19 / 51
第一幕 江戸にイこう!
第十八話 春画はお好きですか?
しおりを挟む
ヒートアップしたハートが意識を取り戻したのは、発言後すぐのこと。視界も体もぼーっとして、平生の心境に戻ってもなお、どんな内容を口走ったのかさえ記憶がたどたどしい。
そこで左右にいる野次馬たちから「おい聞いたか」「ああ聞いたぞ、春画だ」「春画だってよ」の好き勝手喋り放題からヒントを得て、初めて発言内容を思い出す。パズルのピースみたくはめ込んで完成した主張内容は江戸で春画を描く、春画宣言を申したことに血の気が下半身にサーッと下がっては、羞恥心が強まって今度は体が火照ったりと大忙し。
興奮で暴走状態だからってなんてことを言ってしまったんだ……。江戸時代に春画があるってだけの浅い知識しかない身で偉そうに宣言までして。っていうかそもそも、江戸で堂々と春画の話をするのはいいのか? もしやタブーだったりとかしないよな!? 周りの反応からして悪くなさげだが、全ての人間が仰天しているのは確認できる。
「シュンガ、とは?」
「ふむ、春画か」
春画がなにか知らない千代姫と妙に深く頷く殿様を除いて。裁判長の役割でもある殿様は少し吊り上げ気味の眉を平行に落としてポーカーフェイスを和らげただけでなく、顎に手を当てながらブツブツと一人口を動かす。
そんでもって千代姫は千代姫で、近くにいたミツに春画がどういった意味なのか質問責めを開始。
「シュンガってなにかしら? ねぇミツ、あなた知ってる? なにかまた立派な物なのかしら?」
「さ、さあ!? 私にもさっぱり!」
「そうなの、残念ね。きっと素敵な物なんでしょうね」
「そ、そうかもしれませんネッ!」
「ねぇ、爺や。あなたは……あら、立ったまま気絶している」
「じっ、二郎様も分からないとおっしゃってマスッ、YO!」
さすがは淫乱忍者、春画を知っているのは嗜みなのか。千代姫に卑猥な思考を植え付けないため全力を尽くして知らない演技をしているが、お前は馬鹿か? ってレベルでバレバレである。
春画のおかげ? かどうかは不明だが、親子喧嘩が始まる冷え冷えだった空間は、様々な会話が遠くだったり近くだったり平気で飛び交う空間へと一変。
そんな中で考えるポーズをやめた殿様は、俺の両目にガッチリと支店を捕らえてからこう言った。
「小僧、春画は好きか?」
「え? 好きかというか、本場の春画はまだ見たことが……」
「好きか嫌いか、聞いておる」
「えっ!? あっ、はい! 好きです好きです! そりゃ三度の飯より!」
そうだった。気が緩んでいたのもあって、まだ生きることが確定したわけじゃない。下手なことは言えない、というより言ったら即辻斬りの崖っぷちに立たされている。今の呑気な回答に気を悪くしたり!? ヒィィ~……お助け……。
そこで左右にいる野次馬たちから「おい聞いたか」「ああ聞いたぞ、春画だ」「春画だってよ」の好き勝手喋り放題からヒントを得て、初めて発言内容を思い出す。パズルのピースみたくはめ込んで完成した主張内容は江戸で春画を描く、春画宣言を申したことに血の気が下半身にサーッと下がっては、羞恥心が強まって今度は体が火照ったりと大忙し。
興奮で暴走状態だからってなんてことを言ってしまったんだ……。江戸時代に春画があるってだけの浅い知識しかない身で偉そうに宣言までして。っていうかそもそも、江戸で堂々と春画の話をするのはいいのか? もしやタブーだったりとかしないよな!? 周りの反応からして悪くなさげだが、全ての人間が仰天しているのは確認できる。
「シュンガ、とは?」
「ふむ、春画か」
春画がなにか知らない千代姫と妙に深く頷く殿様を除いて。裁判長の役割でもある殿様は少し吊り上げ気味の眉を平行に落としてポーカーフェイスを和らげただけでなく、顎に手を当てながらブツブツと一人口を動かす。
そんでもって千代姫は千代姫で、近くにいたミツに春画がどういった意味なのか質問責めを開始。
「シュンガってなにかしら? ねぇミツ、あなた知ってる? なにかまた立派な物なのかしら?」
「さ、さあ!? 私にもさっぱり!」
「そうなの、残念ね。きっと素敵な物なんでしょうね」
「そ、そうかもしれませんネッ!」
「ねぇ、爺や。あなたは……あら、立ったまま気絶している」
「じっ、二郎様も分からないとおっしゃってマスッ、YO!」
さすがは淫乱忍者、春画を知っているのは嗜みなのか。千代姫に卑猥な思考を植え付けないため全力を尽くして知らない演技をしているが、お前は馬鹿か? ってレベルでバレバレである。
春画のおかげ? かどうかは不明だが、親子喧嘩が始まる冷え冷えだった空間は、様々な会話が遠くだったり近くだったり平気で飛び交う空間へと一変。
そんな中で考えるポーズをやめた殿様は、俺の両目にガッチリと支店を捕らえてからこう言った。
「小僧、春画は好きか?」
「え? 好きかというか、本場の春画はまだ見たことが……」
「好きか嫌いか、聞いておる」
「えっ!? あっ、はい! 好きです好きです! そりゃ三度の飯より!」
そうだった。気が緩んでいたのもあって、まだ生きることが確定したわけじゃない。下手なことは言えない、というより言ったら即辻斬りの崖っぷちに立たされている。今の呑気な回答に気を悪くしたり!? ヒィィ~……お助け……。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる