エロ絵師、江戸に飛ばされて春画描くってよ。

マンボウ

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第二幕 江戸の生活をシよう!

第三十三話 迫りくる尿意

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 朝焼けがいつ始まったのかも不明。仕上げに一筆を垂らしてはやや離れた場所から完成した春画を眺めていれば朝の光が差し込んで、部屋の床にほんの少しだけ歪んだ四角い図形を浮かびあがってはそこで夜が明けたことを知った。一睡もしていないため、朝焼けしたての清らかな空気がいつもよりツンと染みわたる。

「できたぞ、俺の春画が」

 全身全霊を捧げて描き上げた春画を見てはそうこぼした。半紙にはミツとはちょっと顔つきが似ている女性が苦しい表情をしても体は正直、肌に食い込む縄が快感と色気を醸し出している表現の様を大中小の筆を使い分けて描写してある。

 ものすごく集中してしまった。畳や手足は墨汁まみれで黒一色のめちゃくちゃ。なんなら顔にも付着しているであろうが、そんなことはどうだっていいと思えるくらい爽やかな気分でいっぱいだった。今まで何百枚もエロイラストを描き上げてきたが、こんな描き終えて満足な思いを感じたことはない。批判がきたとしても、これが俺の伝えたかった春画だ。あとは提出するだけって……あっ、そういえばミツのことを完全に忘れてた!

「おい、生きてるか!?」

 どこにミツがいるのかさえ分からず、キョロキョロと目線を部屋中に動かせば行灯の傍でぐったりとうつ伏せになってはピクリともしないミツを発見しては、血の気が瞬く間に引いていく。

「ミツ! おいミツ!」

 三度目の呼びかけで声は出さずとも、意識があるといったようにもぞもぞと腰を動かしたミツ。こっちが春画に集中してから、ずっと両手と両足縛られていたのだ。それのみか縄が敏感なところを集中攻撃を続けて軽く数時間は越えている。血流を圧迫して体調を悪くさせたり、痣や跡でも残ってしまったら顔向けどうこうより、男として最低なことをしてしまった。

 罪悪感で圧迫されてそうだったが、ボーッとしている場合ではない。とにかく亀甲縛りを一秒でも早くほどいて休ませるのが最優先。ミツの背を壁に寄りかけて上半身の縄に手をかけようとしたところ、否んだ言葉が投げつけられた。

「触るなウジ虫」

 怒っている。そりゃそうだ。俺が相手側なら二度と口を利きたくない。

「ご、ごめん。でも、縄をほどかねぇとさ……」

「ほどくな! このままにしておけ!」

「え!?」

 ほどくなって……つまり、亀甲縛りをもうしばらくお楽しみしたいというのか!? まずい、俺のせいでミツが新たな扉が開いて、マジもんの淫乱忍者になってしまった!

「馬鹿者! 変な想像をするな!」

「いやいや、普通するだろ! ――で、そんなに気持ちいいのか?」

「き、貴様というウジは……っ!」

「どうなんだ? え?」

「厠だ! 私は厠へ行きたいのだ! 自害しろ、クソウジ虫!」

 コソッと教えてといった感じで耳を傾ければ、時間を置かずに恥じらいのかけらもない告白と汚い悪口が大音量が鼓膜へと直撃。長時間トイレも行けなかったせいで膀胱という名のダムが決壊寸前。股間から尻にかけてある縄が栓と役割となって漏らすのは免れたといっても……緊縛されたままどうやって便所に連れていけと!?
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