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4章 魔女と湖畔の街と革命の鐘

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その夜は学校で過ごして
翌朝から街の偵察をした。

ミネルヴァに街をずっと見てもらって
ゾンビの基本的なこの街での徘徊ルートと
どういう障害物がゾンビの徘徊ルートに影響を与えているか。
この2点を主に調べている。

ゾンビは乗り越えなければいけないものや、フェンスとかよじ登らないといけないものは
無理せず避ける場合がほとんどのようだった。

もちろん例外もある。
例えば水辺にはあまり近づかないとか。
水が弱点というわけでもなさそうだけど。

理由は今のところ不明。

湖に入っていくゾンビもほぼいない。
あとは人間のゾンビだけではなく、動物やエイリアンもゾンビ化している。
襲えそうなゾンビ以外の生き物には基本的に襲い掛かろうとする。

噛まれると一定の確率でゾンビ化すること。
もしゾンビが死体を噛んだ場合は死体は動き出さないし、ゾンビ化もしない。

 ゾンビはほとんど死んでいるように見えるけど生きてる間に
ゾンビ化させないとゾンビにはならないようだった。
あとは脳が破壊されると死ぬこと。
心臓破壊でも死ぬかは不明。

ゾンビを扇動するゾンビがいること。
数は少ないけど百体くらいの群れの中に紛れてるのが街を見てて確認できた。
扇動個体は見分けがほぼつかないけど、
目をキョロキョロとよく使って周りを他のゾンビより見ている。

ゾンビの群れにうめき声で何か号令をだすこと。
感知能力はそんなに高くないみたい。
ただし増援を呼ぶ声にはかなり敏感に反応する。
号令が出されるとけっこう遠くからでも増援に向かうようだ。

街の学校付近はわりとゾンビが普段いないエリアだった。
だけど昨日以降少しづつ学校付近にゾンビが行動範囲を広げている。
扇動ゾンビが指示してるのかな。
この学校はもう安全じゃなくなってきてる気がする。

ここ以上にもっとゾンビがいないエリアはある。
街のはずれから400mくらいの農場の家とかがいいかもしれない、フェンスだってあるし。

ゾンビが徘徊してるところから結構離れてるから近づいてきた個体だけ始末していけば
すこしは…

ミネルヴァがなにか感知した!

何かが街に来てる!
もっと遠くまで飛んで見に行ってもらう。

 ミネルヴァの目に映し出された光景は
ゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。
おびただしい数の人間やエイリアンや動物のゾンビの群れ。

もはやゾンビの海だった。学校方面の牧場近くの大通りから街に入ってきている。



数は…

5000、以上?


使い魔と共有している目に映っている現実にめまいがしそうになる。

「なに、これ…」
「最悪だ、どうしよう。」

「どうしたの?」
2人が私の異変に気付いて聞いてくる。
「この街から急いで出たほうがいいかもしれない。」

どうする…
いい考えが浮かばない。

アイツら学校に向かってきてる。

ゾンビを操ってるやつがいるのかな、どの位昨日被害があったか理解して違う街から増援を呼んだ?
もしくは送り付けてきた?

どっちの街からきた?ここら辺の近くの街にはこのくらいのゾンビの群れがいるの?
それともあれですべて?
頭がこんがらがる。

私一人ならほうきに乗ってでも何なら走ってでも逃げられるけど…
2人のほうを見る。
役立たずの二人。別に嫌いじゃないけど。

この二人は逃げられるかな?
無理だ。足が遅すぎる。

私が二人抱えて走ったら?いけるかもしれない。多分2人抱えて走ってもゾンビより速く走れる。
ただゾンビ犬はまだしもイヌ型エイリアンからはけっこう逃げ切れるか怪しい。

オスカーは?
遅いわけではないけどあたしより足が遅い。
ミネルヴァは大丈夫。

今のうちに気づかれないように二人を担いであのゾンビの軍団から街を離れられるかもしれない。
!もういつまでも学校内にいて追い詰められたらヤバいかもしれない。

 速く出よう、簡単に事情を説明して二人を肩に担ぐ。
隠密モードを起動しても気配を殺せない人間二人を担いでる時点であまり意味がない。
それでも一応やっておく。

 学校内にあったモップでほうき乗りの練習を今朝のうちにしていたけど。
二人を乗せて飛ぶのは魔力消費が担いで走るよりはずいぶん大きくなる。

2人かついでも犬より速く走れる。
ゾンビを避けつつ街のはずれに向かうと霧が濃くなってくる。

最悪だ、こんな時に。

町周辺はもともと霧の状態がマシだったから入ったのに、出たいときには霧が邪魔で簡単に出られない! 霧から離れるために来たのに逆に霧が街から離れさせてくれないなんて。
皮肉な話。

ミネルヴァを飛ばしながら町の中のとるべきルートを考える。

 この街に他に生きてる動物はいない。
少数のゾンビでも見つかって増援を呼ばれだしたらまずい。

 針の穴に糸を通すような気分で細い道を行ったり来たりしていく。
まだ午後1時を過ぎたくらい。

そして道で死体のように寝っころがっていたゾンビを見落としてしまう。


増援を呼ばれる。
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