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第18話 夫の不倫相手にお兄様惚れられる!
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「ソフィアとお前の両親にも連絡しようか?」
「お願いですから、妻と両親には秘密に……お兄様お願いです」
「何がお兄様だ!」
「ヒィーっ」
過去にダニエルはジャックの不倫現場に突撃して秘密を知っていた。ダニエルは遊びに行った公爵邸で妹の異変を感じてすぐに行動開始した。精霊を公爵邸に潜ませ夫婦の会話を聞かせた。それで二人が子供の事で喧嘩してることが分かった。精霊と契約していない人には肉眼ではとらえられないので問題はない。
ジャックは初級魔法しか使えないし、ソフィアは上級魔法使いで精霊とはまだ契約してない。公爵邸にいる使用人含めて誰の目にも精霊の姿は見えないので、精霊が家の中にいても気づかれることもなかった。
「いつも私のことをお前の不倫相手と二人で、妹離れできないシスコンだと悪口を言ってることは分かっているぞ!」
「ど、どうしてそれを……?」
「まずは妹の様子がおかしいから調べさせた。精霊に教えてもらってな。お前のやっていたことは全てお見通しだ」
公爵家の主人はSMプレイ中に踏み込まれた。今はダニエルに説教されている。ジャックはM役で馬になっているところで、ダニエルが部屋に入ってきた瞬間はぽかんと間抜け面をしていた。
声にならない悲鳴が部屋中に響いた。鞭を振り上げていた女王様を置いてジャックは逃げ出そうとしたが、ダニエルは余裕のある笑顔ですかさず応じて拘束魔法で身動きを取れなくする。
「精霊を家の中にもぐり込ませたのか?そんなの卑怯じゃないか!」
「何とでも言うがいい」
「プライバシーの侵害だ!訴えてやる!!」
精霊を使って他人のプライバシーを覗くなんてあり得ないだろう。ジャックは恥ずかしい姿をさらしながら遠慮なく意見を言った。見られたので開き直って堂々とすることにした。そして逆に訴えると超強気に変わる。
「どこに訴えるんだ?」
「それは裁判所に決まってるだろ」
「お前バカか?」
「へ?」
確かに公序に反する理由で、精霊魔法使いが精霊を使い他人のプライベートな会話の様子などを見聞きするのは、人の道を外れる行為でマナーやモラルという観点から批判の声を上げる人もいる。
だがその基準は普通の人の価値観の法律であって、神のような絶対的な力を持っているダニエルには条件に当てはまらないと断定できる。
「私の事を忘れたのか?私はこの国の皇帝よりも権力があるということを」
「そ、それなら我が公爵邸の兵に命令して捕らえて……」
「この状況でどうやるんだ?それに私は精霊魔法使いで力もあるから、お前の動かせる配下の何千人の兵でも一瞬で再起不能にできる」
ダニエルは伯爵家当主でジャックは公爵家当主であり、貴族の爵位ではジャックが上だが、伝説と言われた五大精霊と契約して、七賢者という精霊魔法に熟練している魔法使いの最高幹部会に名を連ねる。
そのトップを務めているダニエルに、勝てる者などこの世界には存在しない。雲泥の相違で力の差がありすぎる。仮に二人が本気で戦争をすれば、誰に聞いてもダニエルが勝つのは間違いないと言い切るだろう。
「……お兄様!許してーーーーー」
「駄目だ。こんな若い女性と不倫をして、お前の汚らわしい趣味に付き合わされた彼女も被害者なのは精霊に聞いてわかっている。お前の親にもお前の友人にもお前の本当の姿を教えてやる。そしてよくも大切にすると誓ったソフィアを裏切ったな」
どうか助けていただけないでしょうか?ジャックは罪を許してくれと、ダニエルに頼むしか選択の余地がなかったことを理解した。但しそう簡単に許してくれるわけもなく、ジャックの全てを公衆の面前にさらすと宣言されてしまった。
ダニエルが部屋に入った時から、ジャックの相手をしていた女性は茫然として立ち尽くしていた。この女性は逃げようとしなかったので、ダニエルは魔法を使ってない。だが虚脱状態の顔で身体が凍りついたように動かないでいる。
「寒くない?もう大丈夫だからね。悪いようにはしないから心配しないでね」
女性にとても優しい正義感が強いダニエルは、自分のコートを脱いでSM女王様の肩に触れて身体を覆うように掛けた。ジャックと女性の会話も精霊に教えられて、妹好きだと笑われていたようだが特別に気にすることもない。容姿と雰囲気が良質な男のダニエルは精神的に余裕があるのだ。
次の瞬間、その女性は胸がキュンと痛くなる。紳士なダニエルの思いやりに触れて心が安心感に満たされた。比例して、床に倒れているジャックを見ながら、こんな情けない男と不倫関係を結んでいた自分が顔から火がでる思いで恥ずかしくなった。
