上 下
8 / 30
8年前のこと。(2人は12歳)

里久「一難去ってまた一難」1

しおりを挟む
安心して、里久はへなへなと
地面に座り込んだ。


(よかった、、、ほんとによかった、、、)

だがすぐに、別の心配が浮かび上がる。


(…勝手に番にしてしまった。)

(起きた時、佑希がっかりしないかな、、、)


そう。結局、
佑希から答えらしい答えを得ないまま
自分の都合のいいように解釈して、
噛んでしまった。


いくら助けるためだったとはいえ、だ。

後悔と安心と不安がぐるぐるしていて、
里久は

目の前に来るまで、彼らに気づかなかった。




「こんなとこでなにしてんの?」


声をかけられ、里久は顔を上げた。
目の前に、大学生らしき男が2人、
立っていた。


ニヤニヤしながら。


里久は嫌な予感がした。
(逃げなければ。)

里「…なんでもないです。」

そう言って、佑希を支えながら
立とうとしたのだが。
(…っ!)


さっきの事が頭から離れず
膝が震えて動かない。
安心してしまって、
疲労と緊張のほぐれが
一気に押し寄せたようだった。


「てか、2人して道で座り込んで
なにしてたん?」
「楽しいことしてたんでしょ?
俺らも混ぜてよ」

さらに男たちは声をかけてくる。

一刻も早くこの人たちから離れたいのに
足が動かない。


おまけに、さっき噛んだ影響で、
佑希からも里久からも
フェロモンが出てしまっている。



彼らがどのバースなのかは知らないが、


(最悪、、、。)
これでは誘っていると捉えられてしまう。


「…ねぇ。やっぱ大丈夫じゃないんでしょ?
そんなフェロモン出しちゃってさぁ。」
「俺らが助けてあげるよ。
イイことしよーよ、w」




(…この人たち。多分、僕たちが小学生だと
気づいてないんだろうな。)
変に冷静な頭でそんなことを考えた。


里久も佑希も、12歳にしては
高い身長で、大人びた顔をしている。

近所の人たちにも、
「もう高校生になったんかぁ」
なんて言われることがよくあった。


里久はまた考える。
(今、年齢を言うのと、
高校生くらいだと思わせておくのと。
どっちがいいんだろう。)

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

身代わりオメガの純情

夕夏
BL
 宿無しの少年エレインは、靴磨きで生計を立てている。彼はある日、死んでしまったレドフォード伯爵家の次男アルフレッドに成り代わり嫁ぐことを伯爵家の執事トーマスに提案され、困惑する。しかし知り合いの死を機に、「アルフレッド」に成り代わることを承諾する。 バース性がわからないまま、オメガのふりをしてバーレント伯爵エドワードと婚約したエレイン。オメガであることを偽装するために、媚薬を飲み、香水を使うも、エドワードにはあっさりと看破されてしまう。はじめは自分に興味を示さないかと思われていたエドワードから思いもよらない贈り物を渡され、エレインは喜ぶと同時に自分がアルフレッドに成り代わっていることを恥じる。エレインは良心の呵責と幸せの板挟みにあいながら、夜会や春祭りでエドワードと心を通わせていく。

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

平凡顔のΩですが、何かご用でしょうか。

無糸
BL
Ωなのに顔は平凡、しかも表情の変化が乏しい俺。 そんな俺に番などできるわけ無いとそうそう諦めていたのだが、なんと超絶美系でお優しい旦那様と結婚できる事になった。 でも愛しては貰えて無いようなので、俺はこの気持ちを心に閉じ込めて置こうと思います。 ___________________ 異世界オメガバース、受け視点では異世界感ほとんど出ません(多分) わりかし感想お待ちしてます。誰が好きとか 現在体調不良により休止中 2021/9月20日 最新話更新 2022/12月27日

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

貧乏Ωの憧れの人

ゆあ
BL
妊娠・出産に特化したΩの男性である大学1年の幸太には耐えられないほどの発情期が周期的に訪れる。そんな彼を救ってくれたのは生物的にも社会的にも恵まれたαである拓也だった。定期的に体の関係をもつようになった2人だが、なんと幸太は妊娠してしまう。中絶するには番の同意書と10万円が必要だが、貧乏学生であり、拓也の番になる気がない彼にはどちらの選択もハードルが高すぎて……。すれ違い拗らせオメガバースBL。 エブリスタにて紹介して頂いた時に書いて貰ったもの

前世の記憶を思い出した皇子だけど皇帝なんて興味ねえんで魔法陣学究めます

当意即妙
BL
ハーララ帝国第四皇子であるエルネスティ・トゥーレ・タルヴィッキ・ニコ・ハーララはある日、高熱を出して倒れた。数日間悪夢に魘され、目が覚めた彼が口にした言葉は…… 「皇帝なんて興味ねえ!俺は魔法陣究める!」 天使のような容姿に有るまじき口調で、これまでの人生を全否定するものだった。 * * * * * * * * * 母親である第二皇妃の傀儡だった皇子が前世を思い出して、我が道を行くようになるお話。主人公は研究者気質の変人皇子で、お相手は真面目な専属護衛騎士です。 ○注意◯ ・基本コメディ時折シリアス。 ・健全なBL(予定)なので、R-15は保険。 ・最初は恋愛要素が少なめ。 ・主人公を筆頭に登場人物が変人ばっかり。 ・本来の役割を見失ったルビ。 ・おおまかな話の構成はしているが、基本的に行き当たりばったり。 エロエロだったり切なかったりとBLには重い話が多いなと思ったので、ライトなBLを自家供給しようと突発的に書いたお話です。行き当たりばったりの展開が作者にもわからないお話ですが、よろしくお願いします。 2020/09/05 内容紹介及びタグを一部修正しました。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

処理中です...