元美容師が、異世界に転生した結果〜天才美容師が美少女改造〜

1章「開店！」

１話「転生」

私の名前は神田美羽。
普通の26歳で、美容師。
東京都内の有名美容室で働く、
結構人気の美容師だった。

今日、死ぬまでは。


死んだきっかけは、
休みの日、おばあちゃんの一周忌に
向かってる時、フード被った通り魔に
やられました。

誰だったのかな。

逮捕もされてないみたいで、
気になるけど、
もう私死んだッぽいし、いいよね。

ああ、短い人生だった。


「起きて下さい！ローズさま」


ぱちりと目を開ける。
あれ、体が痛くない。

刺されたお腹に触れる。
血のどろりとした感触が、ない。
ふわふわとしたパジャマの感触だ。

顔を上げる。
赤髪に、星のピアスの、美少女がいた。
エプロンを見る限り、召使いだろうか。

「もおーローズ様やっと起きたのですね。
朝食ができましたので、
着替えたらお越し下さい」 

にこりと、彼女は微笑み、
後ろ姿を向ける。


…髪の毛の毛先が絡まってる。
髪質の問題かな。
それなら改善トリートメントを…

髪を追いかけようとして気づく。

「…え？」

目線が低いし、手も小さい。
まさか、と思い、鏡を見る。


「きゃあああっ」

思わず倒れ込む。
映ったのは、見慣れたお団子と
黒髪ではなく、
白っぽい金色の髪と青い瞳。
リボンで髪をゆった少女だった。

「だ、誰ええ」

思わず口に出す。

「こ、これがもしかして、
生まれ変わりってやつ…？」

ごくりと息を呑む。
まさか、本当にあるなんて。

「夢、じゃないよね」

ほっぺたを引っ張る。
痛い。
ほっぺたもふわふわぷにぷにで、
私とは違った。


「それにしても、可愛い見た目だけど
パサパサの髪ですなあ」

毛先に触れて、呟く。
見た目を見るに7歳くらいだろうか。
シャンプーとかはしないものなのか。

「ローズ様ー！
お早めにー！」


あの赤髪の少女の声がして、
私は、はっとする。


これが生まれ変わりなら、
このローズという少女として生活するわけだ、

元のローズという女の子は、どこへ
行ったのだろう。

7歳まで生きてきた彼女は、いったい…。

「ローズ様ぁー」


また声がして、私は慌てて隣にあった
クローゼットを開けた。


「お、おお…」


ロリータ系な服に、ドレス、ワンピース。
いずれも綺麗で高級そうなものだった。

「これとか、私が似合わなかったやつじゃん…」


ロリータ系な白のワンピを
手に取る。

私は顔立ち的にこういうのが似合わなかった。


無言で、鏡の前で着てみる。
なんら違和感のない、
髪の毛だけはパサパサの
美少女が映っていた。



「あ、可愛いですね」



思わず呟いて気づく。

私はこの美少女を、好きに改造できるのか…

生まれ変わってよかったなあとはにかむ。

だけど、ローズという少女の意識はどうなったのかは気がかりであった。


つづく