78 / 84
ルート4 ヒロインとホテルに行こう!
よし、いっちゃうゾ~!ヒロインとホテルへGO!?
しおりを挟む
桃尻家に次いで金持家も車を出しても着くのは何時になるか分からないらしく、帰る手段が完全に底を尽いた。それでもここにいると人が集まって身動きがとれなくなるので、一時外へ出て、通行人の邪魔にならない路地裏近くへ移動して、三人で円陣を組むかのように話し合いを再開をした。
「ねぇ、思いついたんだけど金持家の力でヘリコ呼べないの?」
「街中で出せるわけねぇだろアホ尻」
「んまー、言ってくれるわね!」
「まあまあ。とりあえず今日は土曜日でよかったですよね。どこか、ネットカフェとかで一晩過ごせば明日には電車もきっと動きますよ!」
「そうね、愛理の言う通り今日はどこかのネカフェでも入って休みましょ」
「じゃ、ここからは別行動な」
そう言って三咲は後ろを向いてサクサク歩いていく。すぐに愛理が呼び止めると、男と女で別れた方がいろんな意味でいいとかほざきながら人混みに紛れ消えていった。なんかよく分からないけど愛理と二人きりになれるのはラッキー。カラオケで起きたのを挽回させる力はほぼないけど、関係を立て直すきっかけには繋がる。
「三咲くん、一人ぼっちで平気かな……」
「男だし大丈夫でしょ。それよりも私たちは早く休む場所を探さなきゃ。愛理みたいな可愛い女の子が野宿なんてしたら危険よ。あっ、愛理はネットカフェとか平気な人?」
「はい、とくに私はどこでも。さっきみたいなカラオケでもネットカフェでもホテルでも」
「ホテル!?」
ホテルですって!? こ、この子ったらなんて大胆な発言を……っ! 私ですらこの状況でホテルに行こうなんて思わなかったってのに……っ! ハッ、もしかして誘ってる!?
「あっ、あそこのホテル!」
愛理は左側にある建物を指差す。ホテルの指名までするのかと全身の筋肉が強張ったが、そこに立っていたのは全国でも有名チェーンのビジネスホテル。
「以前宿泊したことがあるんですけど、結構快適でした。ルームサービスも丁寧で、映画も見放題だったんですよ」
「あ、あらそうなの! それはいいホテルねぇ!」
……だよね。ホテルと聞いて一瞬でいかがわしい方に変換される私は今更ながら汚れている。しかしビジホといえど、雰囲気は作れる。でも今日の失敗のこともあってエロい方向にはいけないと思う。あくまで友達以上恋人未満へこぎつける且つ、三咲を恋愛対象から遠ざけれるような思い出を刻まないと。
「よし、今日はここのホテルに泊まりましょう! こういったところの方が安心安全よ! さ、レッツゴー!」
三咲が自ら手を引いたチャンスを無駄にはしない。そのためには、あの大惨事を忘れさせるような最高でホットな夜を迎えてやる。
そうよ私は神経の図太い桃尻エリカ! ネガティブなんて吹っ飛ばせ、私が見ているのはこの先にある未来と希望だけなんだから――!
夢見る時間は短かった。冷静になれば気づけただろうに、運休の影響でホテルは満室。その次のホテルも、ネットカフェもカラオケも五軒以上は回ったが、どこにも入れず時間が過ぎていくばかり。見渡せば植木の下で座り込む若者グループ、ガールズバーへ続く階段で肩を寄せ合うカップル、缶コーヒーに煙草の吸い殻を入れたことを忘れたのか飲み干す棒立ちリーマン等、カオスな世紀末が広がっていた。
「疲れてない?」
横にいる愛理に声をかけた。
「平気です。桃尻さんは?」
「私も平気。学校で履くヒールで来てたら足が死んでたわね」
「あはは、よかった」
薄い笑みでそう答えるが、どこか元気がない。表情も貼り付けたような、いつも見せる生き生きとしたものじゃなかった。
「ねぇ、思いついたんだけど金持家の力でヘリコ呼べないの?」
「街中で出せるわけねぇだろアホ尻」
「んまー、言ってくれるわね!」
「まあまあ。とりあえず今日は土曜日でよかったですよね。どこか、ネットカフェとかで一晩過ごせば明日には電車もきっと動きますよ!」
「そうね、愛理の言う通り今日はどこかのネカフェでも入って休みましょ」
「じゃ、ここからは別行動な」
そう言って三咲は後ろを向いてサクサク歩いていく。すぐに愛理が呼び止めると、男と女で別れた方がいろんな意味でいいとかほざきながら人混みに紛れ消えていった。なんかよく分からないけど愛理と二人きりになれるのはラッキー。カラオケで起きたのを挽回させる力はほぼないけど、関係を立て直すきっかけには繋がる。
「三咲くん、一人ぼっちで平気かな……」
「男だし大丈夫でしょ。それよりも私たちは早く休む場所を探さなきゃ。愛理みたいな可愛い女の子が野宿なんてしたら危険よ。あっ、愛理はネットカフェとか平気な人?」
「はい、とくに私はどこでも。さっきみたいなカラオケでもネットカフェでもホテルでも」
「ホテル!?」
ホテルですって!? こ、この子ったらなんて大胆な発言を……っ! 私ですらこの状況でホテルに行こうなんて思わなかったってのに……っ! ハッ、もしかして誘ってる!?
「あっ、あそこのホテル!」
愛理は左側にある建物を指差す。ホテルの指名までするのかと全身の筋肉が強張ったが、そこに立っていたのは全国でも有名チェーンのビジネスホテル。
「以前宿泊したことがあるんですけど、結構快適でした。ルームサービスも丁寧で、映画も見放題だったんですよ」
「あ、あらそうなの! それはいいホテルねぇ!」
……だよね。ホテルと聞いて一瞬でいかがわしい方に変換される私は今更ながら汚れている。しかしビジホといえど、雰囲気は作れる。でも今日の失敗のこともあってエロい方向にはいけないと思う。あくまで友達以上恋人未満へこぎつける且つ、三咲を恋愛対象から遠ざけれるような思い出を刻まないと。
「よし、今日はここのホテルに泊まりましょう! こういったところの方が安心安全よ! さ、レッツゴー!」
三咲が自ら手を引いたチャンスを無駄にはしない。そのためには、あの大惨事を忘れさせるような最高でホットな夜を迎えてやる。
そうよ私は神経の図太い桃尻エリカ! ネガティブなんて吹っ飛ばせ、私が見ているのはこの先にある未来と希望だけなんだから――!
夢見る時間は短かった。冷静になれば気づけただろうに、運休の影響でホテルは満室。その次のホテルも、ネットカフェもカラオケも五軒以上は回ったが、どこにも入れず時間が過ぎていくばかり。見渡せば植木の下で座り込む若者グループ、ガールズバーへ続く階段で肩を寄せ合うカップル、缶コーヒーに煙草の吸い殻を入れたことを忘れたのか飲み干す棒立ちリーマン等、カオスな世紀末が広がっていた。
「疲れてない?」
横にいる愛理に声をかけた。
「平気です。桃尻さんは?」
「私も平気。学校で履くヒールで来てたら足が死んでたわね」
「あはは、よかった」
薄い笑みでそう答えるが、どこか元気がない。表情も貼り付けたような、いつも見せる生き生きとしたものじゃなかった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる