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入学式後のこと。

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泰斗は、大樹の入学式が終わり、
学校の先生に一通り挨拶も終え、
帰ろうとしていた。



その時。


「泰斗ぉぉ」
呑気な声が聞こえてきた。

無表情で振り返ると、
そこには、背の高い男が立っていた。


ちなみに、
泰斗もかなり背が高い方で、180cmほど。
それを超えているこの男。

が、泰斗に話しかけてきた。

泰斗の周りには、
話しかけたいけど勇気が出ない人が
ぐるりと1周にわたって群がっていたが、
この男はそんなこと気にしない。


「泰斗、大樹の入学おめでと」
「あぁ、ありがとう。結夜ゆうや


この男ー結夜ーは、
泰斗の幼なじみである。

と同時に、だった人。

大学の時に付き合って、25の時に別れた。


今ではお互い親友と呼べる仲だ。

なんでも知ってるし、言い合える。


結夜は、カタギだが、
ヤクザに悪いイメージを持ってないのは
仲良いヤクザが泰斗だからだろう。


泰斗は思い出す。
確かこいつにも、今年13の子供がいたはず。

泰「確か、結夜も子供いたよな?」

結「あぁ、のことか?」

泰「名前は忘れたが。確かq中だったよな」

結「そうだな。内部生だ。」

泰「大樹は多分緊張している。
仲良くしてやってくれ」


キャーーーー!!


「泰斗さんからよろしくって言われるなんて」
「羨ましすぎるっ」

そんな声が聞こえてきた。


それを機に、輪が崩れ、
今にも
多くの人に話しかけられそうになったが、

結夜が、
「帰ろー」
と言ったことで助かった。


泰「あぁ。
ーすみませんがみなさん、
私はこれから用事がありますので、
これにて失礼致します。
大樹と仲良くしてやってください。」


「…っはいっ!子供によく言っておきます!」
「もちろんです!!」


泰斗は、そう言ってくる人達に微笑むと、
用意されていた結夜の車に乗り込んだ。

またしても悲鳴があがる。

「見た!?今笑われたわ!」
「美しすぎる、、、」
「早速息子に話すよう言わないとっ」


保護者はみな、
泰斗が組の長であることを忘れる。


だが、結夜の、
「あまり騒がないでください。
組の長ですよ。」
という一言で、またしてもしーんとなる。

そうなったのを見て、
結夜は少し声をやわらげて告げる。

「ありがとうございます。

実はこの人、結構な組を打ち負かしてて、
いつどこで命を狙われてるか
わからないんです。

だから、あまり人に言わないでください。
お願いします。」

そう言って、頭を下げた。
泰斗も一緒に下げる。


「もっ、もちろんですっ」
「言いませんっ」


みんなは慌てて頭を下げる。


「では。失礼します。」
そう言うと、
2人を乗せた車は
去っていった。

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