ドリームミュージカル

ぱっりん

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高校一年生、桜川高等学校合唱部

20話「不審者?」

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気付いたら、階段をかけだしていた。
歌乃は、私にとって、特別なのだ。
守らなければ。
二階についたころ、ふと階段につく窓をみる。
歌乃だ。不審者と、何か話している。
あれ??
不審者が歌乃に近づく。右手にはナイフを持ったまま。
やばい!!
飛び越えながら階段を走る。すると、歌乃が校内に入ってきた。
「う、歌乃...」
「危ない!」
歌乃がこちらに駆けだしてくる。次の瞬間、私はバランスを崩して、
意識は無くなった。
大きく、頭をぶつけた。
葵と歌乃の、声がした。
「ルア...ルア」
目が覚める。私の、家のベッドだった。
「葵、歌乃...あれ?」
頭がキリリ、と大きく鳴って、頭痛が走る。
「今日、何日?」
「コンクール、19日前。」
っ!
それまで意識を失ってたなんて!
聞けば、葵と歌乃は毎日訪ねてくれていたらしい。
「19!ソロは!」
すると、歌乃が曇った表情をした。
「ソロは.,.」
ドキドキと、胸の高鳴りが止まらない。
葵が口を開く。
「高島だったよな!」
葵がにっこり笑顔でいう。
「え、歌乃!良かったねぇ!」
笑顔で歌乃に笑うと歌乃は、
「ルア、ごめんなさい。」と謝りの言葉を告げる。
「へ?」
「あんな事言って」
「あーいいのいいの。って、あれ!?不審者は!?」
「不審者?あれ、持川先生。持ってきたテープをきるために、ナイフ買ってたんだって」
持川先生は、保健室の先生だ。そうだったのか。
「もう、部活は、終わったの?」
「ん。終わった。」葵が言う。
「明日は参加できそう?」歌乃が不安そうな顔で笑いかける。
「もちろん!遅れを取り戻さないとね」
バッと起き上がると、二人に制された。
「また、明日。」2人が帰って行った。
次の日。
練習に、参加した私。
お腹から声を出す。
星空の、麗。私は、もうこの歌の虜だった。
優しく、華やかに夢の世界に連れてくような、キレイで可愛い曲調と反対に、
時折残酷さを見せる、歌詞。
その二つが合わさってゾクゾクとする。

練習後、私は、歌乃と花と、練習をしていた。
「なあ、一つ聞いてもいい?」
花が探るようにこちらやを覗く。
「うん、いいよ」私が言うと、歌乃もうんと言う。
何だろうか。
「2人が同じ小学校で友達だって聞いたけどマジ?」
「え?」
二人とも声を出す。そんなの、覚えてない。
「二人、千葉の小学校だったんやろ?千葉小田公立小学校。
二年生の先輩が、千葉小田だったんやって!
だから、記憶があるらしい」
確かに、私は、千葉の小田公立小学校だった。
だが、歌乃は...
「アタシもそこだった」
歌乃が驚く。
本当に同じ小学校だった!?
「わ、私も」大きく言う。
「え、まじか。
じゃあ、そいうことなんか、
マジで二人幼なじみだったんかー」
花が腕を組む。
「どうりで仲がええわけだわ。
納得した。自分、隠してたんやろ?」
花がギロリと言う。
「隠したわけじゃなくて..,ただ何か記憶にないんだよ」
ルアが、腕を、歌乃と組む。
歌乃の、髪からは甘い匂いがした。
「記憶がない?たった、4年前やろ?」
「んー。そうなんだけどさー。
何か小学校の頃の記憶、鍵がかかったみたいな?
何か思い出そうとすると、頭が痛い、というか。」
「?何か嫌な事があったとか?」花が呟く。
「分からない」歌乃が言う。
「もしかして、二人喧嘩したとか?」
花がニヤニヤした声で言う。と同時に、頭痛が走りかけた。
思い出しそう。その瞬間、
部長が入ってくる。
「そこの三人!!
お喋りしてたなあ?」
部長は、私、歌乃、花のほっぺたを順番に引っ張っていく。
「部長」ルアが呟く。部長は、ん?と、不思議そうな顔になる。
「あの、ソロ辞退した、ってどういう事ですか?」
笑顔だった部長が、サッと厳しい目つきになり、途端に声が低くなった。
「本当に聞きたい?」「はい」
タブーを触れたかのような目つきだ。
部長が、私を廊下に誘う。
壁ドンのような感じで、私は壁側に追いやられた。
部長の170cmを超える長身に、飲み込まれそうだった。
「星見空」
「へ?」
「星見空は、私がいないと上手く、歌えない」
部長は笑顔だ。だが、目は決して、笑っていない。
「ソロだと、前の方になる。星見空と離れてしまう。
すると、途端に彼女の歌声は、悲劇になる。」
歌乃もそんなことを、いってたな。
だから。と部長はいう。
「星見空も説得して、辞退した」
部長は、小さく口を狐にして、「じゃ、戻るよ」と言った。
練習室のドアを開けたとき、彼女はこちらを振り返った。
その目は、冷たかった。

つづぬ
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