エロ絵師、江戸に飛ばされて春画描くってよ。

マンボウ

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第二幕 江戸の生活をシよう!

第二十三話 突きつけられた伝言

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「おやおやまあまあ! 千代姫様じゃないかい!」

「小毬さん、こんにちは。急に来て申し訳ありません」

「いいんですよ。またいつものようにお団子食べていってください。爺や様とお侍さんたちの分もご用意していますので。さあ、どうぞどうぞ。おとっつあん、千代姫様だよ!」

「あ……っ」

 もっとたくさん千代姫と会話をしたかったが、それはもう叶わず。お団子に釣られて、ルンルンで口に放り込んでは小毬さんや爺やたちとお楽しみモードに入ってしまった。

 会話はさっきの挨拶のみ。あまりにもあっけない。もう俺のことはどうでもいいのかとストーカーじみた思考にいってしまうが、食べる姿もハムスターみたくモゴモゴさせてるのは反則だ。黒くドロドロに渦撒いていた穢れたちを浄化されていく。どんな行動をしても可愛すぎるとか罪深いですぞ、千代姫……。

「なにをしている」

「うおっ!?」

 拝み倒していた老人たちと同じように手を合わせるだけには怠らず、皆から見えないところで跪いて十字架まで切っていれば、なんの前触れもなく左側からミツの怒りを感じる低音ボイスが降りかかってきた。

「ウジ虫、貴様という奴は千代姫様を見てナニしようとした?」

「なんもしてねーよ!」

「嘘をつけ! 両手をシュコシュコと擦りおって……やはり貴様はあの日、死ぬべきだった!」

 俺が死ぬ死なないよりも、その思考をまずどうにかした方がいい。冗談とかでなく、マジで。お守りする側のくノ一だってのに思春期真っ盛りの発そう。……あっ、もしかしたらこの若さ故の思考回路なのか? そう考えたら、こいつもちゃんと思春期してんだな。うんうん、青い春。

「なにをヘラヘラしてるウジ虫!」

「あー、いや別に?」

「ふん、まったく腹立たしい男だ。貴様に話しかけたのは殿様から伝言を伝えるためだ。今日の晩、気を引き締めておけ――とのことだ」

「え? 今日の夜になにかするのか?」

「……」

「おいっ」

 俺の質問は絶対に聞こえていたはずなのにミツは無言で背を向けて、千代姫たちのいるところへ行ってしまった。気を引き締めておけと伝えられてもどうしろと? 心の準備だってある。もっと詳しく話してもらわなければ、どう構えておけばいいのか。あまりにも乱雑な対応にムカムカとする。

「スグル、ぐずぐずしないでお茶を用意しといてくれ!」

「うす!」

 だけどそれは短い時間で終わった。千代姫たちにお茶を出したり、騒ぎを聞きつけた人たちが呼び込み効果でお店はごった返しの大繁盛。猫の手も借りたい大忙しとなり、それから殿様からの伝言など仕事が終わるまで、一秒たりとも思い出すこともなかった。
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