「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。

第9話 子供の心、次男リアムは見た！

「あなたの冷血ぶりに悲しくなりました」
「はぁ？何を悲しむんだよ？君が潔白なら証明して見せろと言ってるだけなんだがな。一生のお願いだから鑑定してくれ！」
「いいですよ。長男のトーマスも次男のリアムも検査を受けさせます。この際はっきりさせましょう」

ソフィアは疑われたことについて心を痛めたと伝えてもジャックは、どうして傷ついているのか理解できないと平然と言ってくる。夫の態度に機械のような人間だと感じた。こんな人と結婚していたのかと思い、気が遠くなるような苦しさでした。

「上の子供はいいと言っているだろう。トーマスは僕の子供の頃と見分けがつかないほど似てるんだからな」
「お前はいつから人の心を持たない男になってしまったんだ！」
「ジャックもっと言い方というものが……」

ジャックは自分の両親からお前のやってることは強引でおかしいと言われていましたが、いくら説得されても夫の主張は変わらず不満があるみたいな仏頂面を崩さなかった。

「ママ！」

検査を受ける条件を話していたその時、可愛い姿が部屋のドアを開けて入ってきた。不安そうな顔でしたが部屋にいた母のソフィアを見つけると安心して笑い、楽しげに微笑んで駆け寄ってくる。ソフィアは両手で小さな身体をぎゅっと抱きしめた。

「リアム……」

ソフィアは宝物でも守るように少し抱きかかえ膝の上に座らせた。次男のリアムでした。実を言えばリアムは両親が喧嘩をしている事に気がついていた。子供の前では仲良しを装よそおっていても子供の目と心は意外なほど鋭かった。

互いを避けているような険悪な雰囲気が流れていると、直感的にパパとママが変な感じがすると何かを感じ取った。肩を抱き合い触れ合うスキンシップを取る二人の姿が極端に減った。そういえば前は、もっと身体をくっつけ合ってイチャイチャしている姿を自分たちは何度も見せつけられたのに……。

リアムは普通の子より感受性が強く、それとは逆に長男のトーマスはゆったりとした楽天的な性格で、両親が対立し合い冷戦状態に入っている事に気が回らないし少しも分からなかった。今もまったりとゆるんだ表情でぼんやりと窓の外の鳥を眺めていた。

「――ママおはよう」
「リアムおはよう」

両親に妙な感じがすると察知した次の日から、リアムは両親の事を注意深く観察するようになる。そして思い出すのが辛いほどの経験をすることになるのです。母の部屋に行って朝の挨拶を交わした後、ソフィアは柔らかく目を細めて愛情を込めてリアムと自分の頬を寄せた。

「リアムおはよう！」

母と子のいつも通りの触れ合いを済ませると、一緒に朝食をとるために移動した。すると途中で父親とすれ違った。目が合うと父は大げさに爽やかな笑顔で、右の手で優しく頭を撫でてくれた。挨拶の声が無駄に元気がよく感じられる。リアムは父にそんな印象を抱いていた。

「パパおはよう。これからご飯を食べるけどパパも一緒に食べよ」

挨拶を返したリアムは父親のジャックを食事に誘ってみた。甘えるようにつぶらな瞳を潤ませてじっと見つめて言った。最近なぜか？母と父が食卓を囲んでいない。朝食の時も夕食の時も食事の時間をずらしている。まさに今リアムは脳内に閃光せんこうが走りその事に気づいてしまった。