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ルート3 ヒロインのお見舞いをしよう!
恋バナで女性ホルモンを高めよ!
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中間テストが終わって一週間。季節は六月半ばに入り、長い梅雨が続いていた。
そんな私は雨のじめじめさに負けないぐらい、毎日のように愛理にべったりとくっついては、金持四兄弟の蹴落とそうとする魔の手を見事にかわして過ごしていた。四体一なんてフェアじゃない。それでも負けずに血が滲む思いで、愛理にアタックし続けた結果、自分を褒め讃えたくなるような最強のイベントを起こしてしまった。
午前六時半、小雨が窓に打ちつける音で目が覚めた。普段なら今日も雨かとげんなりするけど、今日は違う。外は雨だけど、桃尻エリカの心はめちゃくちゃ快晴である。
「うっふふふ~!」
トレードマークの縦ロールを若林にセットしてもらうため、ドレッサーの椅子に座るも笑顔が止まらない。
「ご機嫌ですね。どうかなさいました?」
「えぇー? 聞きたぁーい?」
「はい、エリカ様が笑うと私もにこやかな気分になります」
「やだ、上手いこと言っちゃって!」
ブラシで髪を整えていく若林にウザい返しをしては舞い上がった様子でペラペラと喋り続けていく私。
「あのね、今日の放課後……気になる子とカラオケに行くの。それも二人っきりで!」
「キィェアァー!! なんですかそれ! 青春してますねっ」
「でしょでしょ? なに歌えばいいと思う?」
「んー、私の世代ではYUIのCHERRY歌えば相手は落ちると言われていましたが、さすがにエリカ様世代では古すぎますよね」
「いいじゃない、採用!」
若林と恋バナで大盛り上がり。気になる子が同姓ってことは伝えていないが、そこはまあいい。この子も若い女性だけあって興味津々に食いついてくる。ぶっちゃけなくとも私には愛理以外に同姓の親しい友達はゼロ。こうやって愚痴を吐き出したり、話し相手になってくれる若林には頭が上がらない。
それよりも、愛理とカラオケに行く大イベントを作り上げてしまったのだ。休み時間に教室で愛理が歌は得意ではないと言っていたので、深い意味もなくカラオケ行っちゃう? と振ったところ、ぜひ行きたい。この日に行こうと日時指定までしてきた。それプラス愛理自らが、男どもの方に歌声を聞かれるのは恥ずかしすぎるからと二人で行きたいと申し出くれて……カラオケの件は四兄弟には知られていない二人だけの秘密。私は教室で昇天した。
ついに今日がそのカラオケ。この日をどんなに待ちわびたか。カウントダウンが楽しくて楽しくてカレンダーにも印をつけて、昨夜も遅くまで眠れずに目がギンギンだった。個室で二人っきりのワードとシチュがもうヤバい。エロいのよ。
と、そのときドレッサー台に置いてある携帯が鳴った。画面に表示された文字は、松風愛理。おおっと、噂をすれば影とやら。朝っぱらから愛理から連絡だなんて、珍しい。今日のことかしら? それか、ホテルにもカラオケあるみたいなんですよ。場所変えませんか? って来てたりして……なーんて、来てたりして!?
それは文字を見るまでのお楽しみか。不思議と携帯自体が全体的に光っている気がする。操作するのさえ幸せすぎて怖い。意味わかんないけどっ☆
「えっと何々……『桃尻さん、ごめんなさい。朝から熱があって今日は学校をお休みします。約束もあったのに本当にごめんなさい』か。なんだ、そうゆうことね! 大丈夫大丈夫………………え?」
光が――闇。
そんな私は雨のじめじめさに負けないぐらい、毎日のように愛理にべったりとくっついては、金持四兄弟の蹴落とそうとする魔の手を見事にかわして過ごしていた。四体一なんてフェアじゃない。それでも負けずに血が滲む思いで、愛理にアタックし続けた結果、自分を褒め讃えたくなるような最強のイベントを起こしてしまった。
午前六時半、小雨が窓に打ちつける音で目が覚めた。普段なら今日も雨かとげんなりするけど、今日は違う。外は雨だけど、桃尻エリカの心はめちゃくちゃ快晴である。
「うっふふふ~!」
トレードマークの縦ロールを若林にセットしてもらうため、ドレッサーの椅子に座るも笑顔が止まらない。
「ご機嫌ですね。どうかなさいました?」
「えぇー? 聞きたぁーい?」
「はい、エリカ様が笑うと私もにこやかな気分になります」
「やだ、上手いこと言っちゃって!」
ブラシで髪を整えていく若林にウザい返しをしては舞い上がった様子でペラペラと喋り続けていく私。
「あのね、今日の放課後……気になる子とカラオケに行くの。それも二人っきりで!」
「キィェアァー!! なんですかそれ! 青春してますねっ」
「でしょでしょ? なに歌えばいいと思う?」
「んー、私の世代ではYUIのCHERRY歌えば相手は落ちると言われていましたが、さすがにエリカ様世代では古すぎますよね」
「いいじゃない、採用!」
若林と恋バナで大盛り上がり。気になる子が同姓ってことは伝えていないが、そこはまあいい。この子も若い女性だけあって興味津々に食いついてくる。ぶっちゃけなくとも私には愛理以外に同姓の親しい友達はゼロ。こうやって愚痴を吐き出したり、話し相手になってくれる若林には頭が上がらない。
それよりも、愛理とカラオケに行く大イベントを作り上げてしまったのだ。休み時間に教室で愛理が歌は得意ではないと言っていたので、深い意味もなくカラオケ行っちゃう? と振ったところ、ぜひ行きたい。この日に行こうと日時指定までしてきた。それプラス愛理自らが、男どもの方に歌声を聞かれるのは恥ずかしすぎるからと二人で行きたいと申し出くれて……カラオケの件は四兄弟には知られていない二人だけの秘密。私は教室で昇天した。
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と、そのときドレッサー台に置いてある携帯が鳴った。画面に表示された文字は、松風愛理。おおっと、噂をすれば影とやら。朝っぱらから愛理から連絡だなんて、珍しい。今日のことかしら? それか、ホテルにもカラオケあるみたいなんですよ。場所変えませんか? って来てたりして……なーんて、来てたりして!?
それは文字を見るまでのお楽しみか。不思議と携帯自体が全体的に光っている気がする。操作するのさえ幸せすぎて怖い。意味わかんないけどっ☆
「えっと何々……『桃尻さん、ごめんなさい。朝から熱があって今日は学校をお休みします。約束もあったのに本当にごめんなさい』か。なんだ、そうゆうことね! 大丈夫大丈夫………………え?」
光が――闇。
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