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ルート4 ヒロインとホテルに行こう!
空気読め!私とヒロインとお邪魔虫と!
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三咲は私たちから少し離れた場所でsiriを起動させいくつか質問を投げかけた後、手際よくスマホを操作をして最終的にはどこかへ電話をかけていた。
どんな内容かは聞き取れなかったけど、口調が珍しく敬語を使っていたので、ホテルの予約をしているとみた。雨風しのげる場所ならどこでもいいから一部屋とれますように……っ! 願いをこめるようにお祈りポーズをしまくる。
そして電話を終えた三咲が真っ先に開口したのは――
「一部屋とれたぞ」
「んまあ、やるじゃない!」
手首がシワシワになるくらい祈った甲斐があった。霧の晴れるような喜びでハイテンションでいれば、
「ついでに俺も泊まることにしたから」
「はあぁ!?」
とんでもないことを言い出した。愛理というヒロインに媚びず、むしろ避けていた男がお泊りルートを自分で作り出してくるとは予想外。喜びで満ち溢れていた心も殺意剥き出し。こめかみから青い血管がよく吹き出しそうな勢いと共に猛抗議。
「違う部屋なら一万歩譲るけど、どうしてあんたと同じ部屋にならないといけないわけ!? 空気読みなさいよおバカ! それとも何? もしかして私の目を盗んで愛理といい雰囲気になろうってんでしょ?! あーやだやだ、すかしたフェイスして考えているのは卑猥なことばーっかり!」
「喋んな淫乱尻」
「あら? 淫乱なんてお言葉を使うなんて金持家のお里が知れるわね!」
「お前もな。すげぇブーメラン」
道の真ん中で堂々と噛みつく桃尻エリカVS適当にあしらう金持三咲。そしてそこに仲裁に入りこむ天使。
「いいじゃないですか桃尻さん。私は三人で泊まれると嬉しいです。今日は三咲くんにたくさん助けてもらえましたし、お互い譲り合えば楽しいお泊りになるかもしれませんよ」
うっ、そう言われたら三人でお泊りするしかないじゃない。桃尻ルートを回復させようと夢中になりすぎて幻滅されちゃ元も子もない。
「そうね。私としたことがついカッとなっちゃったわ。今日は仲良く3ピィ……三人でお泊りしましょう」
「えへへ、やった。三咲くんホテルの予約とってくれてありがとう」
「大したことしてねぇよ」
「私からもお礼をするわ。あ、り、が、と、う、ご、ざ、い、まー……す!!!」
「微笑みの爆弾かよ」
こうして私たち一行は、今夜宿泊するホテルへと歩き出した。愛理の靴擦れが酷くならないため、なんと三咲が背負いだしたときは発狂寸前。手に刃物があれば迷わず男の方を確実に襲っていた。そんな二人を恨めしそうに睨みつけては、夜の更けた飲み屋街を通り過ぎていく。
どんな内容かは聞き取れなかったけど、口調が珍しく敬語を使っていたので、ホテルの予約をしているとみた。雨風しのげる場所ならどこでもいいから一部屋とれますように……っ! 願いをこめるようにお祈りポーズをしまくる。
そして電話を終えた三咲が真っ先に開口したのは――
「一部屋とれたぞ」
「んまあ、やるじゃない!」
手首がシワシワになるくらい祈った甲斐があった。霧の晴れるような喜びでハイテンションでいれば、
「ついでに俺も泊まることにしたから」
「はあぁ!?」
とんでもないことを言い出した。愛理というヒロインに媚びず、むしろ避けていた男がお泊りルートを自分で作り出してくるとは予想外。喜びで満ち溢れていた心も殺意剥き出し。こめかみから青い血管がよく吹き出しそうな勢いと共に猛抗議。
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「喋んな淫乱尻」
「あら? 淫乱なんてお言葉を使うなんて金持家のお里が知れるわね!」
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「いいじゃないですか桃尻さん。私は三人で泊まれると嬉しいです。今日は三咲くんにたくさん助けてもらえましたし、お互い譲り合えば楽しいお泊りになるかもしれませんよ」
うっ、そう言われたら三人でお泊りするしかないじゃない。桃尻ルートを回復させようと夢中になりすぎて幻滅されちゃ元も子もない。
「そうね。私としたことがついカッとなっちゃったわ。今日は仲良く3ピィ……三人でお泊りしましょう」
「えへへ、やった。三咲くんホテルの予約とってくれてありがとう」
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