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5章 放浪の弟子と誰もいない世界

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ダイスの1


気が付くと洞窟にいた。

何を言ってるかわからないと思うかもしれないけど
あたしだって状況を把握なんて出来てない。

泣きそうになるが目の前に転がっているダイスに目が行く。

「あ、これ・・・あたしのだ。あの時もらったダイス。」

ダイスを持つとあたしの右手に吸い込まれていった!

びっくりして右手を見る。
ダイスがあたしの中に入っちゃった…

変な感じがする。

もうずっと、変なことばかり起きつづけている…
冷たい風を首の後ろらへんで感じて身をすくめる。

この洞窟ちょっと寒い…

それよりここは安全な世界なのか気になって来ていた。
まさかモンスターとかの世界じゃないよね? こういう時は…

師匠その2
カトー直伝の劣化隠形を使用して気配を消す。
洞窟を見渡して洞窟の作りに違和感を持った。



なにか見覚えがある。
恐る恐る洞窟内を歩き出す。

 上の階がある。
廊下と脇道に小部屋の感じ…
それにこの間取りってもしかして。

気を付けながら上の階に向かう、小部屋になっている場所がいくつかあり
そこを順番に覗いていく。
息が苦しくなる。
なぜか緊張する。

 気になっていた小部屋を除くとあたしのテントの残骸のようなものと
人間の死体をむさぼり食べている、醜悪な姿の化け物がいた。

 灰色の体にワシ鼻に頭部に髪の毛はあり、体は異様で人間の両腕の二の腕部分の皮膚が
まるで蝙蝠か何かのように胴体と一体化していた。

そいつがあたしに気づいてかこちらを振り返る。



あの女だ、あたしが叩きのめしたあの殺人鬼!
ギシャァー!!!!!!!!!

威嚇するような叫び声を出しながら
醜悪な顔をさらに歪めて怒りの感情を顔に灯してあたしを睨む。

劣化隠形を使ってたのにこいつあたしに気づいた。
確かにあたしの劣化隠形は結構微妙だけど、それにしても気づくのが早い。

いや、とりあえず切り替えよう

再度殺人鬼が威嚇してくる、が微妙に目を向ける方向がずれてる…
こいつ見えてないのか?
なんか鼻が良くなったとかそんな能力を化け物化して獲得したのかな。

 まぁどうでもいい…
そいつの横にあるものをみて嫌悪感が一気に上昇する。
そのわきにはあたしが助けようとしていた女の人らしきもののバラバラになった姿があった。

 瞬間的に距離を詰めてそいつの顔面を殴りつけた。
馬乗りになって何度も何度も。
そいつは耳障りな絶叫を上げながら爪で引っ搔いて応戦しようとする。

 あたしはそんなものどうでもいいとばかりに徹底的に殴り続ける。
20秒ほどでそいつの体からマナが薄れていくのがわかった。
殺人鬼を殺そうとしたとき、
「ちょっと待って! お願いだから! ちょっとだけ!!」

死にゆく前のクズが何かいう。

「はぁ、何?」

「助けておくれよぉ、ヒック、悪気はなかったんだよぉ… ヒック」

「おい、お前」
「ヒア、ハィィ…」

「なぜこの人を襲ったの?」
「ししし、知らな、いやわかりません…」
「と、とにかく助けて!? オネガイ、改心するから…」

「ふーん、じゃあこれを飲んで。」
「え? これ?」
「いいから飲め。」

クリニックでとって来た、粉末の風邪薬を飲むようにいう。
「早くして。」
殺人鬼の化け物はあたしから受け取った粉末を飲むふりをして
口に含んであたしに吹きかけた!

 そいつはこの粉末がせめて毒なのを期待してたようで
あたしがノーダメージなのをみて
希望を自らの手で消してしまったような顔をした。
それが蝙蝠女の最後になった。

 最後までどうしようもないやつだった。
とりあえず図書館と間取りが酷似しているこの洞窟を探索。

また違う小部屋に入ってテント作成。
簡単なバリケードも作っておく。

さっきの死体の近くにあの司書の女の人のカバンがあった。

名前はアネッサ。26歳司書。
最初は地味そうな印象だったけど。
顔立ちは整っていてでお人形さんみたいだった。

あの殺人鬼は知り合いだったのかな。
今となってはわからないけど



 武器がほしい。
あの女は人間だったと思うんだけど何であんなモンスターみたいになったんだろう。
とにかく他に強力なモンスターが出たらまずい。

ハチもエリザベスもいないのだから。
劣化隠形を使いながら洞窟の中を探索していく。
間取りは似てるけど、やっぱり図書館じゃなさそう。
なぜ間取りが似てるのかもわからない。
洞窟の壁には鉱石のようなものまである。

この黒い鉱石って黒曜石?

石を近くにあったほかの石を使って壁からどうにか取り出す。
マジックアイテムDIYでナイフを作る。
やっぱりこの素材、黒曜石に似てる。


かなり鋭いナイフが出来上がった。
しかもマナの通りもいい。
他にもいくつかこの黒い石を見つけてリュックに入れていく。正確にはガラスみたいだけど。

図書館の出入り口のほうに行くとそこは行き止まりになっていた。

行き止まりの近くに小部屋が一つあったので、中をのぞくと
マンホールがある。
「マンホールだよね? これ。」

マンホールを外すと梯子が下へと続いている。

「……真っ暗だし、降りたくないんだけど。」

ちょっと待って。えーと。
いったん他のところを見て回ろう。

マンホールを戻して1階の見てなかったところを探索していく。

何もない。

 2階も異常なし。ここには私しかいない。
それと出口がない…
あたしもテントで寝ようかな。

 ちょっとテントで休憩しようとするが気が休まらない。
覚悟を決める。
1階に降りてマンホールの蓋を再度開けて下に降り始める。
結構狭いし、ずっと下に続いてる。

 建物3階分くらい降りたんじゃないのっていうくらい降りて行くと
梯子が無くなっている。
器用に穴から顔を出して周りを確認してみると、
どこかすっごく広い洞窟の天井の穴から自分が顔を出していたことに気づく。

すぐ下の地面までは3メーターくらい。
飛び降りることはできるけど…
どうしよう。

仕方ない、飛び降りる。


凄く広い洞窟内は意外と明るくて周りを見渡すと草みたいな緑のものが光っている。
苔か!

苔が光っていたり、壁もところどころ煌めいている。

神秘的だった。
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