32 / 84
ルート2 ヒロインとテスト勉強会をしよう!
四人の宿敵、現る!私の戦いはこれからだ!
しおりを挟む
「やあ、いらっしゃい。二人ともよく来てくれたね」
そこに大理石の階段を降りてきたのは、金持四人兄弟。恵は長男らしく他の三人より前に出て私たちに出迎えの挨拶をした。四人の私服に関してはゲームでもあまり注目せずにいたが、一人一人の個性がしっかりとファッションに現れていた。
恵の着用しているシャツはファストファッションでは決して生み出せない高級感があった。睦月は紺色のカーディガンを羽織って、いかにも文系男子といった感じだが、立っているだけで品の良さが滲み出ている。その二人とは対に三咲は黒Tシャツ一枚にジーパン。雅人はオーバーサイズのパーカーに軽いストレッチの効いたパンツ。ラフすぎだろと思ったけど、生地の質感がもう一般とは違う。つまり、高いやつ。
「あれれ~? 桃尻パイセン、本当に来ちゃったんですかぁ? 僕は愛理先輩だけでもよかったんですけどねっ」
「オホホ、せっかく金持家にご招待されたんですもの。風邪をひこうが、病気になろうが、五体満足でいる限り行くに決まっていますわ」
「へぇ~! すっごい執着心!逆に怖いですぅ~」
「ちょっと二人とも……初っ端からやめなよ……」
今にもゴングが鳴りそうな険悪な空気。雅人VS桃尻が始まろうとすれば、睦月がなんとか仲裁に入るが、誰か間に入り込まなければすぐにでも喧嘩はヒートアップしそうな勢いでいた。愛理のリップの件もあるから今日は余計にピリピリしてしまう。
フーフーッ! 雅人に威嚇をしている真横で恵はさりげなく愛理に距離を縮めて話しかけていた。
「じゃ早速、僕の部屋へ行こうか」
「恵先輩のお部屋で勉強会ですか?」
「そうだよ。二年生の頃のテストやテキストは全てとってあるんだ。分からない問題があったら気軽に質問するといいよ。愛理くんに分かりやすく教えられるように僕も頑張るからさ」
「はいっ、ありがとうございます」
ああっ、先手を取られてしまった! 一人で四人と挑もうとすればするほど、やることが多くなる。ゲーム通りにいかないこの世界を勝ち抜くには、地頭をどう生かすか努力と体力もそれなりに必要。ひっくるめたら結局は運に辿り着く。神が味方してくれるのを祈るしかない。
しかしながら今日は明日のテストに向けた勉強会。テスト勉強は真面目にやる。愛理を守るために男たちの指一本いれ……触れさせない。両方やらなくっちゃならないのが、推し事の辛いとこ。
縦に長い廊下を一列ずつ進んでいくと、もうこれ完全VIPホテルってな感じの部屋が均一に六つ並んでいる。手前から二番目が恵の自室――なんだけど部屋ってより大広間。軽く三十畳は越えている。
「桃尻さん……靴そこで脱がなきゃ……」
「あらやだ失礼!」
なるほどね、この段差のある部分で靴を脱ぐってことね。部屋まで土足とかめんどくさい造りするから、いちいち分かんなくなっちゃうじゃないの。ここは日本なんだから土足文化は馴染まないって。
「幼い頃から外でたくさん遊んで、たくさん汚れて帰って来るようにと、お館様の考えでございます」
「ヒェッ!? ……ああっ、そうなんですのね」
エスパー白髭ってば部屋までついてきたの!? 音殺して歩いてきたんか!?
「恵先輩、天文学に興味があるんですか? すごい、難しそうな本がいっぱい!」
「そうかい? これなんて宇宙もことが分かりやすく書かれているから面白いよ」
「へぇー」
愛理は隙間なくぎっちりと並べられた本棚を見ては小さく驚く。つられて本のタイトルを一通り目に通すと言われた通り、宇宙に天体関連のものばかり。漫画雑誌はどこにもない。なんかつまんない。ヤンジャン一冊ぐらいあってもいいのに。案外そういった本はどこか鍵つき扉とか、王道ベッドの下とかに隠してたりして。興味津々な振りして探し当てようっと。どこかにないかな?
