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ルート1 ヒロインとお近づきになろう!
恋は空回り!あなたの気持ちを教えて!
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いつどこでどんなキャラとイベントが発生するかの知識は瞬く間に粉砕。来襲する計算外の数々に対応が追いつけない。
まさか昼食時に五人一斉同時告白をされるなんて思ってもいなかった愛理は、艶のある薄ピンク色の唇を上下にパクパクさせては、茹で上がったタコみたく赤くなっていた。
三咲の告白から誰も反応しなければ、話さない。ひたすらゆるりと流れていく空気。気まずいわけでもなければ、居心地も悪くないが、我に返れば私一人だけ大パニックという異様な展開へ。
は? なに余裕ぶっこいてんのよこいつら! 告白したことに対して賢者タイムにでもなってんの? まったくもう、仕方ない。告白の流れを作って、喧嘩を売るような真似をしたのは私。だから、一応ここは沈黙を破ってあげるとしよう。
「オホホ、松風さん。そう驚かないでくださいまし! って無理もないですわよね。いきなり大胆なこと言っちゃってごめんなさいね~。ですが、私の愛こそ本物ですの。この四人より、あなたのことは前からずーっと見つめていましたし、絶対にあなたを海よりも山よりもずっとずっと深く愛し続ける保証がありますわ! たとえ私が女性でも!」
胸にドンと拳を当てては、いかに自分がどれだけ愛しているか改めて男どもに見せつける感じで思いを伝えるが、これにもまら同調してくるのが四人兄弟である。
「僕も前から好きだけど……」
「僕も愛理先輩のこと一目見たときからビビッときました!」
「愛理くんじゃ嫌な顔ひとつせず生徒会の仕事も手伝ってくれるし、とても魅力的な女性だよね」
「ま、字とか綺麗だよな」
雅人や三咲に恵は分かる。三咲、なにそれ。そこに愛はあるんか?
また言い返してやりたいけど、このままじゃ埒が明かない。肩にかかっている髪の毛を右手ではらってなびかせて、直球で愛理に今の気持ちを聞くことにした。今も告白されたことが夢であるかのようにポ~ッと、アへ顔になりかけているところへ失礼。
「松風さん」
「はひっ!」
頭に告白のことばかりに気を取られていたらしく、いきなり話しかけられたことの驚いては絶頂レベルで激しく痙攣。エッッッ……って、ダメダメ! 一方通行な邪な気持ちは身を亡ぼす原因。
「あなたの返事、聞かせてもらえる?」
愛理に真剣な顔つきで質問すれば、すぐに困ったように赤面がさらに耳や首元まで広がっていく。
「私、先に教室に行ってます!」
そして言い残すと、完食していな弁当箱一式を持ち上げて屋上から逃げるように走り去っていく。やっちゃった。頭の中でガーンという文字が落ちてくる。今の問いかけで不愉快にいかなくとも、困惑させたことに後悔しても時間は戻ってこない。よくよく考えなくとも、たしかに返事を圧迫して聞かれる印象はよろしくない。
「早まんなよ、バーカ」
三咲の何気ない悪口が今の私にグサリと刺さってはめり込んでいく。悔しいけど、ぐうの音も出ない。こればかりはイケメン兄弟の反応が正しい。
長いため息をつき終えると、睦月が慰めるような優しい口調で言った。
「桃尻さんは、いつから愛理のことが好きだったの……? いじめているから、てっきり嫌いなんだと思ってた……」
「え? あー、本当都合いいこと言うけど、昔のことは忘れて。自分でも愚かなことをしたと思っているのよ」
「それはあまりのも都合よすぎるよ……」
うっ、今度は右カウンターをくらった気分。いじめをしていたのは私だけど私じゃなーい! って、言えたらな~。
まさか昼食時に五人一斉同時告白をされるなんて思ってもいなかった愛理は、艶のある薄ピンク色の唇を上下にパクパクさせては、茹で上がったタコみたく赤くなっていた。
三咲の告白から誰も反応しなければ、話さない。ひたすらゆるりと流れていく空気。気まずいわけでもなければ、居心地も悪くないが、我に返れば私一人だけ大パニックという異様な展開へ。
は? なに余裕ぶっこいてんのよこいつら! 告白したことに対して賢者タイムにでもなってんの? まったくもう、仕方ない。告白の流れを作って、喧嘩を売るような真似をしたのは私。だから、一応ここは沈黙を破ってあげるとしよう。
「オホホ、松風さん。そう驚かないでくださいまし! って無理もないですわよね。いきなり大胆なこと言っちゃってごめんなさいね~。ですが、私の愛こそ本物ですの。この四人より、あなたのことは前からずーっと見つめていましたし、絶対にあなたを海よりも山よりもずっとずっと深く愛し続ける保証がありますわ! たとえ私が女性でも!」
胸にドンと拳を当てては、いかに自分がどれだけ愛しているか改めて男どもに見せつける感じで思いを伝えるが、これにもまら同調してくるのが四人兄弟である。
「僕も前から好きだけど……」
「僕も愛理先輩のこと一目見たときからビビッときました!」
「愛理くんじゃ嫌な顔ひとつせず生徒会の仕事も手伝ってくれるし、とても魅力的な女性だよね」
「ま、字とか綺麗だよな」
雅人や三咲に恵は分かる。三咲、なにそれ。そこに愛はあるんか?
また言い返してやりたいけど、このままじゃ埒が明かない。肩にかかっている髪の毛を右手ではらってなびかせて、直球で愛理に今の気持ちを聞くことにした。今も告白されたことが夢であるかのようにポ~ッと、アへ顔になりかけているところへ失礼。
「松風さん」
「はひっ!」
頭に告白のことばかりに気を取られていたらしく、いきなり話しかけられたことの驚いては絶頂レベルで激しく痙攣。エッッッ……って、ダメダメ! 一方通行な邪な気持ちは身を亡ぼす原因。
「あなたの返事、聞かせてもらえる?」
愛理に真剣な顔つきで質問すれば、すぐに困ったように赤面がさらに耳や首元まで広がっていく。
「私、先に教室に行ってます!」
そして言い残すと、完食していな弁当箱一式を持ち上げて屋上から逃げるように走り去っていく。やっちゃった。頭の中でガーンという文字が落ちてくる。今の問いかけで不愉快にいかなくとも、困惑させたことに後悔しても時間は戻ってこない。よくよく考えなくとも、たしかに返事を圧迫して聞かれる印象はよろしくない。
「早まんなよ、バーカ」
三咲の何気ない悪口が今の私にグサリと刺さってはめり込んでいく。悔しいけど、ぐうの音も出ない。こればかりはイケメン兄弟の反応が正しい。
長いため息をつき終えると、睦月が慰めるような優しい口調で言った。
「桃尻さんは、いつから愛理のことが好きだったの……? いじめているから、てっきり嫌いなんだと思ってた……」
「え? あー、本当都合いいこと言うけど、昔のことは忘れて。自分でも愚かなことをしたと思っているのよ」
「それはあまりのも都合よすぎるよ……」
うっ、今度は右カウンターをくらった気分。いじめをしていたのは私だけど私じゃなーい! って、言えたらな~。
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