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ルート3 ヒロインのお見舞いをしよう!
ちょ待てよ!不穏な放課後!!
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――時は放課後。
クラスメイトたちは部活に行ったり、教室に無駄に居残ったりと有意義な学生時間を過ごしている横をトボトボと通り過ぎゆく私が向かった先は校門。何人もの女子生徒が校門に一人立つ人物に目を奪われている。その正体こそ、金持恵。遠くから教室まで迎えに行くと言われたけど、拒否して校門で待ち合わせして行こうと約束をしたのはいいが、近寄るどころか横に並んで歩きたくない。ブリブリドレスのJKとイケメンは確実に悪目立ちする。これなら他の三人の方がマシだった。
「やあ、桃尻くん」
「お待たせっしたー……」
私は待っていた恵にテンション低めの挨拶をする。ヒールの先端に何故か大量の砂がついてはジャリジャリと耳障りな音を上げ、まるで私の荒れた心情を代弁しているかのようだった。周りにいる生徒、主に女子が「この二人が男女の関係!?」みたいなふうに見てくる。やめてよ違うから。全身を使って否定の雄叫びしてやりたい……っ!
「まずはコンビニに行って、愛理くんが軽く食べれるような物を買いに行こうか」
「はい」
そんな恵は私の気も知らないで通常営業。爽やかなオーラを振りまきながら歩く後ろを私も睨みを利かせてついていく。二人っきりのお見舞いをぶち壊したあんたの罪は最大級に重い。今は大人しく従ってるけど、今後は覚悟しておくことね。
掃き溜めるしかないむしゃくしゃを堪え、まずは近くのコンビニへ直行。病人でも食べれるヨーグルトに電子レンジで温める白米を購入。
店に入り、出るまで何人の女性が恵をガン見していたことか。おばさんコンビニ店員に、お菓子を選ぶ幼女とその母親。学校帰りの女子中学生に偶然を装ったように出入口に立つ女子高生グループ、そして杖をつく白髪のおばあちゃん。一日で何人の女性ホルモンを活性化させてんのこの男は……。たしかに、かっこいい部類だとは思うけど、こうして一緒に歩いてもときめきゼロ。やっぱり私って愛理にしかときめかない一途な純情ってことが再確認されちゃった。――っていうか、これだけ異性から好意集まれば選び放題じゃない。どうして愛理にいくわけよ。
「恵先輩って、愛理のどこを見て好きになったんですか?」
すごくすごく気になったわけではないが、愛理宅に着くまで何も話さないのもあれなので当たり障りのない質問をしてみることに。すると、
「んー、そうだね。そう聞かれると……どうだろう。すぐに答えられないな。気づいたら好きになっていたって言えばいいのかな? 桃尻くんは?」
「私? そらもう初めて会ったときからですよ! 電流が膀胱が震えるぐらいビリッと痺れるっていうか、あの子のいろんな表情が見たいっていうか、でも知らない面を知るのも怖いっていうか……」
そう早口で喋り倒す私に恵は唇に手を添えて笑う。
「本当に好きなんだね、愛理くんのこと」
「あったり前じゃないですか。言っときますけど正直なところ、今日も一人でお見合いに行きたかったぐらいです。誰かさんが仲間に告げ口して晒し首まがいな目に合ったり散々ですよ、まったく」
場の勢いに任せて不満をぶつけても恵は眉の一本も変えずに笑みをキープしているだけであった。その微笑みは八割方嘘のように見える。サイコパスらしく、なにを考えているか検討もつかない。
再びお互い無言状態となり、人か行き交う道を外れて静かな小道を歩いている中、何かを思い出したかのような口ぶりでこんなことを言い出した。
「僕も愛理くんのいろんな顔が見たいと思ったことがあるよ。でも、逆に僕だったら彼女が自分でも知らない一面を汲み取って導き出してあげたい。そして戸惑いながらもその色に染めあげていきたい」
そのとき、桃尻の膀胱に電流走る。
この先の未来がよくない、穏やかな暗示がされていない予感がーーというよりも、これ恵のヤンデレルートになりかけていない……?
