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ルート2 ヒロインとテスト勉強会をしよう!
愛しさと切なさを兼ね備えている、愛理!
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それからエスパー白髭の指示なのか若いメイドたちが入室して来ては、台車に載せたティーカップを鳴らさないよう一生懸命に、そしてどこか初々しくお茶を注いでいく。
やられて当然といったお坊ちゃまではない四人兄弟。メイドがお茶を準備している間に勉強ができる環境にしようと、テーブルやらクッションやらを次々とセッティング。テーブルはシンプルイズベストのブラウン。手触りとか質感が無印良品さがある。なんだかちょっと実家に戻ってきた感があって、ホッとした~! あれ、裏側に文字が押されているえっと、メイドイン、フランス……。私の目利きは転生してご令嬢になろうが変わらないってこと……。
「じゃあ今から各自それぞれ勉強していこう。二人は分からない問題があったら僕や睦月になんでも聞いてね」
「恵先輩と睦月って、あとの二人は?」
「桃尻パイセンと違って課題すれば大体の点数はとれるんですよぅ。適当に読書でもしてますのでお気になさらず勉強頑張ってくださぁ~い」
「俺は課題もしなくても一位とれるから」
大きいクッションに寝転んでいる雅人に、寝転がってスマホ画面に集中する三咲。勉強しないんだったらなんでここにいる。
「オホホ、お勉強のお邪魔になるのでご自分の部屋に行かれたらどうかしら?」
「ええ? 僕たち邪魔ですか?」
「ううん、そんなことないよ。みんなで一緒にいるとお昼休みみたくって楽しい」
「わ~い、愛理先輩やっさしい!」
すると雅人は、猫なで声をしながら我が愛理へと近寄っていく。恨みを込めたガン飛ばしを嘲笑うかのように雅人は私にだけ分かる角度で口角を上げた。実にあざとい。愛理が拒否らないことを知っているくせして――!
「三咲くんも、分からないとこ教えてくれると嬉しいな」
「気が向いたらな」
スマホから目線を離さずツンツンとした態度でも素早い返答。こいつもこいつで分かりやすい男。
「ちょっと三咲、あんたスマホばっかしか見てないけど何かゲームでもしてんの? モンスト? それともグラブル? 今なんのコラボしてんの?」
「喋んな尻」
「すみません、よく聞こえませんでした~。もしかしてデレマス? 誰のプロデューサーしてんの? ねぇってば!」
冗談っぽく詰め寄っていけば……バンッ! 無言でブチ切れた三咲にクッションを投げつけられてしまった。
「こらこら、三咲に話しかけるよりも今日は勉強が優先だよ。特に君はね」
「チッ、反省してまーす」
「頑張りましょうね、桃尻さん!」
「うん、がんばろお☆」
「すごい変わり様……」
ノートと教科書をテーブルいっぱいに広げて、位置は愛理の隣を確保。前に睦月と恵がいようとも身体的距離が近いのはこっち側。どんなハプニングが起きようとも男たちの恋愛フラグは全身全霊で阻止してみせる。だから愛理、あなたは私だけを見つめてほしい。リップのことは、思い違いだと流すから。
安定して脈打つ鼓動が切なく鳴った。彼女の肩と自分の肩は数十センチしかないのに、ものすごい遠くにいる気がしてならない。
午前九時半、テスト勉強会開始――。
やられて当然といったお坊ちゃまではない四人兄弟。メイドがお茶を準備している間に勉強ができる環境にしようと、テーブルやらクッションやらを次々とセッティング。テーブルはシンプルイズベストのブラウン。手触りとか質感が無印良品さがある。なんだかちょっと実家に戻ってきた感があって、ホッとした~! あれ、裏側に文字が押されているえっと、メイドイン、フランス……。私の目利きは転生してご令嬢になろうが変わらないってこと……。
「じゃあ今から各自それぞれ勉強していこう。二人は分からない問題があったら僕や睦月になんでも聞いてね」
「恵先輩と睦月って、あとの二人は?」
「桃尻パイセンと違って課題すれば大体の点数はとれるんですよぅ。適当に読書でもしてますのでお気になさらず勉強頑張ってくださぁ~い」
「俺は課題もしなくても一位とれるから」
大きいクッションに寝転んでいる雅人に、寝転がってスマホ画面に集中する三咲。勉強しないんだったらなんでここにいる。
「オホホ、お勉強のお邪魔になるのでご自分の部屋に行かれたらどうかしら?」
「ええ? 僕たち邪魔ですか?」
「ううん、そんなことないよ。みんなで一緒にいるとお昼休みみたくって楽しい」
「わ~い、愛理先輩やっさしい!」
すると雅人は、猫なで声をしながら我が愛理へと近寄っていく。恨みを込めたガン飛ばしを嘲笑うかのように雅人は私にだけ分かる角度で口角を上げた。実にあざとい。愛理が拒否らないことを知っているくせして――!
「三咲くんも、分からないとこ教えてくれると嬉しいな」
「気が向いたらな」
スマホから目線を離さずツンツンとした態度でも素早い返答。こいつもこいつで分かりやすい男。
「ちょっと三咲、あんたスマホばっかしか見てないけど何かゲームでもしてんの? モンスト? それともグラブル? 今なんのコラボしてんの?」
「喋んな尻」
「すみません、よく聞こえませんでした~。もしかしてデレマス? 誰のプロデューサーしてんの? ねぇってば!」
冗談っぽく詰め寄っていけば……バンッ! 無言でブチ切れた三咲にクッションを投げつけられてしまった。
「こらこら、三咲に話しかけるよりも今日は勉強が優先だよ。特に君はね」
「チッ、反省してまーす」
「頑張りましょうね、桃尻さん!」
「うん、がんばろお☆」
「すごい変わり様……」
ノートと教科書をテーブルいっぱいに広げて、位置は愛理の隣を確保。前に睦月と恵がいようとも身体的距離が近いのはこっち側。どんなハプニングが起きようとも男たちの恋愛フラグは全身全霊で阻止してみせる。だから愛理、あなたは私だけを見つめてほしい。リップのことは、思い違いだと流すから。
安定して脈打つ鼓動が切なく鳴った。彼女の肩と自分の肩は数十センチしかないのに、ものすごい遠くにいる気がしてならない。
午前九時半、テスト勉強会開始――。
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