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高校二年生、一年生とのギスギス
3話「一年生との対立」
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春祭り後、ルアは、部活に向かう。
席に座るとやはり、梨音も隣に座ってきた。
「梨音ちゃん、こんにちは」
「こんにちは、センパイ。
あのぉ、先輩は、いつから歌をやっているんですか?」
「小3かなぁ。声楽教室。中学生からだよ、合唱部は。」
「そうなんですねぇ。...あの、右肩に
髪を置いてた女の人は?」
「?..ああ、雪葉先輩の事かな?
もう卒業しちゃったけど。
雪葉先輩は年中とかだよ」
「へぇ、スゴいですね。私、あの人と一緒に
歌ってみたかったなぁ」
はにかむ梨音の様子に嘘は無さそうだ。
「センパァーイ!」
べったりとした声に、自分は先輩だともう一度自覚する。
「どしたの、桃々華ちゃん」
笑って返すルア。梨音が口を開く。
「んもー邪魔しないでよー」
冗談風に言う梨音に、桃々華は、ふふと笑う。
その様子に思わず口が上がる。
一年生同士は仲いいのか。ルアと歌乃もこんな感じだったかな。
「あ、先輩、あのぉ...今日一緒にカフェ行ってくれませんか」
「ん?いいけど...」
「ありがとうございます!!午後5時に、下駄箱に、集合で」
去っていく桃々華に、首を傾げる。何だろうか。
「行けませんねぇ。私の先輩を、持ち帰りなんて!」
頬を膨らます梨音に、クス、と笑うと、
「先輩ったら」
と言われた。後輩は可愛いものだ。
「あの、先輩」
カフェ。というかスタバ。
桃々華は、チーズケーキとホワイトモカを交互に口に入れる。
ルアは、スコーンと、チョコフラペチーノ、エキストラホイップ&チョコチップ追加。
「何?」
返事をすると、口ごもってた彼女は口を開く。
前髪がない彼女のハーフアップは可愛かった。
「私、先輩とそりが合わないようなんです」
サクッと口に出す彼女に凍り付く。
先輩。
「ルア先輩の、事ではぁ、ないんですよぉ?
ですけど、歌乃先輩とかぁ琴先輩ゆか先輩とかぁ。
苦手っていうかぁ、合わないんですよねぇ。」
もぐもぐと、チーズケーキを頬張る桃々華。
「んーと、どうしてそう思うの?」
「何かぁガツ!って感じじゃないですかあ。
特に歌乃先輩とかぁ。厳しくて泣いてる子もいましたよぉ。
メロディーはぁ」
「そうなんだあ。」
一年指導係に任命された以上こういう悩みも、上手く指導しなくてはいけないのだ。
つくづく雪葉は面倒な職業に任命してくれたものだ。
「えーとね、厳しさは、意地悪じゃなくて、
愛による物だと思うよ。
だから、その三人は、一年生の事を思って言ってるんだと思うよ」
三年生の悪口等は指導係として言わせてはならない。
そんな義務感を背中に背負う。
紐でくくりつけてる気分だ。
「...まぁ、そうですよね。で、本題なんですけどぉ」
ここは本題じゃなかったの!?とずっこけそうになる。
「三年の、優奈先輩と、春香先輩、
仲良いじゃあないですかぁ。」
「ん、そうだね」
「でも、私、春香先輩が、優しくて、大好きなんですがあ。
二人には近づけなくて」
しゅんとする彼女。
「春香先輩に、そう言ってみたら」
適度なアドバイスをして、解散した。
マズい。
寮の廊下を歩いてて思う。
一年生が先輩に反発しつつある。
これは、指導係として非常にまずい。まずいのだ。何度も心で
呟く。
どうなるのだろうか。今年は。
脳裏に浮かぶのは梨音の姿であった。
席に座るとやはり、梨音も隣に座ってきた。
「梨音ちゃん、こんにちは」
「こんにちは、センパイ。
あのぉ、先輩は、いつから歌をやっているんですか?」
「小3かなぁ。声楽教室。中学生からだよ、合唱部は。」
「そうなんですねぇ。...あの、右肩に
髪を置いてた女の人は?」
「?..ああ、雪葉先輩の事かな?
もう卒業しちゃったけど。
雪葉先輩は年中とかだよ」
「へぇ、スゴいですね。私、あの人と一緒に
歌ってみたかったなぁ」
はにかむ梨音の様子に嘘は無さそうだ。
「センパァーイ!」
べったりとした声に、自分は先輩だともう一度自覚する。
「どしたの、桃々華ちゃん」
笑って返すルア。梨音が口を開く。
「んもー邪魔しないでよー」
冗談風に言う梨音に、桃々華は、ふふと笑う。
その様子に思わず口が上がる。
一年生同士は仲いいのか。ルアと歌乃もこんな感じだったかな。
「あ、先輩、あのぉ...今日一緒にカフェ行ってくれませんか」
「ん?いいけど...」
「ありがとうございます!!午後5時に、下駄箱に、集合で」
去っていく桃々華に、首を傾げる。何だろうか。
「行けませんねぇ。私の先輩を、持ち帰りなんて!」
頬を膨らます梨音に、クス、と笑うと、
「先輩ったら」
と言われた。後輩は可愛いものだ。
「あの、先輩」
カフェ。というかスタバ。
桃々華は、チーズケーキとホワイトモカを交互に口に入れる。
ルアは、スコーンと、チョコフラペチーノ、エキストラホイップ&チョコチップ追加。
「何?」
返事をすると、口ごもってた彼女は口を開く。
前髪がない彼女のハーフアップは可愛かった。
「私、先輩とそりが合わないようなんです」
サクッと口に出す彼女に凍り付く。
先輩。
「ルア先輩の、事ではぁ、ないんですよぉ?
ですけど、歌乃先輩とかぁ琴先輩ゆか先輩とかぁ。
苦手っていうかぁ、合わないんですよねぇ。」
もぐもぐと、チーズケーキを頬張る桃々華。
「んーと、どうしてそう思うの?」
「何かぁガツ!って感じじゃないですかあ。
特に歌乃先輩とかぁ。厳しくて泣いてる子もいましたよぉ。
メロディーはぁ」
「そうなんだあ。」
一年指導係に任命された以上こういう悩みも、上手く指導しなくてはいけないのだ。
つくづく雪葉は面倒な職業に任命してくれたものだ。
「えーとね、厳しさは、意地悪じゃなくて、
愛による物だと思うよ。
だから、その三人は、一年生の事を思って言ってるんだと思うよ」
三年生の悪口等は指導係として言わせてはならない。
そんな義務感を背中に背負う。
紐でくくりつけてる気分だ。
「...まぁ、そうですよね。で、本題なんですけどぉ」
ここは本題じゃなかったの!?とずっこけそうになる。
「三年の、優奈先輩と、春香先輩、
仲良いじゃあないですかぁ。」
「ん、そうだね」
「でも、私、春香先輩が、優しくて、大好きなんですがあ。
二人には近づけなくて」
しゅんとする彼女。
「春香先輩に、そう言ってみたら」
適度なアドバイスをして、解散した。
マズい。
寮の廊下を歩いてて思う。
一年生が先輩に反発しつつある。
これは、指導係として非常にまずい。まずいのだ。何度も心で
呟く。
どうなるのだろうか。今年は。
脳裏に浮かぶのは梨音の姿であった。
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