「恵お坊ちゃまのお部屋にはそのような物はございませぬ」
「あなた、もう出て行ってもらっていいですか?」
そこに大理石の階段を降りてきたのは、金持四人兄弟。恵は長男らしく他の三人より前に出て私たちに出迎えの挨拶をした。四人の私服に関してはゲームでもあまり注目せずにいたが、一人一人の個性がしっかりとファッションに現れていた。
恵の着用しているシャツはファストファッションでは決して生み出せない高級感があった。睦月は紺色のカーディガンを羽織って、いかにも文系男子といった感じだが、立っているだけで品の良さが滲み出ている。その二人とは対に三咲は黒Tシャツ一枚にジーパン。雅人はオーバーサイズのパーカーに軽いストレッチの効いたパンツ。ラフすぎだろと思ったけど、生地の質感がもう一般とは違う。つまり、高いやつ。
「あれれ~? 桃尻パイセン、本当に来ちゃったんですかぁ? 僕は愛理先輩だけでもよかったんですけどねっ」
「オホホ、せっかく金持家にご招待されたんですもの。風邪をひこうが、病気になろうが、五体満足でいる限り行くに決まっていますわ」
「へぇ~! すっごい執着心!逆に怖いですぅ~」
「ちょっと二人とも……初っ端からやめなよ……」
今にもゴングが鳴りそうな険悪な空気。雅人VS桃尻が始まろうとすれば、睦月がなんとか仲裁に入るが、誰か間に入り込まなければすぐにでも喧嘩はヒートアップしそうな勢いでいた。愛理のリップの件もあるから今日は余計にピリピリしてしまう。
フーフーッ! 雅人に威嚇をしている真横で恵はさりげなく愛理に距離を縮めて話しかけていた。
「じゃ早速、僕の部屋へ行こうか」
「恵先輩のお部屋で勉強会ですか?」
「そうだよ。二年生の頃のテストやテキストは全てとってあるんだ。分からない問題があったら気軽に質問するといいよ。愛理くんに分かりやすく教えられるように僕も頑張るからさ」
「はいっ、ありがとうございます」
ああっ、先手を取られてしまった! 一人で四人と挑もうとすればするほど、やることが多くなる。ゲーム通りにいかないこの世界を勝ち抜くには、地頭をどう生かすか努力と体力もそれなりに必要。ひっくるめたら結局は運に辿り着く。神が味方してくれるのを祈るしかない。
しかしながら今日は明日のテストに向けた勉強会。テスト勉強は真面目にやる。愛理を守るために男たちの指一本いれ……触れさせない。両方やらなくっちゃならないのが、推し事の辛いとこ。
縦に長い廊下を一列ずつ進んでいくと、もうこれ完全VIPホテルってな感じの部屋が均一に六つ並んでいる。手前から二番目が恵の自室――なんだけど部屋ってより大広間。軽く三十畳は越えている。
「桃尻さん……靴そこで脱がなきゃ……」
「あらやだ失礼!」
なるほどね、この段差のある部分で靴を脱ぐってことね。部屋まで土足とかめんどくさい造りするから、いちいち分かんなくなっちゃうじゃないの。ここは日本なんだから土足文化は馴染まないって。
「幼い頃から外でたくさん遊んで、たくさん汚れて帰って来るようにと、お館様の考えでございます」
「ヒェッ!? ……ああっ、そうなんですのね」
エスパー白髭ってば部屋までついてきたの!? 音殺して歩いてきたんか!?
「恵先輩、天文学に興味があるんですか? すごい、難しそうな本がいっぱい!」
「そうかい? これなんて宇宙もことが分かりやすく書かれているから面白いよ」
「へぇー」
愛理は隙間なくぎっちりと並べられた本棚を見ては小さく驚く。つられて本のタイトルを一通り目に通すと言われた通り、宇宙に天体関連のものばかり。漫画雑誌はどこにもない。なんかつまんない。ヤンジャン一冊ぐらいあってもいいのに。案外そういった本はどこか鍵つき扉とか、王道ベッドの下とかに隠してたりして。興味津々な振りして探し当てようっと。どこかにないかな?
「恵お坊ちゃまのお部屋にはそのような物はございませぬ」
「あなた、もう出て行ってもらっていいですか?」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました
さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア
姉の婚約者は第三王子
お茶会をすると一緒に来てと言われる
アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる
ある日姉が父に言った。
アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね?
バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる