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第36話 夫にお願いをされた妻の反応と返答

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「ジャック大丈夫ですか?疲れているみたいですけど?」

夫と愛人のマリアの関係がされて数ヶ月後、最近は家族で一緒に夕食を食べるようになっていた。ソフィアは穏やかな気持ちを取り戻しつつあるとはいえ顔色は冴えなかった。

だがジャックのほうは妻以上にすっかり元気がなくなっていた。夕食後にソフィアは心配そうな顔をして話しかける。

「ありがとう大丈夫だよ。それよりもソフィアに話があるんだ」

ソフィアは昔から細やかな気遣いには定評があり、今思えばジャックは何度も助けられた。その事を思い出して感謝の気持ちを伝えると、後ろめたさが感じられる態度で言い始める。

「なんですか?」

ゆったりと構えて妻は尋ねた。あんな事があったので大概たいがいのことには驚きません。

「マリアと不倫をして家庭を裏切るような事をしておいて言いにくいんだけど、学生の時の友人たちと今度クラス会で旅行に行かないかと手紙をもらったんだ」

夫は悩ましげな表情をしながら話した。困ったように視線を落とす中年男は憐れみ深いものでございます。

「それで?」
「もちろんソフィアが行くなと言えば僕は断るよ。でもみんなから一緒に行こうと頼まれて……」

勘がするどい妻は夫の本心が手に取るようにわかる。一応聞いておかないと勝手に行ったら後が怖い。少し前に不倫をしておいて言えた義理じゃありませんが、間違いなくジャックは旅行に行きたいのだ。

「行きたいのですか?」
「久しぶりに昔の友人と会いたいかな?ソフィアが許してくれたら参加しようと思ってるんだけど……」

妻の言葉に夫はもっともらしい理由をひねり出して、全身全霊を傾けて同情した気分に引きずり込もうをした。

「――よろしいですよ」
「本当に良いのか?」

不安な面持ちで見つめる夫に妻は、どうぞ御遠慮なく旅行に行ってくださいと返答した。まだ信じられないような顔でジャックは雷に打たれたような感覚が身体に走る。

「最近ジャックも疲れているみたいだし旅行は気晴らしになりますからね」
「ありがとう」

ソフィアは心豊かな気立てがよい女性なのでをみせると、夫はとてつもない明るい笑顔になる。

話が終わり席を立ち上がって背中を向け歩いていった夫の表情は、しめしめという感じで明らかに悪い事を考えている顔に変化していた。

*****
新作「夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。」を投稿しました。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
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