悪役令嬢になったんで推し事としてヒロインを溺愛しようと思う

マンボウ

文字の大きさ
上 下
4 / 84
ルート1 ヒロインとお近づきになろう!

集え!個性豊かなイケメンたちよ!

しおりを挟む
「今日もすごい制服ですね~! 胸焼けしそうですよぅ」

「あ? それは褒めてらっしゃるの?」

「あっ、ごめんなさい! フリルが生クリームに見えちゃって☆」

 う、うぜええ――!!

 さっきから私を小馬鹿にした感じで話しかけるのは金持兄弟でも末っ子の雅人。

 愛理と学年はひとつ下の一年生。かなりの童顔で可愛い系男子。長めのパーカーを羽織っては、少し身長が低いことがコンプレックスなのか常に先端がコンドームのようにへにゃっとしたピンク色のニット帽を身に着けている。年下だし、あまり接点がなさそうなキャラに感じるかもしれないが、意外にも愛理と一番最初に出会った人物である。見た目とは裏腹の大食漢でよく食べる。そして親密な関係になればなるほど男の顔を見せつけたり、愛理の母性本能をくすぐりながらもグイグイくるドS。よって今すぐ愛理と接触を絶たなければならない要注意人物。

「つーか、なんでお前ここにいんだよ」

「おほほ、よくぞ聞いてくれましたわ。たまにはダイエットのため徒歩通学をしようかと」

「ダイエットよりその巻きうんこみたいな髪どうにかしろうお。切れば軽く十キロは落ちるだろ」

「うんこ!? レディーにむかってあーた失礼でしてよ!」

「授業中にその髪が前にあるとクソ邪魔なんだよクソ尻」

 口ぶりがとんでもなく汚いのは金持兄弟の三男の三咲。

 愛理と桃尻エリカとは同じクラス。髪は兄弟で唯一赤く染めており、校則禁止のピアスをあけては制服を着崩す絶賛思春期のツンデレ属性。学校へ来ても授業をサボることが多く彼だが、成績は学年でもトップレベル。ツンデレなせいで恋人関係になるのは四人の中で一番遅いほうでもあるが、愛理もそんな彼に惹かれていくのを多々あるイベントごとにこれまた丁寧に描かれている。一番好きなルートを選べといわれたら三咲ルートを選ぶけど、それはそれ。親しい関係になればなるほど愛理の番犬みたいな立ち位置となって一度だけでなく、かなりの回数嫌がらせをする桃尻をボコボコにしている要注意人物。

「桃尻さん、おはよう……」

「あら、ごきげんよう」

「…………」

「…………」

 三咲の横にいる挨拶を交わして会話終了した人物は次男の睦月。

 実は三咲と二卵性の双子であり、こちらが兄となる。色白でミステリアスな風貌を構えており、こちらも同じクラスで生活態度は弟と違って良好。校則違反もなし。寡黙で何を考えているか全く分からない。意外にもギャグ漫画が好きらしい。愛理とは同じ図書委員でよく放課後は二人きり委員会の仕事をでしていた。最初こそギクシャクの関係でも次第に打ち解けていき、居場所がないと感じていた愛理が真っ先に心の拠り所だと明言していたシーンも存在する。だが油断はできない。夕暮れの図書室でナニ未遂までした男でもある。打ち解けたら一巻の終わり。よって要注意人物。

「おや? 桃尻くんのスカート、破けているね」

「そうなんですの。来る途中に私ったら転んでしまいましたの」

「それは大変だったね。ちょうどソーイングセットがあるから応急処置だけど手縫いしておくよ」

「あら、どうも」

 深い緑色のカーディガンをブレザーの下に着ては紳士的に接する彼こそ金持兄弟の長男の恵。

 学年はひとつ上の三年生。学校一頭がよく、そのうえ生徒会長。仕事が早いので教師から頼られるのはもちろん、誰にでも優しいので男女問わず信頼されている。転校してきた愛理を心配して学校案内を率先しては、裏でクラスや生徒会室に愛理の居場所を作り上げたこともある恵。金持家の未来は明るいが、彼はぐちょメモで唯一のヤンデレルートを持つ非常に厄介な存在である。愛理が幸せだとしても、一生監禁されてしまうのなんて耐えられるわけがない。私が。いわずも要注意人物。

 ここまでのまとめ、全員要注意人物。誰ひとり愛理に近づかせるわけにはいかない。

 そして、

「ところでパイセン、ここに愛理先輩が来るんで先に行ってもらえますかぁ?」

「お前が影で嫌がらせしてんの知ってるからな。二度と愛理に近づくんじゃねぇぞ、クソ尻」

「塩撒くよ…」

「睦月、食べ物を粗末にしちゃいけないよ。桃尻くんに撒くなんてもったいないだろう?」

 向こうも私、桃尻エリカのことを愛理を貶める最悪の要注意人物と見なしているのだった――!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?

荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」 そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。 「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」 「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」 「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」 「は?」 さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。 荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります! 第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。 表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

悪役令嬢が行方不明!?

mimiaizu
恋愛
乙女ゲームの設定では悪役令嬢だった公爵令嬢サエナリア・ヴァン・ソノーザ。そんな彼女が行方不明になるというゲームになかった事件(イベント)が起こる。彼女を見つけ出そうと捜索が始まる。そして、次々と明かされることになる真実に、妹が両親が、婚約者の王太子が、ヒロインの男爵令嬢が、皆が驚愕することになる。全てのカギを握るのは、一体誰なのだろう。 ※初めての悪役令嬢物です。

処理中です...