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第二幕 江戸の生活をシよう!
第三十四話 朝露から生まれたビーナス
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一難去ってまた一難。ぶっちゃけありえない。次々と起こる問題にもう解決する意欲すら湧かずとも対応しなければならないのが辛いところ。お姫様抱っことはいかないが、上手いこと膀胱を刺激しないで担ごうかと思いついたが、くノ一修行とかして案外内側の筋肉もりもりだったら困るのですぐに撤回。だが、なんとかしてやりたい。そこで緊急処置の策として、処分しようととっておいた欠けた茶碗をちょこんと置く。
「ミツ。こぼれても文句は言わねぇからさ、こうなったら茶碗めがけて出せよ。俺は後ろ向いてるから」
「んな!? ウジ虫の前で粗相せねばらなんのだ! そうなるなら死んだほうがマシ……うぐっ!」
「ほうら言わんこっちゃない。もう声上げただけで漏れそうなんだろ? 厠へ連れてけって言われても俺のもやし体型じゃお前を運べねぇって。運べたとしても一歩二歩が限界だぞ」
「もう、いい。我慢する……っ、我慢するから……縄をといて……くれっ」
「バカ! 体に負担をかけるのは絶対にやめろ。女の膀胱は男より十五センチも短くて膀胱炎になりやすいんだぞ」
「気色の悪い知識を流すなウジ虫……ううう……」
あーあ、ダメだ。こうなったら意地でも漏らさないぞ。角度六十度ぐらい両足を開いているってのに。ミツの尿意はもはや一歩も後には引けない窮地崖っぷち。感じていた瞳はなくなり、本気の涙が目の際に溜まっている。見ている方も股間がきゅっとなるぐらい辛そうだ。元の話を辿れば春画を描く参考人と話をつけて縛り上げたことが全ての原因。絶対に運べないとやる前から匙を投げるのは、よくない。
……決めた。ミツが安心して漏らせる場所まで運ぼう。
「ちょっと失礼する」
「な、なにを……ひい!」
俺はあろうことかミツの股にズボッ右手を入れては、左手で背中を抱きかかえる。そして身を起こして立ち上がっていく。段ボールを運ぶイメージをして軽々と持ち上げる作戦だった。まあ、作戦はあくまでも作戦。こんなこといってはいけないんだろうが、重い! ずっしりと硬い石が両腕にある! これにはミツも理解が追いつかない。おたおたして暴れないのは幸運と呼ぶべきなのか。
「よいっしょ……っと」
フラフラと不安定な動作で外に続く戸を足先の微力でなんとかこじ開けて砂利道へ踏み出す。日光が俺とミツにサーチライトを手加減なく浴びせた。右左確認、よし。誰も歩いていない。二人そろって目撃されると町人に誤解されかねない。よって助六が住んでいる方向とは真逆へ一定でない速度で前進していき、三十メートル先にある魚が泳いでいる浅い川の前でストップ。
川の深さ、流れを目視すれば腕の中で子猫っぽく丸くなっているミツへ質問を投げる。
「確認させてくれ。お前がやるのって小さい方? それとも大きい方?」
「なんの話だ?」
「液体か? 個体か?」
「だから! なんの話だと言っている!」
「小便か便、どっち出すんだって話だ」
「小便だ!!」
「じゃあ行ってこい」
さりげなく緩めておいた一本の縄を引き抜けば、たちまち亀甲縛りがとかれていく。そんなミツを否応なしに川へ投げ入れては、腕を組むが、その眺めに見惚れてしまった。
ミツの服や髪も水浸し。幻想的な反射する水面に下半身だけが浸かり、背骨をよく晴れた青い空に吸い込まれそうなほど反らして、甘い甘いため息を吹いている。彼女が自由を手に入れて一等望んだこと。人間が生きていく上で必要不可欠、排泄があの水面下で行われていると把握しているのは、この世界でたった二人。なんて事実が性的興奮とはまた違う高鳴りを覚えた。
