ドリームミュージカル

高校一年生、桜川高等学校合唱部

プロローグ

初めてだが、夢のようだと、
思うことができた。頬が紅色で、
茶色のおさげ、召使いの格好をしている、
目線の少女に、見とれていた。

ルアは、欲しいものはないし、
夢もなかった。
ただただ、働くならお給料が良さそうなものがいいなあ、と
しか思わない、元気のない小学三年生。

出かけるよりも、家で本でも読むほうがいい、
そう考えるような女の子。
だが、母が、おばあちゃんから、
いらないから、と、歌劇団のチケットを二つもらい
私は、強引に母につれてかれた。

劇団、宇宙。
初めは、なんというか、子供っぽい名前。と
思ったが、
ミュージカルがはじまると、
瞬きももったいなく感じるほど、見とれた。
綺麗な役者が可愛く歌い、キレッキレに踊り、
演技をし.,,
劇団宇宙が、なぜミュージカルの最高峰と呼ばれているのか、
一瞬で理解した。

私が見たのは、有名な「フラワー」という小説。
お花のように美しい少女が召使いからお姫様になる物語。
主人公が最終的にいい立場になるのはお約束。
そんな物語幾らでも見た。
でも、目を引かれる。
はなせない。

二時間30分の公演が、一分に感じた。
終わる瞬間、ルアは鳥肌が止まらなかった。
思わず、
「すごく、いいミュージカルだった...」
と呟いていた。
お母さんは、上を向いて
「そうね..,」
と言った。
私は、舞台に感動するだけではなくて、
演技にも憧れを抱いた。
（あの、大きなステージに、私も乗ってみたい）
歌って踊って演技。
それがとても魅力的に見えて、更に普通の劇団ではなく、
劇団宇宙に入りたい。
そう思って、帰りの電車に乗り込んだ。