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ルート1 ヒロインとお近づきになろう!
危ない!ウキウキのお昼休みと四人の刺客!?
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それから学生らしく長くて面白みのない授業が二時間、三時間、四時間と続き、睡魔に襲われながら自我を保つ。そして四時間目終了のチャイムが聞こえたら、合成な昼食が詰め合わせられた桃尻家特製の重箱を片手に愛理へとスキップをしながら走り寄っていく。
「松風さんっ、お昼行きましょう~!」
待ちに待った昼休み。授業中、黒板じゃなく愛理をずーっと見つめている甲斐があった。距離が近いと存在そのものがより一層愛おしく感じてしまい、これから始まる多々あるイベントにやる気は満々となる。
「私がいつもお昼を食べている、おすすめの場所があるんですけど。よかったら、そこで食べませんか?」
「へぇ~、楽しみ! どこどこ?」
案内場所は、これぞ二次元の特権でも呼べる何事もなく解放された屋上。それプラス、私たち以外には誰もいないお約束。転生された世界といえど、空気を読んでくれるシチュエーションに感謝感激。
眩しい白い色のコンクリートが広がる爽やかな屋上に、柵の近くには季節の花たちが色を添えている。穏やかに流れゆく青雲に、天に近い地点だからか、空気が一段と澄み渡って、箸が止まらない。――それは私の口にではない。愛理の口に。
「はい、松風さんのお好きなエビチリですわよ~。あ~ん」
「あ、あーん」
女子同士なのをいいことに、恋人まがいの行動をしてはキャッキャッと楽しんでいた。メニューはパスタにエビチリにグラタンといったJKが大体好きそうなものばかり。しかも桃尻家専属である一流のシェフが作っているらしく、見るからに高そうな食材ばかり。それには愛理も「美味しい」と言っては目を輝かせていた。
「ふふふ、まだまだありますからねぇ~! はい、あ~ん」
「あ、あー……ん、ちょっと大きいですね、このエビ……」
「オホホ、そうでしょう? とても大きくて、プリップリでございましょう?」
なんてね。エビを縦にして入れようとするから強制的にお口を大きく開けなければならないのだ。これで無防備な口内が丸見え。ゲームでも見れなかった愛理の喉奥のアレが……見えりゅ……。
「あらあら~、もうちょっと大きく開けないと入らないですわ~?」
グイグイと箸の上で立派に反り立つエビを向けて、変態オヤジの如く、さらに開くよう誘導していたら――
「アアアァン!?」
バリバリブチィ! 突如、愛理の前に現れた三咲が鬼の形相でエビに食らいついた。無残にもエビは激しい音をあげながら粉砕。細かな無数の殻やヒゲが下のコンクリートへパラパラと落ちていった。私の心までもが虚しく、散っていく。
「ちょっと三咲! なにすんのよ、あんた! 私と松風さんの空間に入り込まないでくれる!?」
「それはこっちのセリフだっつーの。さっきから気色わりぃんだよクソ尻!」
ペッと吐き捨てる三咲の横には雅人、睦月、恵の三人まで勢揃い。……もうなんとなく分かっていると思うけど、その通り。ここの屋上にいるのは、私と愛理の二人だけではない。この四兄弟もちゃっかりといた。それも屋上に来る前の、最初から。ウキウキで扉を開いたときの四人の顔と、私の顔は楳図かずお並みの絶叫フェイスで一致していたと思う。
またも愛理を守ろうとしてか、私の横には誰も座らず、正面に愛理。その周囲を護衛するかのように四人が並んだ圧迫面接スタイル。
最悪なことに、これは私のミス。四人と接点を持った時点で愛理は昼食を四人で食べるのが当たり前となっていたことを忘れていたのである。
「松風さんっ、お昼行きましょう~!」
待ちに待った昼休み。授業中、黒板じゃなく愛理をずーっと見つめている甲斐があった。距離が近いと存在そのものがより一層愛おしく感じてしまい、これから始まる多々あるイベントにやる気は満々となる。
「私がいつもお昼を食べている、おすすめの場所があるんですけど。よかったら、そこで食べませんか?」
「へぇ~、楽しみ! どこどこ?」
案内場所は、これぞ二次元の特権でも呼べる何事もなく解放された屋上。それプラス、私たち以外には誰もいないお約束。転生された世界といえど、空気を読んでくれるシチュエーションに感謝感激。
眩しい白い色のコンクリートが広がる爽やかな屋上に、柵の近くには季節の花たちが色を添えている。穏やかに流れゆく青雲に、天に近い地点だからか、空気が一段と澄み渡って、箸が止まらない。――それは私の口にではない。愛理の口に。
「はい、松風さんのお好きなエビチリですわよ~。あ~ん」
「あ、あーん」
女子同士なのをいいことに、恋人まがいの行動をしてはキャッキャッと楽しんでいた。メニューはパスタにエビチリにグラタンといったJKが大体好きそうなものばかり。しかも桃尻家専属である一流のシェフが作っているらしく、見るからに高そうな食材ばかり。それには愛理も「美味しい」と言っては目を輝かせていた。
「ふふふ、まだまだありますからねぇ~! はい、あ~ん」
「あ、あー……ん、ちょっと大きいですね、このエビ……」
「オホホ、そうでしょう? とても大きくて、プリップリでございましょう?」
なんてね。エビを縦にして入れようとするから強制的にお口を大きく開けなければならないのだ。これで無防備な口内が丸見え。ゲームでも見れなかった愛理の喉奥のアレが……見えりゅ……。
「あらあら~、もうちょっと大きく開けないと入らないですわ~?」
グイグイと箸の上で立派に反り立つエビを向けて、変態オヤジの如く、さらに開くよう誘導していたら――
「アアアァン!?」
バリバリブチィ! 突如、愛理の前に現れた三咲が鬼の形相でエビに食らいついた。無残にもエビは激しい音をあげながら粉砕。細かな無数の殻やヒゲが下のコンクリートへパラパラと落ちていった。私の心までもが虚しく、散っていく。
「ちょっと三咲! なにすんのよ、あんた! 私と松風さんの空間に入り込まないでくれる!?」
「それはこっちのセリフだっつーの。さっきから気色わりぃんだよクソ尻!」
ペッと吐き捨てる三咲の横には雅人、睦月、恵の三人まで勢揃い。……もうなんとなく分かっていると思うけど、その通り。ここの屋上にいるのは、私と愛理の二人だけではない。この四兄弟もちゃっかりといた。それも屋上に来る前の、最初から。ウキウキで扉を開いたときの四人の顔と、私の顔は楳図かずお並みの絶叫フェイスで一致していたと思う。
またも愛理を守ろうとしてか、私の横には誰も座らず、正面に愛理。その周囲を護衛するかのように四人が並んだ圧迫面接スタイル。
最悪なことに、これは私のミス。四人と接点を持った時点で愛理は昼食を四人で食べるのが当たり前となっていたことを忘れていたのである。
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