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ルート2 ヒロインとテスト勉強会をしよう!
四人の宿敵、現る!私の戦いはこれからだ!
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「やあ、いらっしゃい。二人ともよく来てくれたね」
そこに大理石の階段を降りてきたのは、金持四人兄弟。恵は長男らしく他の三人より前に出て私たちに出迎えの挨拶をした。四人の私服に関してはゲームでもあまり注目せずにいたが、一人一人の個性がしっかりとファッションに現れていた。
恵の着用しているシャツはファストファッションでは決して生み出せない高級感があった。睦月は紺色のカーディガンを羽織って、いかにも文系男子といった感じだが、立っているだけで品の良さが滲み出ている。その二人とは対に三咲は黒Tシャツ一枚にジーパン。雅人はオーバーサイズのパーカーに軽いストレッチの効いたパンツ。ラフすぎだろと思ったけど、生地の質感がもう一般とは違う。つまり、高いやつ。
「あれれ~? 桃尻パイセン、本当に来ちゃったんですかぁ? 僕は愛理先輩だけでもよかったんですけどねっ」
「オホホ、せっかく金持家にご招待されたんですもの。風邪をひこうが、病気になろうが、五体満足でいる限り行くに決まっていますわ」
「へぇ~! すっごい執着心!逆に怖いですぅ~」
「ちょっと二人とも……初っ端からやめなよ……」
今にもゴングが鳴りそうな険悪な空気。雅人VS桃尻が始まろうとすれば、睦月がなんとか仲裁に入るが、誰か間に入り込まなければすぐにでも喧嘩はヒートアップしそうな勢いでいた。愛理のリップの件もあるから今日は余計にピリピリしてしまう。
フーフーッ! 雅人に威嚇をしている真横で恵はさりげなく愛理に距離を縮めて話しかけていた。
「じゃ早速、僕の部屋へ行こうか」
「恵先輩のお部屋で勉強会ですか?」
「そうだよ。二年生の頃のテストやテキストは全てとってあるんだ。分からない問題があったら気軽に質問するといいよ。愛理くんに分かりやすく教えられるように僕も頑張るからさ」
「はいっ、ありがとうございます」
ああっ、先手を取られてしまった! 一人で四人と挑もうとすればするほど、やることが多くなる。ゲーム通りにいかないこの世界を勝ち抜くには、地頭をどう生かすか努力と体力もそれなりに必要。ひっくるめたら結局は運に辿り着く。神が味方してくれるのを祈るしかない。
しかしながら今日は明日のテストに向けた勉強会。テスト勉強は真面目にやる。愛理を守るために男たちの指一本いれ……触れさせない。両方やらなくっちゃならないのが、推し事の辛いとこ。
縦に長い廊下を一列ずつ進んでいくと、もうこれ完全VIPホテルってな感じの部屋が均一に六つ並んでいる。手前から二番目が恵の自室――なんだけど部屋ってより大広間。軽く三十畳は越えている。
「桃尻さん……靴そこで脱がなきゃ……」
「あらやだ失礼!」
なるほどね、この段差のある部分で靴を脱ぐってことね。部屋まで土足とかめんどくさい造りするから、いちいち分かんなくなっちゃうじゃないの。ここは日本なんだから土足文化は馴染まないって。
「幼い頃から外でたくさん遊んで、たくさん汚れて帰って来るようにと、お館様の考えでございます」
「ヒェッ!? ……ああっ、そうなんですのね」
エスパー白髭ってば部屋までついてきたの!? 音殺して歩いてきたんか!?
「恵先輩、天文学に興味があるんですか? すごい、難しそうな本がいっぱい!」
「そうかい? これなんて宇宙もことが分かりやすく書かれているから面白いよ」
「へぇー」
愛理は隙間なくぎっちりと並べられた本棚を見ては小さく驚く。つられて本のタイトルを一通り目に通すと言われた通り、宇宙に天体関連のものばかり。漫画雑誌はどこにもない。なんかつまんない。ヤンジャン一冊ぐらいあってもいいのに。案外そういった本はどこか鍵つき扉とか、王道ベッドの下とかに隠してたりして。興味津々な振りして探し当てようっと。どこかにないかな?
