エロ絵師、江戸に飛ばされて春画描くってよ。

マンボウ

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第一幕 江戸にイこう!

第八話 太くて黒光りのアレ

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 クエスチョンマークで埋め尽くされていくのに比例して身体はますます痺れて最終的には指一本も自力で動かせなくなっていた。自分の体じゃないくらい、感覚が麻痺している。初めての感覚に恐怖心が募っていく。

 ここでようやく嫌でもこれが夢でなく、現実という事実が突き刺さる。ここまでくると現実逃避をしたくてもできないレベル。

「大丈夫ですか!?」

 心配気味に駆け寄る千代姫を遮るように突如俺の前には一人の女性が現れた。女性といっても俺とそう変わらない十代後半ぐらい顔つき。髪は耳ぐらいの長さで顔は猫目気味。千代姫が可愛い系だとしたら、この子は真逆でクールな印象を受けた。

 彼女は音もなければ気配もない。まるで忍者かと突っ込みを内心入れたが、格好もまさにくノ一忍者そのものだった。

 上半身は黒のノースリーブにくびれを強調するような赤いラインの入った腰周り。それとスリットの入った膝上のスカートからピチピチの生足が大胆に伸びている。うーむ、素材がまあピチピチの水着のような感じで実にけしからん。俺のナニかが御用だ御用だ。

 加えてここの角度からではスカートの中も丸見え! 真っ白のふんどしだと想像した者もいただろうが、ちと残念。スパッツのような漆黒の短パンだ。だがそれも乙なもの。こちとら生まれて十八年。生身のおなごの素肌をこんな至近距離で観賞したこと経験はゼロの身分からこれは極楽浄土に近い光景。

 ははぁ~、ありがてぇありがてぇ!

 そんなことを思いながら拝みまくっていれば、忍者娘は容赦のない足蹴りを俺のお腹の中心部辺りに一発入れる。

「な、なにを……」

 この女、まさかの暴力系忍者だったんか!?

 蹴られた部分を感覚のない腕で撫でていれば、次はゴミを見るような眼差しでこう。

「ジロジロ見るな、ウジ虫が」

「ウジ虫……っ!?」

 暴力だけならまだしも暴言も!? なんだこの女! 今すぐ言い返してやりたいが、こんな痺れていりゃ立つこともままならん。クソッ、とんだ大地獄じゃねぇか! 

 ピクピク痙攣をしていれば、血相を変えた千代姫がなんと俺を守るように覆い被さった。どこかは言わないけど、ほのかな膨らみが耳にピトッと触れる。前言撤回。やはり極楽浄土だったわ。

「やめてミツ!この方に乱暴しないで」

「なぜ庇うのです。その男はどうみても危険人物じゃないですか。千代姫に尻を見せたとんでもないゴミですよ。毒針どころじゃ済みません」

「それは誤解なの! だからもう解放してあげて!」

「いいえ、そうはいきません」

 ミツと呼ばれた忍者娘は腰に指している吹き矢に手を添え始めた。

 薄々分かっていたが、こいつが俺の肛門めがけて針を打ったのか。なんていうか狙いを定めるためジッと見られていたと思うと恥ずかしいな……っ!

「ミツ、よく聞きなさい。この方は渡しが見たこともない立派な物を持っていたのよ。」

「立派? それは一体どんな物ですか?」

「それはね、こんな太さで艶々の黒光りで、ちょっと棒みたいな物よ!」

 千代姫が言っていることは黒色のスマートフォンのことに間違いない。

 しかし、あの一目惚れした興奮が再熱したのだろう。

 早口で説明をするが、何故か右手を半開きにして不必要な上下の動きを加える。そのジェスチャープラス、艶々、黒光り、棒っぽいもの。……アウトだ。千代姫、それはどう見ても男の珍棒でしかないんよ。
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