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第6話 お兄様の同行に涙した夫の過去

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どうしようもないシスコンで妹のソフィア大好きの兄ダニエルですが、少年時代から賢く何でもそつなくこなせて神童と呼ばれていた。学園に入ると成績優秀な学生で、みんなに親しまれる上位グループの先輩たちから、生徒会役員になる資格ありと入学早々に認められた。

容姿にふるまいが美しく、生徒会選挙に祭り上げられて圧倒的支持を受けて当選をした。一年生でありながら頼りにできるただ一人の男だと褒め称えられて、役員全員一致で生徒会副会長に任命されて名誉に恥じないほどの務めを果たした。

元から人気があった生徒会でしたがダニエルの加入でさらに脚光を浴びる。放課後になっても女子は帰ろうとしなく、生徒会室の前に集まった女子たちに黄色い声を上げられる学園生活であった。

「夫婦は血のつながりがないから互いので成り立っているんだ。妻の言葉を信じられないなんてお前は夫として失格だ!」

夫婦を結びつける絆の役割をはたしているのは何よりも信頼である。ダニエルは独身であるが冴えた頭脳を持っているので、夫婦にとってそれが一番重要なことに思えて底力のある声で叫んだ。エリート教育をされた思慮しりょ分別のある兄にやるじゃないかとソフィアも快い感じでニコッと笑う。

「妹離れできない変人のくせに偉そうに言ってくれるじゃないか!」

ジャックはダニエルの発言に心理的には納得し分かっていても、抵抗しなければうまく丸め込まれてしまうと、熱くなって悪党のような口ぶりで言った。

「妹が好きで何が悪い?」

何か問題でも?ダニエルは余裕そうな声音で聞き返した。ジャックはこの場には両親もいるし、絶好の機会だと思って露骨に不満を露わにするような顔に変わり、じれったくて仕方なかった事を語り始める。

「まだ僕たちが結婚する前の事だけど、デートの時も抱き合わせみたいに毎度アンタも付いてきて完全に嫌がらせだろう」
「それは迷惑をかけたな」

二人が恋人になる前、幼馴染だから男女の関係にはなれないと気の進まない態度のソフィアに、粘り強く求愛してにデートを承知してもらえた。ここまで来るのに尋常でなく大変だった。ソフィアの気に入りそうなプレゼントを仲の良い友人にリサーチを行い贈り続けて情熱を込めて真心を尽くしまくった。

デート当日には気合を入れ直して、服装や髪型にいたるまで彼女の好みな落ち着いた雰囲気となるようにした。そして待ち合わせ場所に期待で胸を一杯にして30分も早くに着いた。待っていたらどういう理由なのか?ソフィアの横には異様にうす気味悪い笑顔のダニエルがいた。

「僕はあの時の事は生まれ変わっても忘れないぞ!」

デートプランも用意周到に計画し、幸福感は今までの人生の頂点に近いものだったのに、ダニエルの姿を見た瞬間に地面に膝をついてしまい重い失望感に襲われ、ジャックは自分でも知らない間に涙が流れて悲観した顔に変化してしまった。
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