「恵お坊ちゃまのお部屋にはそのような物はございませぬ」
「あなた、もう出て行ってもらっていいですか?」
そこに大理石の階段を降りてきたのは、金持四人兄弟。恵は長男らしく他の三人より前に出て私たちに出迎えの挨拶をした。四人の私服に関してはゲームでもあまり注目せずにいたが、一人一人の個性がしっかりとファッションに現れていた。
恵の着用しているシャツはファストファッションでは決して生み出せない高級感があった。睦月は紺色のカーディガンを羽織って、いかにも文系男子といった感じだが、立っているだけで品の良さが滲み出ている。その二人とは対に三咲は黒Tシャツ一枚にジーパン。雅人はオーバーサイズのパーカーに軽いストレッチの効いたパンツ。ラフすぎだろと思ったけど、生地の質感がもう一般とは違う。つまり、高いやつ。
「あれれ~? 桃尻パイセン、本当に来ちゃったんですかぁ? 僕は愛理先輩だけでもよかったんですけどねっ」
「オホホ、せっかく金持家にご招待されたんですもの。風邪をひこうが、病気になろうが、五体満足でいる限り行くに決まっていますわ」
「へぇ~! すっごい執着心!逆に怖いですぅ~」
「ちょっと二人とも……初っ端からやめなよ……」
今にもゴングが鳴りそうな険悪な空気。雅人VS桃尻が始まろうとすれば、睦月がなんとか仲裁に入るが、誰か間に入り込まなければすぐにでも喧嘩はヒートアップしそうな勢いでいた。愛理のリップの件もあるから今日は余計にピリピリしてしまう。
フーフーッ! 雅人に威嚇をしている真横で恵はさりげなく愛理に距離を縮めて話しかけていた。
「じゃ早速、僕の部屋へ行こうか」
「恵先輩のお部屋で勉強会ですか?」
「そうだよ。二年生の頃のテストやテキストは全てとってあるんだ。分からない問題があったら気軽に質問するといいよ。愛理くんに分かりやすく教えられるように僕も頑張るからさ」
「はいっ、ありがとうございます」
ああっ、先手を取られてしまった! 一人で四人と挑もうとすればするほど、やることが多くなる。ゲーム通りにいかないこの世界を勝ち抜くには、地頭をどう生かすか努力と体力もそれなりに必要。ひっくるめたら結局は運に辿り着く。神が味方してくれるのを祈るしかない。
しかしながら今日は明日のテストに向けた勉強会。テスト勉強は真面目にやる。愛理を守るために男たちの指一本いれ……触れさせない。両方やらなくっちゃならないのが、推し事の辛いとこ。
縦に長い廊下を一列ずつ進んでいくと、もうこれ完全VIPホテルってな感じの部屋が均一に六つ並んでいる。手前から二番目が恵の自室――なんだけど部屋ってより大広間。軽く三十畳は越えている。
「桃尻さん……靴そこで脱がなきゃ……」
「あらやだ失礼!」
なるほどね、この段差のある部分で靴を脱ぐってことね。部屋まで土足とかめんどくさい造りするから、いちいち分かんなくなっちゃうじゃないの。ここは日本なんだから土足文化は馴染まないって。
「幼い頃から外でたくさん遊んで、たくさん汚れて帰って来るようにと、お館様の考えでございます」
「ヒェッ!? ……ああっ、そうなんですのね」
エスパー白髭ってば部屋までついてきたの!? 音殺して歩いてきたんか!?
「恵先輩、天文学に興味があるんですか? すごい、難しそうな本がいっぱい!」
「そうかい? これなんて宇宙もことが分かりやすく書かれているから面白いよ」
「へぇー」
愛理は隙間なくぎっちりと並べられた本棚を見ては小さく驚く。つられて本のタイトルを一通り目に通すと言われた通り、宇宙に天体関連のものばかり。漫画雑誌はどこにもない。なんかつまんない。ヤンジャン一冊ぐらいあってもいいのに。案外そういった本はどこか鍵つき扉とか、王道ベッドの下とかに隠してたりして。興味津々な振りして探し当てようっと。どこかにないかな?
「恵お坊ちゃまのお部屋にはそのような物はございませぬ」
「あなた、もう出て行ってもらっていいですか?」
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