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大樹はやっと影響に気づく
しおりを挟む(よかった。噛まずに言えた!)
自己紹介を言い終わり、
ホッとしていると。
しーん。と何秒か静まり返ったあと。
また少し教室がざわざわしだしたが。
「莇くん。よろしくね!」
という先生の一言でまたしても収まる。
次は利紀の番だった。
「…安藤利紀です。よろしくお願いします。
好きなことはサッカーです。」
と、爽やかな笑顔と共に言った彼は、
おそらく数人の女の子を
恋という沼に落としたことだろう。
大樹が、颯爽と戻ってくる利紀を
ぼーっとみていると。
「なぁ、お前の親父、ヤクザなんだろ?」
急に利紀が話しかけてきた。
ことにより、こちらに視線が集まる。
(この感覚、何回目だろ。)
なんて思いながら、
「うん。そうだよ。」
と返すと。
「ヤクザの子供だ、、、」
「莇組の長男でしょ?」
わやわや、がやがや。
今度こそ先生でも止められないレベルで
教室が騒がしくなった。
今まで、泰斗のことを、かっこいいとしか
思っていなかった大樹は、
(え、、??
ヤクザって、莇って、父さんって、
そんな知れ渡ってるものなの?)
驚きを隠せなかった。
あまり言われたことがなかったから。
「えっと、、、」
発言しようとおずおずと声を発すと。
またしても、しーーん。
「みんな、莇のこと知ってるの、、、?」
この質問には、誰もざわざわしなかった。
代わりに、不思議そうな目で見られた。
「逆に、
知らない人ほとんどいないと思うよ?
まぁ知ってるの名前だけだけど。」
そう答えてくれたのは、利紀だった。
「てか、やっぱ君って莇組の子供だよな!
俺は杏藤利紀。
改めてよろしくな!」
利紀は、このなんとも言えない空気を
気にせず話しかけてくる。
けれど、いささか表情が固い気がした。
(?)
頭に疑問は残っているが、とりあえず
「よろしくね!」
と返しておいた。
途端に、利紀はホッとした顔になる。
入学式後初日の授業だからか、
今日は、自己紹介だけで終わった。
「また明日ね~、さようなら。」
先生がいうと、
「一緒に帰ろー!」
「莇くん!よろしくね!」
「どこに住んでるの?」
大樹は質問攻めにあった。
大樹は、
さっき(??)となっていた理由が分かった。
(ヤクザって、怖くないのかな、、、?)
そう。ヤクザと言えば、
脅したり暴力をふるったりと、
怖いイメージが、大樹にはあった。
それは、
泰斗がヤクザだと知ってからも同じだった。
大樹は、泰斗が怖く見えないのは、
父親だからだろうと思っていたのだ。
せっかくだから、聞いてみることにした。
「みんなは、ヤクザが怖くないの、、?」
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