悪役令嬢になったんで推し事としてヒロインを溺愛しようと思う

マンボウ

文字の大きさ
上 下
37 / 84
ルート2 ヒロインとテスト勉強会をしよう!

悪役令嬢で敵はイケメン四人、ヒロインに近づけさせないため、グループ追放されそうながらも(以下略

しおりを挟む
 そこから私は雅人と対戦してボコボコに返り討ちをしてやった。雅人は不満を叩いたので三回ルールにしたら三回中三回負けてから泣き崩れ。他の男らは茫然。

 ゲームに勝ったときは絶頂しそうなほど気持ちよかった。「悪役令嬢で敵はイケメン四人、ヒロインに近づけさせないため、グループ追放されそうになりながらも私TUEEEEして、ヒロインと百合百合していれば四人が今さら犬の如く腰振ってきましたけどスルーして学園ライフを楽しみます。」ってなろう小説にありがちな共感性羞恥が悶え苦しむタイトルできちゃったわ。いや~草草! ――以上、現実逃避の妄想劇。

 雅人はアホみたく強かった。皆が見ているというのに酷く惨敗してしまった。なにかの間違いだ、不正だと抗議をして三回ルールにしたのも私。記憶は途中から抜け落ちて、意識が戻るとコントローラーを強く握ってはヤムチャみたく丸く倒れこんでいたのだ。

「もしも~し、パイセン生きてますかぁ? もう一度対戦しますぅ?」

「…………」

 真上からまあ煽る煽る。答えるわけがない。声色が不安定で吹き出しそうなのが丸分かりなのだから。もう一回やらせてくださいってすがりつくとでも?思い通りにしてたまるかってんだ。勝負には負けたけど、心はまだ負けていない。

「いや~、まさか三回中三回挑んで全て負けるのは惨め……ぁう、ごめんなさい☆ かわいそうかなって~」

 露骨な間違いに戦う意思が揺り動かされる。三咲は他人の不幸で飯が上手いと言いたげに白い歯を見せ、睦月は喜怒哀楽どれにも当てはまらない無表情。恵はちょっと同情して近くに紅茶の入ったティーカップを置いた。唯一、回復した愛理が私の頭をよしよしと撫でてくれたことが救い。

「次は足の指だけで操作するのでどうですかぁ?」

「それはお行儀が悪いからやめなさい」

「ごめん恵にい。だって少しでもハンデつけなきゃパイセンに不利だと思ってさぁ」

 悔しい、悔しい……。だが、これでいい。これでこそ「ぐちょぐちょメモリアル~桃尻エリカ追加ルート版~」なのだ。

「うふふ、なかなかやりますわね。雅人さん、あなたには完敗ですわ」

 敗北を口にするのは癪だが立たないと前に進めない。むくりと起き上がり、完全に復活できたわけではない心身に無理やり力を入れて奮い立たせた。

 勝負事で見返す勝算はない。が、敗挽回できる可能性は無限大。もう男なんかに構うのはやめよう。恋愛イベントを私が作り上げるんだ。ゲームの山々を何かないかと見渡すと、ゴーグルの形をした物がぽつんと放置されていた。

 あれは、たしかVR……? バーチャルリアリティーとかの略でゴーグルを装着したらゲームの世界が前に広がってよりリアルなゲームができるって近年話題のゲーム機。利用できそうだけど、桃尻ルートに発展するかどうかって考えたら微妙だけど……ええい、なにを迷ってるの! もう賭けるしかない! お色気恋愛漫画でVRが登場するのあるある、ゲームの世界で物を掴んだと思ったらヒロインの胸だった説を立証してやるわ。

「まあ! これってVR? 私、実物を手にするのは初めてですわ。一回やってみてもよろしいかしら?」

「ジャンルはホラーゲームだけど……いいの……?」

「全然よろしくってよ」

 よくない。ホラーは大の苦手で漏らす自信あり。最悪失禁したとしても、下に履いてるパニエが吸収してくれることを願おう。洗濯する若林にはもうしわけないけど。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?

荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」 そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。 「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」 「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」 「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」 「は?」 さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。 荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります! 第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。 表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

処理中です...