これを一枚写真に収めて名づけるとしたら「朝露から生まれたビーナス」とつけよう。うん、それがいい。徹夜明け思考から呑気全開。オチを出すとしたら間もなく往復ビンタされて記憶をまた飛ばされたことぐらいだろうか。こうして初の春画描きは幕を閉じた。
「ミツ。こぼれても文句は言わねぇからさ、こうなったら茶碗めがけて出せよ。俺は後ろ向いてるから」
「んな!? ウジ虫の前で粗相せねばらなんのだ! そうなるなら死んだほうがマシ……うぐっ!」
「ほうら言わんこっちゃない。もう声上げただけで漏れそうなんだろ? 厠へ連れてけって言われても俺のもやし体型じゃお前を運べねぇって。運べたとしても一歩二歩が限界だぞ」
「もう、いい。我慢する……っ、我慢するから……縄をといて……くれっ」
「バカ! 体に負担をかけるのは絶対にやめろ。女の膀胱は男より十五センチも短くて膀胱炎になりやすいんだぞ」
「気色の悪い知識を流すなウジ虫……ううう……」
あーあ、ダメだ。こうなったら意地でも漏らさないぞ。角度六十度ぐらい両足を開いているってのに。ミツの尿意はもはや一歩も後には引けない窮地崖っぷち。感じていた瞳はなくなり、本気の涙が目の際に溜まっている。見ている方も股間がきゅっとなるぐらい辛そうだ。元の話を辿れば春画を描く参考人と話をつけて縛り上げたことが全ての原因。絶対に運べないとやる前から匙を投げるのは、よくない。
……決めた。ミツが安心して漏らせる場所まで運ぼう。
「ちょっと失礼する」
「な、なにを……ひい!」
俺はあろうことかミツの股にズボッ右手を入れては、左手で背中を抱きかかえる。そして身を起こして立ち上がっていく。段ボールを運ぶイメージをして軽々と持ち上げる作戦だった。まあ、作戦はあくまでも作戦。こんなこといってはいけないんだろうが、重い! ずっしりと硬い石が両腕にある! これにはミツも理解が追いつかない。おたおたして暴れないのは幸運と呼ぶべきなのか。
「よいっしょ……っと」
フラフラと不安定な動作で外に続く戸を足先の微力でなんとかこじ開けて砂利道へ踏み出す。日光が俺とミツにサーチライトを手加減なく浴びせた。右左確認、よし。誰も歩いていない。二人そろって目撃されると町人に誤解されかねない。よって助六が住んでいる方向とは真逆へ一定でない速度で前進していき、三十メートル先にある魚が泳いでいる浅い川の前でストップ。
川の深さ、流れを目視すれば腕の中で子猫っぽく丸くなっているミツへ質問を投げる。
「確認させてくれ。お前がやるのって小さい方? それとも大きい方?」
「なんの話だ?」
「液体か? 個体か?」
「だから! なんの話だと言っている!」
「小便か便、どっち出すんだって話だ」
「小便だ!!」
「じゃあ行ってこい」
さりげなく緩めておいた一本の縄を引き抜けば、たちまち亀甲縛りがとかれていく。そんなミツを否応なしに川へ投げ入れては、腕を組むが、その眺めに見惚れてしまった。
ミツの服や髪も水浸し。幻想的な反射する水面に下半身だけが浸かり、背骨をよく晴れた青い空に吸い込まれそうなほど反らして、甘い甘いため息を吹いている。彼女が自由を手に入れて一等望んだこと。人間が生きていく上で必要不可欠、排泄があの水面下で行われていると把握しているのは、この世界でたった二人。なんて事実が性的興奮とはまた違う高鳴りを覚えた。
これを一枚写真に収めて名づけるとしたら「朝露から生まれたビーナス」とつけよう。うん、それがいい。徹夜明け思考から呑気全開。オチを出すとしたら間もなく往復ビンタされて記憶をまた飛ばされたことぐらいだろうか。こうして初の春画描きは幕を閉じた。
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