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第二幕 江戸の生活をシよう!
第四十六話 ボディペイント
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「早く脱いでください」
「いや、ちょっと? 服、を?」
「そうです」
「散歩に行くんですよね?」
「はいっ、夜の散歩です」
響きがエロい。そんで言っていることが分からない。どうしてそうなる? 日本語なのだが、理解しようとしてもその言葉から思考の経緯が辿り着けない。考えれば考えるだけ彼女、千代姫の思惑から遠ざかっていく気がして……なんていうか、散歩行くのに服を脱ぐって、どうゆうこと!? なあ!?
「えーっと……?」
話の意図が掴めないでオロオロしている俺。すると千代姫はそんな思いを掬い取ったのか
「そうでした」
閃いた表情をして、一本の筆を前に差し出す。
「私はスグル様の裸体に墨汁を塗りたくります。全身くまなく真っ黒になったら外へ行って散歩をしましょう。大丈夫です。夜中なので暗闇に紛れて裸だと気付かれません。人と出会ったらどうしようという気持ちが熱くなって、きっと今みたく……いいえ、人生で一番心臓が飛び上がると思います」
「ボディペイントでお散歩プレイ!? 俺はあなたに一番心臓が飛び上がってますよ!」
「私、また何かおかしなこと言っちゃいましたか?」
「おかしいというか……なんというか……びっくり仰天です……」
「ふふっ、素敵でしょう?」
おかしな部分はどこもない。どうだ、いいアイディアだろう? とでも言いたげな満足そうな表情。太鼓判を押す音みたく、最後にフンスと鼻息を大きく立てた。エロ知識のない若いお姫様がそこに着眼するのは、絶対SMの素質あるからだ。
「ミツから聞きました。スグル様は、他人に裸を見られることが人一倍抵抗があると。そこで服を着ているふうに見せかけて夜の江戸を歩けば恥の感情から解放されて、すっごく心地よくなれると思うんです!」
あの淫乱忍者め、変な情報を吹き込みやがってっ! 抵抗があるのは湯屋で異性と一緒のお風呂に入ることだっての!
脳裏に浮かび上がるミツを爪で引き裂く。このとき、そんな油断をしていたから千代姫が俺の腰についている帯を引っ張っていることに全く知らなかった。ハラリ……。儚い無音で帯が床に落ちたことに対し「あらら」と呑気に拾いかけようとすれば、またも立場逆転。千代姫は馬乗りになって墨汁のついた筆を俺の肌に接近させてきた。
「あっ、ちょ、ちょっと待て! 待ってください!」
ダメだ。抵抗したいけど、腕力でねじ伏せるのはよくない。相手はお姫様だし、女の子だし、可愛いし、好きだし、なんか見方によっちゃご褒美プレイにも思えなくもないので許せそうなんだもん……。
「塗りますので暴れないでくださいね」
「そ、そそそこは乳首! 姫、いきなり乳首ですか! タイムタイムって、通じないのか……」
「うーん? ここは黒いのでそんなに塗らなくてもいいでしょうか?」
聞いちゃいないし、本人に乳首の色合い決定権を与えるんかい。
「決めました。この部位は重ねて塗っちゃいます」
そして自己解決をした千代姫は、墨汁をたっぷり含ませた細い筆を乳頭の一番先っぽに当てて、塗装を重ねる。毛並みが揃っていないまばらな筆。それでもこねくり弄られたら沸点に到達してしまう。
「あっ、おっ、ほっ!? そんな筆先で何重も触れられたら……アーッ!」
光もなければ、色もない暗闇に包まれる江戸にたったひとつ、男の雄叫びが反響した。
「いや、ちょっと? 服、を?」
「そうです」
「散歩に行くんですよね?」
「はいっ、夜の散歩です」
響きがエロい。そんで言っていることが分からない。どうしてそうなる? 日本語なのだが、理解しようとしてもその言葉から思考の経緯が辿り着けない。考えれば考えるだけ彼女、千代姫の思惑から遠ざかっていく気がして……なんていうか、散歩行くのに服を脱ぐって、どうゆうこと!? なあ!?
「えーっと……?」
話の意図が掴めないでオロオロしている俺。すると千代姫はそんな思いを掬い取ったのか
「そうでした」
閃いた表情をして、一本の筆を前に差し出す。
「私はスグル様の裸体に墨汁を塗りたくります。全身くまなく真っ黒になったら外へ行って散歩をしましょう。大丈夫です。夜中なので暗闇に紛れて裸だと気付かれません。人と出会ったらどうしようという気持ちが熱くなって、きっと今みたく……いいえ、人生で一番心臓が飛び上がると思います」
「ボディペイントでお散歩プレイ!? 俺はあなたに一番心臓が飛び上がってますよ!」
「私、また何かおかしなこと言っちゃいましたか?」
「おかしいというか……なんというか……びっくり仰天です……」
「ふふっ、素敵でしょう?」
おかしな部分はどこもない。どうだ、いいアイディアだろう? とでも言いたげな満足そうな表情。太鼓判を押す音みたく、最後にフンスと鼻息を大きく立てた。エロ知識のない若いお姫様がそこに着眼するのは、絶対SMの素質あるからだ。
「ミツから聞きました。スグル様は、他人に裸を見られることが人一倍抵抗があると。そこで服を着ているふうに見せかけて夜の江戸を歩けば恥の感情から解放されて、すっごく心地よくなれると思うんです!」
あの淫乱忍者め、変な情報を吹き込みやがってっ! 抵抗があるのは湯屋で異性と一緒のお風呂に入ることだっての!
脳裏に浮かび上がるミツを爪で引き裂く。このとき、そんな油断をしていたから千代姫が俺の腰についている帯を引っ張っていることに全く知らなかった。ハラリ……。儚い無音で帯が床に落ちたことに対し「あらら」と呑気に拾いかけようとすれば、またも立場逆転。千代姫は馬乗りになって墨汁のついた筆を俺の肌に接近させてきた。
「あっ、ちょ、ちょっと待て! 待ってください!」
ダメだ。抵抗したいけど、腕力でねじ伏せるのはよくない。相手はお姫様だし、女の子だし、可愛いし、好きだし、なんか見方によっちゃご褒美プレイにも思えなくもないので許せそうなんだもん……。
「塗りますので暴れないでくださいね」
「そ、そそそこは乳首! 姫、いきなり乳首ですか! タイムタイムって、通じないのか……」
「うーん? ここは黒いのでそんなに塗らなくてもいいでしょうか?」
聞いちゃいないし、本人に乳首の色合い決定権を与えるんかい。
「決めました。この部位は重ねて塗っちゃいます」
そして自己解決をした千代姫は、墨汁をたっぷり含ませた細い筆を乳頭の一番先っぽに当てて、塗装を重ねる。毛並みが揃っていないまばらな筆。それでもこねくり弄られたら沸点に到達してしまう。
「あっ、おっ、ほっ!? そんな筆先で何重も触れられたら……アーッ!」
光もなければ、色もない暗闇に包まれる江戸にたったひとつ、男の雄叫びが反響した。
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