クラスメイトたちは部活に行ったり、教室に無駄に居残ったりと有意義な学生時間を過ごしている横をトボトボと通り過ぎゆく私が向かった先は校門。何人もの女子生徒が校門に一人立つ人物に目を奪われている。その正体こそ、金持恵。遠くから教室まで迎えに行くと言われたけど、拒否して校門で待ち合わせして行こうと約束をしたのはいいが、近寄るどころか横に並んで歩きたくない。ブリブリドレスのJKとイケメンは確実に悪目立ちする。これなら他の三人の方がマシだった。
「やあ、桃尻くん」
「お待たせっしたー……」
私は待っていた恵にテンション低めの挨拶をする。ヒールの先端に何故か大量の砂がついてはジャリジャリと耳障りな音を上げ、まるで私の荒れた心情を代弁しているかのようだった。周りにいる生徒、主に女子が「この二人が男女の関係!?」みたいなふうに見てくる。やめてよ違うから。全身を使って否定の雄叫びしてやりたい……っ!
「まずはコンビニに行って、愛理くんが軽く食べれるような物を買いに行こうか」
「はい」
そんな恵は私の気も知らないで通常営業。爽やかなオーラを振りまきながら歩く後ろを私も睨みを利かせてついていく。二人っきりのお見舞いをぶち壊したあんたの罪は最大級に重い。今は大人しく従ってるけど、今後は覚悟しておくことね。
掃き溜めるしかないむしゃくしゃを堪え、まずは近くのコンビニへ直行。病人でも食べれるヨーグルトに電子レンジで温める白米を購入。
店に入り、出るまで何人の女性が恵をガン見していたことか。おばさんコンビニ店員に、お菓子を選ぶ幼女とその母親。学校帰りの女子中学生に偶然を装ったように出入口に立つ女子高生グループ、そして杖をつく白髪のおばあちゃん。一日で何人の女性ホルモンを活性化させてんのこの男は……。たしかに、かっこいい部類だとは思うけど、こうして一緒に歩いてもときめきゼロ。やっぱり私って愛理にしかときめかない一途な純情ってことが再確認されちゃった。――っていうか、これだけ異性から好意集まれば選び放題じゃない。どうして愛理にいくわけよ。
「恵先輩って、愛理のどこを見て好きになったんですか?」
すごくすごく気になったわけではないが、愛理宅に着くまで何も話さないのもあれなので当たり障りのない質問をしてみることに。すると、
「んー、そうだね。そう聞かれると……どうだろう。すぐに答えられないな。気づいたら好きになっていたって言えばいいのかな? 桃尻くんは?」
「私? そらもう初めて会ったときからですよ! 電流が膀胱が震えるぐらいビリッと痺れるっていうか、あの子のいろんな表情が見たいっていうか、でも知らない面を知るのも怖いっていうか……」
そう早口で喋り倒す私に恵は唇に手を添えて笑う。
「本当に好きなんだね、愛理くんのこと」
「あったり前じゃないですか。言っときますけど正直なところ、今日も一人でお見合いに行きたかったぐらいです。誰かさんが仲間に告げ口して晒し首まがいな目に合ったり散々ですよ、まったく」
場の勢いに任せて不満をぶつけても恵は眉の一本も変えずに笑みをキープしているだけであった。その微笑みは八割方嘘のように見える。サイコパスらしく、なにを考えているか検討もつかない。
再びお互い無言状態となり、人か行き交う道を外れて静かな小道を歩いている中、何かを思い出したかのような口ぶりでこんなことを言い出した。
「僕も愛理くんのいろんな顔が見たいと思ったことがあるよ。でも、逆に僕だったら彼女が自分でも知らない一面を汲み取って導き出してあげたい。そして戸惑いながらもその色に染めあげていきたい」
そのとき、桃尻の膀胱に電流走る。
この先の未来がよくない、穏やかな暗示がされていない予感がーーというよりも、これ恵のヤンデレルートになりかけていない……?
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