素敵な男性との出会いをひそかに夢見ていた女性は、頬は驚くほどに赤くなってダニエルに恋に落ちた。
「お願いですから、妻と両親には秘密に……お兄様お願いです」
「何がお兄様だ!」
「ヒィーっ」
過去にダニエルはジャックの不倫現場に突撃して秘密を知っていた。ダニエルは遊びに行った公爵邸で妹の異変を感じてすぐに行動開始した。精霊を公爵邸に潜ませ夫婦の会話を聞かせた。それで二人が子供の事で喧嘩してることが分かった。精霊と契約していない人には肉眼ではとらえられないので問題はない。
ジャックは初級魔法しか使えないし、ソフィアは上級魔法使いで精霊とはまだ契約してない。公爵邸にいる使用人含めて誰の目にも精霊の姿は見えないので、精霊が家の中にいても気づかれることもなかった。
「いつも私のことをお前の不倫相手と二人で、妹離れできないシスコンだと悪口を言ってることは分かっているぞ!」
「ど、どうしてそれを……?」
「まずは妹の様子がおかしいから調べさせた。精霊に教えてもらってな。お前のやっていたことは全てお見通しだ」
公爵家の主人はSMプレイ中に踏み込まれた。今はダニエルに説教されている。ジャックはM役で馬になっているところで、ダニエルが部屋に入ってきた瞬間はぽかんと間抜け面をしていた。
声にならない悲鳴が部屋中に響いた。鞭を振り上げていた女王様を置いてジャックは逃げ出そうとしたが、ダニエルは余裕のある笑顔ですかさず応じて拘束魔法で身動きを取れなくする。
「精霊を家の中にもぐり込ませたのか?そんなの卑怯じゃないか!」
「何とでも言うがいい」
「プライバシーの侵害だ!訴えてやる!!」
精霊を使って他人のプライバシーを覗くなんてあり得ないだろう。ジャックは恥ずかしい姿をさらしながら遠慮なく意見を言った。見られたので開き直って堂々とすることにした。そして逆に訴えると超強気に変わる。
「どこに訴えるんだ?」
「それは裁判所に決まってるだろ」
「お前バカか?」
「へ?」
確かに公序に反する理由で、精霊魔法使いが精霊を使い他人のプライベートな会話の様子などを見聞きするのは、人の道を外れる行為でマナーやモラルという観点から批判の声を上げる人もいる。
だがその基準は普通の人の価値観の法律であって、神のような絶対的な力を持っているダニエルには条件に当てはまらないと断定できる。
「私の事を忘れたのか?私はこの国の皇帝よりも権力があるということを」
「そ、それなら我が公爵邸の兵に命令して捕らえて……」
「この状況でどうやるんだ?それに私は精霊魔法使いで力もあるから、お前の動かせる配下の何千人の兵でも一瞬で再起不能にできる」
ダニエルは伯爵家当主でジャックは公爵家当主であり、貴族の爵位ではジャックが上だが、伝説と言われた五大精霊と契約して、七賢者という精霊魔法に熟練している魔法使いの最高幹部会に名を連ねる。
そのトップを務めているダニエルに、勝てる者などこの世界には存在しない。雲泥の相違で力の差がありすぎる。仮に二人が本気で戦争をすれば、誰に聞いてもダニエルが勝つのは間違いないと言い切るだろう。
「……お兄様!許してーーーーー」
「駄目だ。こんな若い女性と不倫をして、お前の汚らわしい趣味に付き合わされた彼女も被害者なのは精霊に聞いてわかっている。お前の親にもお前の友人にもお前の本当の姿を教えてやる。そしてよくも大切にすると誓ったソフィアを裏切ったな」
どうか助けていただけないでしょうか?ジャックは罪を許してくれと、ダニエルに頼むしか選択の余地がなかったことを理解した。但しそう簡単に許してくれるわけもなく、ジャックの全てを公衆の面前にさらすと宣言されてしまった。
ダニエルが部屋に入った時から、ジャックの相手をしていた女性は茫然として立ち尽くしていた。この女性は逃げようとしなかったので、ダニエルは魔法を使ってない。だが虚脱状態の顔で身体が凍りついたように動かないでいる。
「寒くない?もう大丈夫だからね。悪いようにはしないから心配しないでね」
女性にとても優しい正義感が強いダニエルは、自分のコートを脱いでSM女王様の肩に触れて身体を覆うように掛けた。ジャックと女性の会話も精霊に教えられて、妹好きだと笑われていたようだが特別に気にすることもない。容姿と雰囲気が良質な男のダニエルは精神的に余裕があるのだ。
次の瞬間、その女性は胸がキュンと痛くなる。紳士なダニエルの思いやりに触れて心が安心感に満たされた。比例して、床に倒れているジャックを見ながら、こんな情けない男と不倫関係を結んでいた自分が顔から火がでる思いで恥ずかしくなった。
素敵な男性との出会いをひそかに夢見ていた女性は、頬は驚くほどに赤くなってダニエルに恋に落ちた。
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