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ルート4 ヒロインとホテルに行こう!
よし、いっちゃうゾ~!ヒロインとホテルへGO!?
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桃尻家に次いで金持家も車を出しても着くのは何時になるか分からないらしく、帰る手段が完全に底を尽いた。それでもここにいると人が集まって身動きがとれなくなるので、一時外へ出て、通行人の邪魔にならない路地裏近くへ移動して、三人で円陣を組むかのように話し合いを再開をした。
「ねぇ、思いついたんだけど金持家の力でヘリコ呼べないの?」
「街中で出せるわけねぇだろアホ尻」
「んまー、言ってくれるわね!」
「まあまあ。とりあえず今日は土曜日でよかったですよね。どこか、ネットカフェとかで一晩過ごせば明日には電車もきっと動きますよ!」
「そうね、愛理の言う通り今日はどこかのネカフェでも入って休みましょ」
「じゃ、ここからは別行動な」
そう言って三咲は後ろを向いてサクサク歩いていく。すぐに愛理が呼び止めると、男と女で別れた方がいろんな意味でいいとかほざきながら人混みに紛れ消えていった。なんかよく分からないけど愛理と二人きりになれるのはラッキー。カラオケで起きたのを挽回させる力はほぼないけど、関係を立て直すきっかけには繋がる。
「三咲くん、一人ぼっちで平気かな……」
「男だし大丈夫でしょ。それよりも私たちは早く休む場所を探さなきゃ。愛理みたいな可愛い女の子が野宿なんてしたら危険よ。あっ、愛理はネットカフェとか平気な人?」
「はい、とくに私はどこでも。さっきみたいなカラオケでもネットカフェでもホテルでも」
「ホテル!?」
ホテルですって!? こ、この子ったらなんて大胆な発言を……っ! 私ですらこの状況でホテルに行こうなんて思わなかったってのに……っ! ハッ、もしかして誘ってる!?
「あっ、あそこのホテル!」
愛理は左側にある建物を指差す。ホテルの指名までするのかと全身の筋肉が強張ったが、そこに立っていたのは全国でも有名チェーンのビジネスホテル。
「以前宿泊したことがあるんですけど、結構快適でした。ルームサービスも丁寧で、映画も見放題だったんですよ」
「あ、あらそうなの! それはいいホテルねぇ!」
……だよね。ホテルと聞いて一瞬でいかがわしい方に変換される私は今更ながら汚れている。しかしビジホといえど、雰囲気は作れる。でも今日の失敗のこともあってエロい方向にはいけないと思う。あくまで友達以上恋人未満へこぎつける且つ、三咲を恋愛対象から遠ざけれるような思い出を刻まないと。
「よし、今日はここのホテルに泊まりましょう! こういったところの方が安心安全よ! さ、レッツゴー!」
三咲が自ら手を引いたチャンスを無駄にはしない。そのためには、あの大惨事を忘れさせるような最高でホットな夜を迎えてやる。
そうよ私は神経の図太い桃尻エリカ! ネガティブなんて吹っ飛ばせ、私が見ているのはこの先にある未来と希望だけなんだから――!
夢見る時間は短かった。冷静になれば気づけただろうに、運休の影響でホテルは満室。その次のホテルも、ネットカフェもカラオケも五軒以上は回ったが、どこにも入れず時間が過ぎていくばかり。見渡せば植木の下で座り込む若者グループ、ガールズバーへ続く階段で肩を寄せ合うカップル、缶コーヒーに煙草の吸い殻を入れたことを忘れたのか飲み干す棒立ちリーマン等、カオスな世紀末が広がっていた。
「疲れてない?」
横にいる愛理に声をかけた。
「平気です。桃尻さんは?」
「私も平気。学校で履くヒールで来てたら足が死んでたわね」
「あはは、よかった」
薄い笑みでそう答えるが、どこか元気がない。表情も貼り付けたような、いつも見せる生き生きとしたものじゃなかった。
「ねぇ、思いついたんだけど金持家の力でヘリコ呼べないの?」
「街中で出せるわけねぇだろアホ尻」
「んまー、言ってくれるわね!」
「まあまあ。とりあえず今日は土曜日でよかったですよね。どこか、ネットカフェとかで一晩過ごせば明日には電車もきっと動きますよ!」
「そうね、愛理の言う通り今日はどこかのネカフェでも入って休みましょ」
「じゃ、ここからは別行動な」
そう言って三咲は後ろを向いてサクサク歩いていく。すぐに愛理が呼び止めると、男と女で別れた方がいろんな意味でいいとかほざきながら人混みに紛れ消えていった。なんかよく分からないけど愛理と二人きりになれるのはラッキー。カラオケで起きたのを挽回させる力はほぼないけど、関係を立て直すきっかけには繋がる。
「三咲くん、一人ぼっちで平気かな……」
「男だし大丈夫でしょ。それよりも私たちは早く休む場所を探さなきゃ。愛理みたいな可愛い女の子が野宿なんてしたら危険よ。あっ、愛理はネットカフェとか平気な人?」
「はい、とくに私はどこでも。さっきみたいなカラオケでもネットカフェでもホテルでも」
「ホテル!?」
ホテルですって!? こ、この子ったらなんて大胆な発言を……っ! 私ですらこの状況でホテルに行こうなんて思わなかったってのに……っ! ハッ、もしかして誘ってる!?
「あっ、あそこのホテル!」
愛理は左側にある建物を指差す。ホテルの指名までするのかと全身の筋肉が強張ったが、そこに立っていたのは全国でも有名チェーンのビジネスホテル。
「以前宿泊したことがあるんですけど、結構快適でした。ルームサービスも丁寧で、映画も見放題だったんですよ」
「あ、あらそうなの! それはいいホテルねぇ!」
……だよね。ホテルと聞いて一瞬でいかがわしい方に変換される私は今更ながら汚れている。しかしビジホといえど、雰囲気は作れる。でも今日の失敗のこともあってエロい方向にはいけないと思う。あくまで友達以上恋人未満へこぎつける且つ、三咲を恋愛対象から遠ざけれるような思い出を刻まないと。
「よし、今日はここのホテルに泊まりましょう! こういったところの方が安心安全よ! さ、レッツゴー!」
三咲が自ら手を引いたチャンスを無駄にはしない。そのためには、あの大惨事を忘れさせるような最高でホットな夜を迎えてやる。
そうよ私は神経の図太い桃尻エリカ! ネガティブなんて吹っ飛ばせ、私が見ているのはこの先にある未来と希望だけなんだから――!
夢見る時間は短かった。冷静になれば気づけただろうに、運休の影響でホテルは満室。その次のホテルも、ネットカフェもカラオケも五軒以上は回ったが、どこにも入れず時間が過ぎていくばかり。見渡せば植木の下で座り込む若者グループ、ガールズバーへ続く階段で肩を寄せ合うカップル、缶コーヒーに煙草の吸い殻を入れたことを忘れたのか飲み干す棒立ちリーマン等、カオスな世紀末が広がっていた。
「疲れてない?」
横にいる愛理に声をかけた。
「平気です。桃尻さんは?」
「私も平気。学校で履くヒールで来てたら足が死んでたわね」
「あはは、よかった」
薄い笑みでそう答えるが、どこか元気がない。表情も貼り付けたような、いつも見せる生き生きとしたものじゃなかった。
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