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第3話

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「学園を卒業してイザベルと結婚してもよろしくお願いします」
「こちらこそ仲良くしてね。それとあのこと覚えてる?」
「あのこと?何をですか?」

学園の卒業を待って妹のイザベルと結婚が決まっている。ハリーは意を決したような真剣な眼差しで挨拶をすると姉のヴィオラは瞳を見つめて良好な関係を頼み二人は愛想を交わし合う。

その時ふと思い出すヴィオラは勇気を奮い起こしたような面持ちになり返ってくるか分からない質問をした。あのこと?と聞かれてもハリーは頭に浮かばないので聞き返す。

「昔に出会ってキスしたんだよ」
「そんなことありました?」
「晩餐会でダンスの失敗して私が泣いていたらハリーが大丈夫だよって」
「覚えてないな」
「私は鮮明な印象として記憶に残っている」
「誰かと勘違いしてるんしゃない?別の人じゃないの?」
「間違いなくあなた。優しく頭を撫でて慰めてくれてキスしてくれて…」
「そうなんだ」

とても大切なことのように胸の内にしまい込んでいたことを打ち明けるがハリーは記憶に残っていないとあっさりとした口調で答える。

何年も前のことでまだ幼かった頃なので思い出せないのも当然のことと思う。少しヴィオラは暗く沈んだ表情になるが心のメモにはしっかり書きとめてあるので気持ちを持ち直す。

「妹の婚約者だと紹介された時は運命を感じたよ」
「僕は綺麗な人だなって胸が熱くなった」
「どうしてあの時キスしたのかなって不意に頭に浮かぶことがあるの」

ヴィオラはハリーと再会した時に運命が動きだすのを感じて胸の高鳴りが抑えられなく話し合いの時は思いがけない出会いに終始落ち着かない様子で心が動揺する。

逆にハリーはこの世のものとは思われないヴィオラの美しさに思わず澄んだ瞳を大きく見開いて心のときめきを感じていてこんなに上品で眩しすぎる人が義理の姉になるなんてと叫びたいほど喜んでいた。

「僕は結婚の挨拶に行ったあの時にあなたに一目惚れしました」
「嘘?全然顔合わせてくれないから私嫌われてたのかと思ってたのに」
「それは体が熱くなってお姉さんの顔がまともに見れなかっただけです」

なんとイザベルとの婚約の話しの席でその姉のヴィオラにほのかな恋心を抱いていたと頬を真っ赤に染めて告白する。

ハリーはヴィオラが視界に入った瞬間的に吸い寄せられるように恋と言う切ない感情が心に広がり愛しくてじっとしていられない気持ちでした。

くしくもお互い同じ気持ちだったことが分かると二人は沸き上がる喜びに身を任せるように抱き合う。
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