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激突!グレンヴェーマハ

独立してもいいですか?

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 「お兄様、そろそろタイミングですわ」

 妹のレティシアがそっと耳打ちをした。
 
 「そうだな、行ってくる」
 「はい、頑張ってきてくださいね!」

 今日、俺とレティシアはある目的を持って晩餐会へと参加していた。
 
 「今日ここに我々はエルンシュタット王国からの独立を宣言します」

 皇太子の成人を祝う晩餐会、そのクライマックスのタイミングで、俺は王の眼前にたち声高らかに言った。

 「この期に及んで如何なるつもりか!?」

 国王が声を荒らげて叫ぶ。

 「如何なるつもりか……面白いことを仰る」

 実は俺の生家であるアルフォンス公爵家は、エルンシュタットとその西の隣国、ヴァロワ朝との間に跨ぐ形で領地を持っているためにそれを我がものにしようとしたエルンシュタット国王の奸計に陥り近々、全土併合されることになったのだ。
 その奸計の処罰として父親は、つい先日極刑に処されている。
 
 「我が家を不当なる理由で陥れ領地を併合しようとした国王の所業、見過ごせるとでも思ったのですか?」
 「ぐぬっ……やはりお主も生かして置くべきではなかったか」

 どのような計略で我が家を嵌めたのか、この場で俺が言うのを恐れたのか眼前の老獪は辺りに視線を走らすとそれ以上、何も言わなかった。

 「それでは、失礼致します」

 恐らくここから領地に戻ればすぐさま王国との戦争になるだろう。
 だから長居する訳にはいかない。

 「皆の衆、逆賊アルフォンスを討て!」

 俺が踵を返すと国王は、叫んだ。
 その声に合わせて晩餐会の会場を警護していた近衛兵が一斉に剣を抜く。
 居合わせた貴族達は、悲鳴を上げながら次々と逃げ出していく。
 
 「お覚悟!」

 そのうちの一人が、剣を構え突貫してくる。
 俺はその動線を完全に見切った上ですれ違いざまに剣を抜いた。
 
 「グヴォッ」

 鈍い手応えとともに斬りかかってきた近衛兵の一人が血を吐いて倒れる。

 「同じ目にあいたいやつはいるか?」
 
 剣の腕が立つはずの近衛兵が、何も出来ずに骸と変わったその事実に、ほかの近衛兵達は動くことすら出来なかった。

 「いないのなら道を開けろ」

 両脇へと近衛兵達が避けていく。

 「お前達、何をしておるのだ!早くその男を殺さぬか!」

 一人見苦しく声を荒らげる王の命に従う者はいない。
 外の広場に出ると妹が駆け寄ってきた。

 「お兄様、首尾はいかがでしょうか?」
 「上々だ。帰ったら戦争になるかもしれんが姉上も来てくれているし、負ける道理はない」
 「それは何よりです。私達の父を奪った王国への復讐の始まりですのね」

 満面の笑みを浮かべたレティシアを用意していた馬車に乗せると俺と護衛のアヴィス騎士団は、夜の街道を西へと駆け出した。
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