰め込むリザートマン達。
買うものが増えさすがに持って帰るのが厳しいと考えた彼らはついでに荷車も買う事にしたのだ、森に入るまでは比較的平坦な道を進み、森に入ってからは他のリザートマン達やドラゴンが協力し道を開いているとの事でそこを通っていくそうだ。
「それじゃ皆さんありがとうございました」
「気を付けてねー、また3日後に~……あ、これドラゴンさんに。お菓子の詰め合わせです」
「あ……危ないまたうっかり忘れるところでした、ありがとうございます」
ドラゴンさんによろしくねーと手を振りリザートマン達を見送る加賀達。
完全に人込みに隠れ彼らの姿が見えなくなると手を下しさて、と呟く。
「夕飯の用意すっるよー。今日は絶対みんな量いくだろうから出来るだけ多めに下ごしらえしておかないと」
「……それもそうね。私は魚担当?」
「うん、お願いしても良いー? 小骨取るのは皆絶対喜ぶと思うんだよね」
そう言いあいながら厨房へと向かう3人。中にいたバクスと合流し夕食の準備を始める。
ダンジョンコアの事も早めに相談しなければと思う加賀であるが、まずは目の前の仕事を片付けねばならない。
相談するのは従業員の夕食時になるだろう。
「そんなわけでーですね」
「どんなわけだ? つか、飲み込んでから喋りなさい」
「あい」
スプーンを加えぴこぴこさせていた加賀を注意するバクス。
加賀はこれから話す内容に皆がどう反応するのか不安なのだろう、いつもとどこか様子が違う。
それは普段から加賀の傍にいるものにはすぐわかる事であった。
「命、何かあったの?」
姿かたちは変わっても自分の子供と言う事だろう、咲耶がいつもと様子の違う加賀を見て少し心配そうに声をかける。
「んー……ちょっと相談したい事があって……」
「ほう?」
ぴくりと眉を上げ加賀の言葉に反応するバクス。
加賀はバクスから気まずそうに視線をそらすとぽつりぽつりとダンジョンコアの事について話始める。
「……まあ、俺も多分そうだろうなとは思っていた。口にすると藪蛇になりそうなんで言わなかったがな」
「あ、やっぱり?」
復活したダンジョンがあまりに高難易度である原因が加賀の料理にあるとバクスは薄々頭の中では思っていたようだ。
「それで、ダンジョンが高難易度の原因が加賀の料理だとして、相談したい事ってのはなんだ? 別にあるんだろう?」
「えーとですね……実はたまにダンジョンコアがこの宿にきてましてー」
ここでバクスの眉がさらに神経質そうにぴくくと動く、加賀はそちらをチラチラと気にしつつぼそぼそと続きを話す。
「その……高難易度過ぎるよって伝えてあげようかなーと……」
「ふむ?」
「低難度の階層とか追加してくれないかなーなんて」
「駆け出しの連中用か……別に加賀が気にする事じゃないと思うぞ? ダンジョンがレベルに合わないなら別の所に行くだけだ」
割とあっさり答え鵜バクスであるが、加賀はどこか割り切れない様子である。
「気持ちの問題か……ま、あまり気になるなら聞いてみれば良いさ。ただ今あるダンジョンに影響のでない形でな?」
「んっ、分かりましたー。それじゃ早速呼んでみる……と言うか今日は来る日だから、もう待ってると思うけど」
そう言いながら料理を皿に盛る加賀、それはよくよく見ると普段精霊用に用意していよりも幾分多めであった。あからさまに量が変わらないせいで誰かの目にとまる事もなく今日までこっそりコアに料理を上げてこられたのだろう。
「んっし、まずは精霊さんごはんですよーう」
そう言って扉をあけ料理が乗ったお盆をことりと置いた直後、料理が次々に消えて行く。
一瞬で空になった皿をみてほほ笑む加賀。次いで残しておいた皿もことりとお盆に乗せる。
「こっちはダンジョンコアさんの分ね、人がいるけど出てきてだいじょぶよー」
出てきてだいじょぶと言う言葉に反応して加賀の足元からすっとコアが現れる。
コアはしばし空中をふわふわと漂っていたかと思うと料理の傍に転がり、料理を食べながら加賀に向け話はじめる。
「……ほかに人がおるとはの……何かあったんかいな?」
「ん、ちょっと相談したい事があって……食べたままで良いんで来てもらえますか?」
「ええよ、話してごらん」
コアに許可をとった加賀は先ほど皆で話した内容を伝えて行く。
「……と言うわけです」
「ふむ……ちと張り切って作りすぎたかの。ええよ、入り口二つに分けて難易度別の作ろうじゃないか」
あっさりともう一つダンジョンを作ると言うコアに驚きを隠せない加賀。
そんなぽんぽん作れるようなものなのだろうかと心配気な表情を浮かべる。
「正直魔力有り余っておっての……これ以上深くしても意味ないんじゃないかと思っとったんよ」
丁度よかったと笑うコア。
ちょくちょく加賀の料理を食べていたおかげでダンジョンを作成する際に消費した魔力はとうの昔に満タンあっており、今では無駄にダンジョンを拡張しまくっていたとの事である。
「人がこれないと意味がないでの」
「そういうものなんですねー」
「そうじゃよ? わしらの目的はあくまでダンジョンを作成して、それを攻略してもらう事だからの。攻略出来ないダンジョンなぞ作っても意味がない」
とりあえずそこまでのコアの言葉を皆に伝える加賀、攻略してもらう事が目的と聞いたあたりでバクスがなるほどなと言った表情を浮かべる。
「……前々から不思議に思っていたんだ。……やりようによってはダンジョンの中に入った人をあっさり皆殺しに出来るはず、なぜやらないのかと……攻略してもらうのが目的だったとはな」
分かるはずが無いそう言って肩をすくめるバクス。
「と、話の途中で止めてすまんな。続けてくれ……と言ってもこれ以上話す事はあまりないか?」
バクスの言葉をコアに伝える加賀であるが、コアのほうも今の所これ以上話す事は思い浮かばなかったようだ。
「そうだの……ま、ちょくちょく此処には来るでの。何かあればまた声掛けてくれればええよ。それじゃの加賀ちゃん、馳走になったわい」
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